私は学生時代から鉄道で旅行に行ったり、鉄道車両を撮影したりするいわゆる「鉄ちゃん」(最近では単に「鉄」と呼ぶ場合もある)という趣味を持っています。
そのせいか、観光地ではない地味な場所にも足を運んだり泊まったりもしているのですが、そうした街が、意外にも今、ハロプロメンバーの出身地としてファンの間で注目されているようです。
ということで、今回のコラムは「ハロプロふるさと紀行」のPart1として、ハロプロメンバーの出身地を3ヵ所ピックアップして、街の様子についてコメントをしていきたいと思います。文中、一般の人にはなじみのない「鉄ちゃん用語」が出てくるかもしませんが、どうぞご了承ください。
(1)京都府福知山市(中澤裕子)
ご存知裕子オネエの出身地。最初「ASAYAN」で彼女の出身地が出たときには、関西地区以外の人間にとって「福知山」と聞いてもピンと来なかったのではないでしょうか。
しかし、鉄道ファンにとっては、知らぬものはいないくらいのメジャータウン。国鉄時代には「福知山鉄道管理局」という国鉄の支局が置かれ、現在でもJR西日本の支社が存在する典型的な「鉄道の街」なのです。当然、鉄道関係者も多く住んでおり、もしかしたら、中澤家も、そうした関係者相手の仕事に従事していたのかもしれません。
「ASAYAN」で、中澤裕子が福知山から旅立つシーンを放映した当時は、駅構内は昔日の面影を残す建物も残っていたようですが、現在は、高架化工事が進行中ということで、数年後には「鉄道の街」から大きく変貌した街の姿が現れるものと思われます。
(2)北海道滝川市(藤本美貴)
おそらく「スーパーホワイトアロー」などで現地に降り立ったミキティファンは、想像以上に大きな駅だったことにビックリされた方も多いかと思います。
ここもかつては、帯広、釧路方面へ通じる「根室本線」の起点になっていた街で、駅舎の反対側(西側)の広大な更地からは、SL時代に多くの列車が溢れていた様子がうかがえます。
しかし、ミキティが生まれた1985年頃には、道東方面のメインルートは石勝線に変わっていましたので、街としては凋落への道をたどっていた時期になるでしょう。駅前に目立った建物は西友くらいしかなく、日曜日の日中でも人通りが少ない典型的な地方都市の姿になっています。
ただ、ひと山越えた富良野地区に刺激されてか、最近ではドラマの舞台として使われたりして、街おこしの機運も高まっているようです。ここは「滝川市初の紅白歌手」という名誉を、最大限に利用してほしいものです。
(3)山口県宇部市(道重さゆみ)
モー娘。6期生決定翌日の「宇部時報」の記事で再び脚光をあびることになった宇部。過去には、芳本美代子、西村知美という芸映2トップアイドルを相次いで輩出、ユニクロ創始者の柳井氏、エヴァンゲリオン監督の庵野氏も生み出しており、山口県の中でも有名人出身者の比率が高い街であります。
確かに、山口県唯一の空港を持ち、セメントやそれを元にした化学工業で栄えた街ですから、東京からの赴任者も多く、エンタテインメントの世界に憧れを持つことに抵抗がない気質なのでしょう。
鉄道ファンなら、隣の小野田市で長い間走りつづけた「クモハ42」が3月14日で引退したことは記憶に新しいと思います。「クモハ42」も元は宇部線一帯を走ってきたわけですから、宇部にとってもなじみの深い車両であると言えましょう。実際「クモハ42」の情報を「宇部時報」でチェックしていた人も多くいるようです。
80年代に続いて、宇部がアイドルファンの聖地になるかどうかは、ひとえにさゆみんの活躍にかかっています。ガンバってほしいものです。
こうしてみると、偶然とはいえ、ハロプロメンバーは、今まで知られていなかった街を全国に発信する「街おこし」を行なっているような雰囲気です。もちろん、メンバー個々にとっては、出身地に対して決していい思い出ばかりが詰まっているとは限りませんが、この不況下の中では、そうした既成事実を活性化につなげることがメンバー、出身地相互に必要ではないかと考えています。
今回紹介した3人のファンの皆さん、駅に降り立ったら、彼女らの生まれ育った街の雰囲気を堪能する程度にし、できるだけ周辺の商店で何らかの買い物、食事をするように心がけましょう。