江籠裕奈ソロシングル「君が大好き、みたいなんです」発売記念インタビュー
2022年7月20日にSKE48の江籠裕奈さんがソロシングル「君が大好き、みたいなんです」を発売しました。シングル発売を記念したロングインタビューをお届けします。(2022年7月 株式会社ゼスト会議室)
30曲ぐらいから4曲に絞りました
――シングルの話はどう進んでいきましたか?
「ソロライブをするようになって、48グループの大人数の曲を1人で歌うには限界もあるので、『今後もソロライブをしていくのだったら、ソロ曲はあったほうがいいよね』という流れから『じゃあ作ろうか』となりました。だからシングル用というわけではなかったです。
具体的には4月ごろに曲を選び始めました。30曲ぐらいデモ曲を聞いて、最後に自分で4曲ぐらいに絞りました」
――デモ曲はどういう状態で聞くのでしょうか。
「歌詞がすでにある曲もない曲もあって、表題曲はたまたま1コーラス歌詞がありました。
それでイメージしやすかったのもありますけど、誰が聞いてもかわいいと思ってもらえるキャッチーな曲で、曲前にセリフが入っているところがいいなと思って、「表題曲にするならこれかな?」とすんなり決まりました」
江籠裕奈プロフィール 2000年3月29日生まれ、愛知県出身 血液型O型
ソロライブで初解禁・初披露
――表題曲『君が大好き、みたいなんです』はどんな曲ですか?
「例えるなら少女漫画的な、かわいい女の子の片思いの曲です。ちょっと現実的じゃない言葉も出てきますが、こういう世界観だからこそ歌える曲だと思いました。
初披露するなら自分のファンの方がいる場所でしたいと思って、今回、ソロライブの時期が重なっていたので、ソロライブ(6月21日)の最後に初披露しました」
――ファンの方たちの様子は?
「ソロライブって新しい曲をやることが多いから、『初めてやる曲』というだけでそんなに変わらない気持ちだったんです。
でも映像が流れているときに、ファンの方たちが喜んでくれているのをステージ裏で感じて、「すごいことをしようとしているんだ」と、やっと実感が湧きました。いろんな意味でここからなので、ファンの方の前で初披露できて良かったです」
CDジャケットもプロデュース
――ジャケットのデザイン案や衣装のコンセプトは
「これも全部自分でプロデュースしました。SKE48の中にいるときにはやらないことをやることにしているので、曲の世界観に合う感じでパステルっぽい色で構成しました」
――コンセプトはどのように伝えるのですか?
「やりたいイメージの素材を探して「こういう感じがいいです」とスタッフさんに送りました。
洋服は色味の打ち合わせはしますけど、衣装さんが私に「こういうのを着せたい」というのと、私の好みが一致するので、そこは完全に信頼してお任せしました。
ジャケットの撮影が一番最後だったので、イメージしやすかったです」
通常盤ジャケット
@Loppi・HMV限定盤ジャケット
夢現(ゆめうつつ)という言葉はいつか使いたかった
――もう1曲の『夢現』(ゆめうつつ)は初作詞曲です。
「その曲はデモ曲の段階では全部英語だったんです。メロディーを頼りに全部自分で歌詞をつけました。
『作詞してみたら?』って言われ、最初は『え? だってプロの人が書いたほうが絶対いい曲ができるのに』と、乗り気ではなかったです。でも、やってみたらすごく楽しかったので、またやってみたいです。
『自分で書いた曲のほうが歌とともに自分も成長できるから』という意味も込めて『作詞してみたら?』だったらしいんです。その大事な部分を先に言ってくれていなかったので、後で『そういうことだったのか!』と知りました(笑)」
――作詞の過程を教えてください。
「表題曲が、2次元的な世界のお話で、わかりやすく思い描く片思いの曲だとしたら、こっちはもう少し現実的で共感しやすい詞がいいなと思って、そういうところを意識して作りました。
『どこから書こう……』と思っていたけど、新幹線に乗ったときに流れに任せて名古屋から品川までの間に一気に書きました。書き出したらわりとぱっと書けて、それをスタッフさんに送って、レコーディングまでに何度か調整しました」
――誰に対して何を考えながら書くのですか?
「誰に対してでもないです(笑)。歌詞の『自分』にとっての『君』は、誰であってもいいと思っています。聴く人が自分と当てはめながら楽しめるのが歌のいいところだと思います。
でも、『自分に自信がないけど好きでいてほしい』という気持ち、好きだと言ってくれる相手も実は自信がなくて、言わないだけで分かり合えてる気持ちは自分と重なる部分もあります。
“夢現(ゆめうつつ)”という言葉がすごく好きで、いつか何かのときに使おうとずっと思っていたんです。それを今、出しました。現実かどうかわからない、ふわふわとした感じは、自分もアイドルをしていて思うことがあるから、夢と現実をテーマにして書きました」
――秋元康さんが江籠さんに当てはめて書いたと言われても不思議じゃない仕上がりで、ファンの人が聴いたら、自分に対して言ってくれた思うのでは?
「どういうとらえ方でも全然いいと思っています。いろんな人の考え方に当てはめてもらえたらなと思います」
――人に対しても書けるのでは?
「曲を書ける人と本を書ける人は本当にすごいなと思っているので、まさか自分がその機会をいただけるとは思わなかったです。
まずは自分でもっと試させてください(笑)。自分の腕を上げて、ある程度手応えがあったらそういう道もあるかもしれないけど、今は自分で自分の曲を書くので精一杯です」
ソロライブの振り返り
――ソロライブで渡辺麻友さんの楽曲を多めにした理由は?
「毎回テーマを考えているんですけど、何にしようかと思ったときに、スタッフさんに『1人だからグループでいつもできないことをやってもいいし、自分のやりたかったアイドルをしていいんだよ』って言われたことを思い出しました。
自分がアイドルに触れるきっかけって何だろうと考えたら、渡辺麻友さんでした。
『アイドルってこういうことだよね』って思って渡辺麻友さんの曲は多めにして、あとはライブのタイトルに『可愛い』が入っているので、いろんなかわいさが見せられるように。今回はかわいい曲多めでやりました」
――ソロライブの今後の構想は
「いつも決まってから考えています。
今回は、かわいいを意識した曲が多かったですけど、アイドルは何にでもなれるし何でもできるのがいいところ。私もダンスを踊るのも好きだし、型にとらわれずに、いろんな面を見せられたらいいなっと思います」
いろんな感じ方ができるチームS新公演
――チームSの新公演「愛を君に、愛を僕に」のゲネプロを2日間見たそうですが、どんな印象を持ちましたか?
「前情報なしで行ったので、ファンの方と同じ気持ちで見たんですけど、1日目は初見だと「こういう曲なんだな」と思ったら、すぐに次の曲に行くから、いろんなことを考える余裕がありませんでした。
2日目は反対側から見て、やっと1人1人のことが見れました。私は新公演の経験がないからわからないんですけど、みんな頑張ったんだなと、すごく感動しました。1人1人に感想を伝えたい気持ちもあったけど、忙しいからちかちゃん(チームSリーダーの松本慈子)に感想を伝えました。
1日目は見られる予定ではなくて、たまたま見れたんですけど、結果的に2回見ることができて良かったです」
――魅力的と思ったところは?
「私は、小室哲哉さんの音楽をあまり知らなくて、すごく新しい感じがして楽しかったです。ファンの方は「懐かしい」って言う方もいて、いろんな感じ方がある公演ってすごくいいことだなと思いました。それがひとつのきっかけになって、いろんな公演に行きたいと思ってもらえたらうれしいです」
――自分たちチームKIIは?
「私の中では『新公演って幻なんじゃないか』と思っていました。それをチームSがやったことで、『新公演って、できるんだ』とやっと現実的になった感じです。まだ自分がやっていることは想像できないけど、『いつかできたらいいな』ぐらいの気持ちでいることにします」
――古畑奈和さんの卒業発表についてもひとこと。
「(事前に)聞いていなかったです。逆に私が卒業発表をするにしても、たぶん(古畑奈和さんには)言わないと思うので、奈和ちゃんの気持ちはわかります。
私も久しぶりの公演だったんです。だから、「スタッフさんたちの様子がいつもと違うな」ということを感じ取ることが全然できなくて……。
ほかのメンバーは「何かあるかも」と思ったらしいんですけど、私は本当に何も気づくことができず、「うわぁ、発表した」みたいな感じでした。
チームKIIには後輩ばかりで、後輩の前であんまり泣きたくないので、2人きりになった瞬間に泣きました。それ以降は今までと変わらなさすぎて、卒業を実感することはないです。だから卒コンの準備をする9月に入ってやっと実感するんじゃないかなと思います」
――先輩や同期が卒業していく中で江籠さんがSKE48のためにしていきたいことは?
「私も、ソロ活動をする前には、『アイドルになりたくてアイドルになったのに、もっとこういう風にアイドルを楽しめたらいいのになぁ』と思うことはいろいろありました。前例がなくて難しいこともたくさんあったけど、私がこうやって好きなことをやらせてもらえるようになり、それがみんなにとっても頑張れる理由になれていたらいいなと思います。
グループの中で先輩として見せられるものは常に見せているつもりなので、自分が個人で全力でやった結果がグループにつながったらいいなと思います」
――ファンの方は卒業のことをどのぐらい考えているのか心配していると思いますが?
「それはファンの方の応援次第です。『じゃあ卒業しないように応援しててね』って言います」
カップリング曲は本当に良い曲なので、ファンの方以外にもぜひ聞いていただきたいです。(撮影・取材 岡田)