NMB48を卒業し、各方面で活躍中の三田麻央さんが主演する舞台「INDESINENCE Case:Beautiful Vermilion Ways」が2023年2月22日から28日まで新宿村LIVEで上演されます。稽古に忙しい中、舞台の見どころをお聞きしました。(2023年2月8日 吉本興業東京本部)
→舞台情報 LUCKUP produce『 INDESINENCE 』シリーズ2本立て公演
三田麻央プロフィール 1995年9月9日生まれ、大阪府出身 血液型A型
毎日が勉強の日々です
――2回目の主演舞台だそうですね。
「めちゃめちゃプレッシャーです(笑)。1回目の主演のときには女性だけの、しかも共演者さんたちもキャリアがそんなに長いほうではなく、和気あいあいとした感じで進んだんですが、今回は共演者の中にはベテランの方もいて、全然違う雰囲気の中、お芝居をさせていただいています。
『私が主演で引っ張っていきます』というよりも、私の足りないところをみなさんが補ってくださっていて、毎日が勉強の日々です」
――役どころの紹介をお願いします。
「役名は、南上宮陽子(ながみや・ようこ)と言います。ひとことで言うと、“強い女性”です。母と2人で暮らしていたんですけど、いざこざがあって家を出て、自分の家がぐちゃぐちゃになるきっかけを作った詐欺師を追っていくという物語です。
弱い自分が大嫌いで、強い自分であらなければいけないと、師匠のもとで武術を勉強して戦います。心の強さもあわせ持っていて、『強い』に関してすごくこだわりがある女の人です。その強さゆえに……っていう話なんです」
殺陣のシーンがあります
――舞台で武術を見せるシーンはありますか?
「あります。殺陣のシーンがあります。今、めちゃくちゃ練習中です。ジャンルとしては合気道と空手で、道具を使わず素手で戦います。剣を使った殺陣は以前に2回経験があったんですけど、今回は構えから練習しています」
――最近の稽古でのエピソードを。
「私の敵役の詐欺師の方が、役柄的にも飄々(ひょうひょう)としていらっしゃって、その方が、稽古の合間でボケてきます(笑)。舞台は役として接することが多く、コロナのせいもあってなかなか人柄に触れるのが難しいですけど、共演者さんの素の顔が見えるのが楽しいです。
舞台では敵同士ですけど、実際おしゃべりしてみると素敵な方で、そういう仲の良さは舞台上でも出るから、これからの稽古で距離を縮めていきたいです。舞台上でもそんなコミュニケーションが垣間見れる瞬間を作っていけたらと思っています」
――見どころを紹介してください。
「全部なんですけど(笑)、私の母の役をされている方と、荒れている家庭環境で会話するシーンがあります。そのシーンがお互いしんどくて、過去と今を行き来するんですけど、その差を見てほしいです。どうして強くならなきゃいけなかったのか、どうして一人で頑張らなければいけないのか、強くなる根源を見せられたらなと思っているので、そこを見ていただきたいです。あとは殺陣を頑張ります(笑)」
「三田ちゃんてアイドルだったの?」
――1970年代を描いているストーリーだそうですが、三田さんから見る70年代のイメージは?
「台本を読んでいるだけでは今との違いはわかりませんでした。ですが、社会の空気として、女性の立場が弱く描かれていて、今の感覚では生きづらい社会だなと思います。それを今の社会に変えてくれた方たちはすごいなと思います。タバコを吸うシーンがあるんですけど、今だったら『ここでタバコ吸う?』みたいには思いました。
男性陣がやりにくそうです。その時代の雰囲気を伝えるための女性蔑視のセリフ表現があって、言うたびに『つらいっす』って言って、ちょっと気の毒になります(笑)」
――三田さんを目当てに舞台を見に来る方はどんな方が多いのですか?
「グループにいた時代から応援してくださる方ももちろんいるんですけど、舞台で知って見に来てくださる方が増えていて、私のアイドル時代を知らない方も多いんです。『もうちょっと早く好きになってれば良かった』と言ってくださる方もたくさんいました。
私がアイドルを卒業するときには、ファンの方を大事にして逃したくないと思っていて、今まで応援してくださる方に新しい私を見てもらおうという考えのほうが強かったです。今になっても新しく自分のことを応援してくださる方がいるんだという発見がありました」
――ファンの方たちにはどう思われていますか?
「お芝居から入る人たちだから、『アイドルと思わなかった』と言ってくれます。共演者の方からも『え? 三田ちゃんてアイドルだったの? 48(フォーティーエイト)? え?』みてい言われて(笑)。それがうれしくて。元アイドルで得することも多いけど、それ抜きで“三田麻央”として見てくださる方が増えてて、それがすごくありがたいと思っています」
若者を手助けするお仕事をしてみたい
――演技以外の活動でこれからも続けていきたいと思っていることは。
「『声優になる』と言って卒業して、実際、声のお仕事もたくさんいただいて、そのほかのお仕事にも触れる機会がありました。アイドルを卒業したらもっと世界が広がって、いろんなことができたんです。本を出させていただいたり、個展をさせていただいたり、舞台もバラエティもいろんなことができたので、これでやっていこうというよりは、今、自分ができることを、可能性がある限り、探していこうという段階です」
――5年後にどうなっていたいでしょうか。
「5年後かぁ……32ですね。プロデュースしてみたいです。私が若かったときに、こうしてほしかった、ああしてほしかったと思うことがいっぱいあって、それを手助けするお仕事に就きたいです」
――NMB48では9期研究生公演を、同期の石田優美さんがプロデュースしますが、NMB48のことも気になりますか?
「ありますね。1月の元日公演は見に行きました。旧友たちが頑張っている姿は刺激になるから気になります。
『もっと自由にしていいのに』と思います。でも当時の自分に同じことを言われてもできない(苦笑)。今ならその意味はわかります。実際、『もっとやりたいことをやっていいよ』って私も言われていたんです。
だけど、できなかった。その理由が今、わかったから、なぜやったほうがいいのか、どういうやり方がいいのかを教えてあげたいですね。若い子の手助けをしたいです。
あとは、お店をやりたい(笑)。交友関係がすごく広がったので、その人たちが集まれるお店を作りたいです(笑)」
――そんな三田さんは、今、やりたいことは、できていますでしょうか。
「できてます!(笑) 自由にやらせていただいてます」
後悔をしてほしくないから観に来てください
――最後にインタビューをご覧くださっている方にメッセージをお願いします。
「きっとアイドル時代の私をご存じの方が多いと思うんですけど、卒業してからのことはずっと追えないと思うし、私もオタクだからそういうこともすごくわかります。
舞台は映像化されるかどうかわからないし、何より“生モノ”の圧を感じた瞬間に『もっと早く観ておけば良かった』と絶対に思うんです。だから、後悔をしてほしくないから絶対に観に来てほしいです。
今回の舞台は2本立て公演で、私は『ビューティフル』編ですけど、『ドライ』編があって、そちらは15日から19日までやっていて、そこには(NMB48を卒業した)井尻晏菜(あんな)もいて、井尻と私が同じ役をしているんです。
卒業したあとの因果関係も、アイドルを好きな方はおもしろいかと思うし、みなさんも舞台の扉を叩いていただけたらなと思います」
三田さんが出演する舞台は22日から26日。チケットはLUCKUP produce シリーズ2本立て公演 INDESINENCE Case:Beautiful Vermilion Ways | カンフェティで。(取材・撮影 岡田)