第1回目のコラムでお約束した通り、今回は、2001年10月27日~28日に取材した福岡第一高校「パラマ文化祭」(芸能塾ステージ)の模様をお送りします。
「パラマ」とは、サンスクリット語で、校名の由来にもなっている「第一の」という意味を持っており、生徒一人一人の個性を伸ばす教育を目指して、毎週土曜日に行なわれている課外授業の名称として知られています(10号記事参照)。なかでも「芸能塾」は、本格的なプロの芸能人を養成することを目的に、専門の講師(平尾MS福岡校の岩本伸朗先生、吉田美香先生など)を交えての講義やレッスンが行なわれており、出身者には、日本歌謡界のホープ、氷川きよしも名に連ねています。
ステージは27日1回、28日2回の計3回。27日はその氷川きよしをゲストに迎えてのステージで、生徒はもちろん、年配のファンの方々の歓声も加わり会場は盛り上がりました。この模様は、翌週のワイドショー番組でも放映されましたのでチェックされた方も多いかと思います。
2回目(28日午前)は地元の中学生の説明会を兼ねてのステージ。高校の関係者の挨拶で「これからモーニング娘。にも負けない舞台をお見せします」と紹介するなど、高校側の力の入れようがひしひしと伝わる気がしました。3回目との間には「中学生選抜カラオケ選手権」という企画もあったのですが、これがなかなかの実力派揃いで、将来の「芸能塾」を支える人材が出るのは確実なところです。ちなみに、審査委員長は前述の岩本先生でした(笑)。
そして、3回目のステージでは、着物姿あり、芸能塾全員の踊りありという華やかな演出で文化祭のフィナーレを迎えたのです。
若干のメンバー変動はあったものの、「三人祭」をキュートに決めた4人組の「Pinky」(メンバーの1人、宋美蘭は「ASAYAN」のグラビアアイドルオーディションに出場)、Dream、Folder5の曲を熱唱した3人組ユニット「EM2」をはじめ、ほとんどのユニットは3回とも出演、文化祭のレベルを遥かに超えたステージを披露してくれました。
こうした、正規の高等学校が芸能予備軍を育てることは3つの意味があると思います。
第一に、ブランクを作らないこと。
前回のコラムでお伝えしたように、最近では、高校時代に活動を休止してブランクを作る傾向が強まっていますが、せっかくの好素材も、休止している間に資質を枯らせてしまう可能性が大きいだけに、「学校」という単位で、モチベーションを維持しながら活動できるのは心強いことでしょう。
第二に、限定された期間のなかで進路決定ができること。
高校でレッスンできるのは、実質2年半と限りがあります。その期間のなかで、自分が芸能界で生きていけるかどうかを冷静に見つめ、高校卒業時には、上のステップを目指すか、別の道を目指すかを正しく判断できるメリットがあるのです。
第三に、少子化時代の「個性化教育」をアピールできること。
これは日本の社会が確実に少子化に向かい、高校間での生存競争が激しくなる中で、「この高校に入れば何ができるか」ということを、一般社会に明確に提示できることを意味します。
もちろん、日本のすべての高校が「芸能養成コース・芸能部」を作る必要はありません。それぞれの高校が、それぞれのポリシーに基づいて、いろいろなジャンルの人材を発掘、養成できれば、選択の幅も広がりますし、高校が生き残るための重要なファクターとなっていくと思います。
追記:福岡第一高校の姉妹校、第一経済大学付属高校(福岡第一高校に併設)では、2001年4月に正規の学課として「芸能コース」が新設されました。なお、パラマ塾には、両校の生徒が参加しています。