2004年11月27日、東京・かめありリリオホールで、ブロードウェイ・ミュージカル『34丁目の奇跡』のプレビュー公演があり、もちろん行ってきました。
ミュージカル『34丁目の奇跡 Here's Love』
→http://www.tennoz.co.jp/sphere/pickup/34th/34th.html
出演:別所哲也、愛華みれ、宝田明、
村上愛・鈴木愛理(ダブルキャスト)、
岡井千聖・萩原舞(ダブルキャスト)、他
この作品は、古くは1947年ジョージ・シートン監督・脚本の『三十四丁目の奇蹟』(Miracle on 34th Street)というクリスマス映画の代表作で、アカデミー賞を7部門で受賞しています。
メルディス・ウィルスン作詞・作曲・台本によるミュージカル『Here's Love』としての初上演は、1963年10月ブロードウェイのシューバート劇場で、翌年まで338回のロングランを果たしました。それ以降クリスマスの定番ミュージカルとして各地で上演され続けています。
そんな由緒あるミュージカルに、ハロー!プロジェクト・キッズの村上愛・鈴木愛理・岡井千聖・萩原舞が出演するわけですから、私は前売りチケット発売日に数日分の席をGET、すでに気合いが入っています。
プレビュー公演のこの日(11月27日)は、Berryz工房の5thシングル「恋の呪縛」の発売記念握手会が大阪であったので、かなりのキッズファンが大阪に行った模様ですが、私はそちらには目もくれず、かめありに直行しました。
ダブルキャストは楽しい
このミュージカルでは、子役が「ダブルキャスト」になっています。「ダブルキャスト」とは、同じ役に二人の役者が対等にキャスティングされることで、日本でも『四季』などロングラン公演なら、ごく普通にダブルキャストがあります。ちなみに、プレビュー公演(11月27日)の日は、スーザン・ウォーカー役が村上愛、ヘンリカ役が萩原舞でした。
「ダブルキャスト」の主催者側のメリットとしては、急病や体調不良などに対応しやすいことが挙げられます。現に仙台公演では一部キャストの変更がありました。
「ダブルキャスト」は観覧する側にもメリットがあります。好きな俳優が出演する公演を選択できますし、お金に余裕があれば「ダブルキャスト」の両方の公演を見て違いを比較する楽しみがあります。もちろん私は、鈴木愛理&岡井千聖の公演も観覧しました。
原作の映画・単行本・別劇団のミュージカルを見た人なら、同じ役同士の俳優(女優)を比較するのも面白いでしょう。例えばスーザン・ウォーカー役でいうと、ナタリー・ウッド(当時9歳)、マラ・ウィルソン(当時7歳)、石神瑠鈴、佐藤悠、村上愛(12歳)、鈴木愛理(10歳)なんて時空を超えた比較も、私はできちゃいます。
村上愛にスーザン・ウォーカーは適役
「サンタクロースなんていないのよ。母(ドリス=愛華みれ)も私も信じていないわ。あのサンタだって母が雇っているんですもの」……こんな大人っぽいというか、小にくたらしい子供=スーザン・ウォーカーの役は、やはり村上愛にピッタリでした。
2004年7月7日発売の後藤真希「横浜蜃気楼」のシングルV(DVD)のPVで、不良めいた村上愛が後藤真希バージョンのピンボールで遊ぶシーンが見事にハマっていますから、予想はしていましたが……。
本当のスーザン・ウォーカーは、パパになってほしいフレッド・ゲイリー(別所哲也)や、サンタさん=クリス・クリングル(宝田明)に出会ってから、可愛い少女にだんだん戻っていきますが、この「可愛さ半分、憎さ半分」を村上愛は見事に演じきっています。
フォローしますが、決して村上愛が半分しか可愛くないという意味ではありません。誕生日パーティー・シーンのメグちゃんは、めちゃめちゃ可愛いです(断言)。「可愛さ20%、憎さ80%」のマラ・ウィルソンとはわけが違います。
市川勇さん・林アキラさんなど周りのすごい役者さんと比較して、声量が不足しているなど欲を言えばきりがありませんが、今回、村上愛はミュージカル適性はかなり高い、と実感しました。村上愛なら、男の子役もできそうなので、私はぜひ「ピーターパン」役を強く希望します。
天使の歌声再び・鈴木愛理
鈴木愛理については、現時点では精一杯やっているんだけど、セリフの滑舌(カツゼツ)がもうひとつなのと、あまりにも素のアイリーンとスーザン・ウォーカー役のギャップが激しすぎたのかな、というのが印象です。
要するに、舞台の愛理ちゃんを見て、「この子がサンタを信じない子」にはなかなか見えないんですよ。愛理ちゃん本人も、
愛理:「自分の思いと反対のことをやらなきゃいけないから大変。スーザンは私たちとちょうど同じくらいの年代の子だけど、大人っぽすぎるよね。すごく生意気で、絶対に白馬の王子さまとか、見たり触ったり匂いをかいだりできないものは信じないって言ってて。」(『34丁目の奇跡』公式パンフレットより)
と話しているように、完璧に状況は理解してるんですから、本当に賢い子です。
以上のように、今回に関しては村上愛の総合勝利、とスクエアダンスは判定します。
ただし、冒頭の「ジングル・ベルズ」や、第1幕「HAPPY BIRTHDAY」、第2幕の病院で歌う「もうすぐクリスマス」など純粋に歌だけで言えば、音程・ピッチの正確さを含めて鈴木愛理が圧倒していました。ホールいっぱいに拡がる鈴木愛理の天使の歌声は、素晴らしいクリスマス・プレゼントでした。
以下は、このミュージカルについて私の感想が含まれているので、「一部ネタバレあり」となります。このコラムは、大阪最終公演(2004年12月28日)以降に公開し、またこのミュージカルの追加公演やDVD発売の予定は、いまのところありませんが、追加公演やDVD発売を見込んで、これから見ようと思っている人は、このコラムを読むのは控えてください。
すでにミュージカルを見た人、もしくはネタバレ歓迎でこのコラムを読みたい人は、スクロールしてどんどん見てください。