昨年(2004年)11月より、ドリームアイドルにてアイドルコンテンツの企画・情報提供をすることになりました。そのサイトで「レッツ岡田のビュンビュントピックス」というコラムを連載することになり、毎週1本コラムを新たに書き下ろしています。
今回は、そこで発表したコラム「アイドルイベント会場の撮影タイムでアイドルを撮る」「スタジオでのアイドルの撮り方、屋外でのスナップ」の続編として、桐村萌絵ちゃんを撮影したことでみなさんご存じのカメラマン・戚世(sekise)さんのインタビューを掲載します。
上記の2話が、アイドルを撮りたいアマチュアカメラマンを対象としていたのに対し、今回はカメラマン・戚世さんから見たアイドル論・写真論が中心となります。ですからアイドル志望の方も含め、多くの方に楽しんでいただけると思います。
撮りやすい子と撮りにくい子
Q:カメラマンとして女の子の写真を撮るときに撮りやすい子と撮りにくい子がいると思うのですが、まずそのあたりから聞かせてください。
基本的にコミュニケーションが取れる子は撮りやすいし、その反対は撮りにくいです。仕事として写真集やグラビアとして撮るとなると、最終的に作品として誰かが買うわけですから、「買う人がなぜ買うか」というところを考えて「買ってもらうためにどういう写真が必要か」というのを逆に考えていくと、タレントも出版社もカメラマンも山ほどいるなかで、僕がセレクトされた場合、僕の撮り方=僕が理想とする女の子のあり方を表に出さないと、ほかのカメラマンが撮ったのとなんら変わりがないわけです。
だから自分が撮りたい写真なり、自分が好きな女の子の表情やポーズを頭において、「自分なりに好き」と思うことが大前提。それに同意してくれる人が多ければ写真集が売れるというふうに思っているから、とにかく「納得できる、自分が好きな写真」を撮るようにしています。
その過程でコミュニケーションが取れないのは極端な話、彼女にもできないわけだから、コミュニケーションを取るために髪形や格好や大阪弁が役に立ったり立たなかったり(笑)してるわけです。
コミュニケーションが取りやすい子は、早く理想の女の子の写真を撮りやすくなるわけだから、ナチュラルな表情撮れたりしますよね。タレントによってはエッチっぽいことをしてくれるわけですね。それを、見てる人に対してしてくれてるかどうかだよね。
買う人が見て、自分が撮ってる気分になれるかどうか、その現場にいる気分になれるかどうかっていうのは、そのタレントが、見てる人にその表情やポーズを見せているというのが大前提ね。
Q:この場合の「見てる人」はカメラマンということでいいんですか?
そう。撮影会は誰を見たらいいかわからないかもしれないけど、ちゃんと僕に対してそれができなかったら、その先にいる読者が何かを感じてくれることはありえない。撮影会慣れしてると作り笑顔がうまくなるので、いざ本番になって誰見て笑ってるのかわからなくなる子もいるから、撮影会とグラビアの撮影と区別できるタレントでないと良い写真は撮れないね。
Q:「もうちょっとこういう感じ」って求めるのは撮ってるときにどのぐらい言葉に出すものなんですか?
最初出していって、そのポーズに持っていったら無言になっていく感じかな。僕の場合は最初のテーマだけ与えればお互いやることは決まってくるからあとは無言。ロケ場所とか衣装やヘアメイク変えたりするのはお互いテーマを変えようという意味もあるよね。
Q:無言で撮ってるときにはカメラマンはレンズ越しで理想の女の子を撮ってて、モデルはそれに応えようとしている関係になっているわけですよね。
無言といってもシャッターの音がするので、「シャッターの音=いい瞬間」というのはタレントは知っているわけだから、カシャカシャって続いたら「これでいいんだ」と思うだろうし、シャッター全然切らなかったら「え? いいのかな?」ってなってくる(笑)。だからシャッターの音はこっちの「いいよ」っていう表現だったり。
撮っていて将来ブレイクするのかわかるものなのか
Q:次の質問です。写真を撮っているときに、「この子は将来いいところまでいくぞ」というのはわかるものなんでしょうか。
確率的にいうと80%ぐらいわかる。今のレベルよりはかなり上がるだろうな、というのはわかる。
Q:それはどういう部分で感じるんですか?
ほとんどインスピレーションかな。
Q:撮ってるときにわかる?
撮る前からなんとなくオーラみたいなものがふつうの子よりあったり。撮影しだしたときに出てくる子もいるよ。ふだん「なんじゃこいつ」(笑)って思ってても、レンズ向けると急に「え?」みたいなこともあるね(笑)。あとの20%のはずれというのはどっちかというと予想外に近い。
Q:じゃあほとんどわかるってことですか?
周りの環境とか、運とか、事務所の力とか本人の性格とかで惜しいな、ということはあるから。
Q:今まで撮った子では誰になるんですか?
最初から絡んでたのは(桐村)萌絵ぐらいだけど、最初6年生のときに撮って、1作目ができたときに「これは結構いくなぁ」というのはあったけど。
Q:私も1作目を見たときにちょっと感じたものはあったけど、あの1作目だけだとどうなるのか正直見当もつかず、ただ、「化けたら恐いから早く押さえておかないと」と、ちょっと焦っていたのは確かですね(笑)。
萌絵とはほとんどしゃべらへんよ。会話がないのよ(笑)。会話がなくても空気でなんか感じてくれるみたい。きっとお父さんと娘みたいな感じで甘えてるんだね。ほかの人とは「仕事せな」という意識があるみたいで。
きれいに撮ってもらうためには?
Q:最後のテーマです。女の子がグラビアアイドルになりたいとして、予算もコネもないけどデジタル写真集をまずは宣材代わりにでもいいから撮ってもらおうと思ったとき、どういうポーズをしたらきれいに撮ってもらえます?
グラビアの対象は男で、ある程度お金を持っている年齢ということを考えると、男がお金を出してグラビアに何を求めるのか、AVじゃなくて写真集に何を求めているかというと、「自分が理想とする女」を求めているわけです。
どれだけ「女」を感じさせるか。たとえば昼間ならかわいく公園でデートできる女を求めていたり、落ち込んだときには慰めてくれたり、夜はベッドでお供してくれたり、いろんな女の人がいるわけで、求められているどの部分に自分が当てはまるのか。
たとえば元気を与えるための女の子として存在するのか、夜のお供になるのか、恋人どうしなのか。男は自分に対して「女」のどの部分を求めているか、というのがわかれば、それに対応したやり方というのがたぶんあると思うね。
Q:それを女の子自身がわかんなきゃいけないってことですね。それかまわりにわかっている人が必要ってことですね。
女の子だから裸になれば誰でも「おおっ!」って見てくれると思うけど、男が求めてるのは顔のかわいさ・きれいさだったり、胸の大きさや形、股間、お尻、脚とか千差万別だからね。「自分にしかできないことは何だろう」「女としてアピールできることは何だろう」と考えると難しいね。
Q:胸が大きいならそれはアピールしたほうがいいってことですよね。
男にない部分だからそこはアピールしたほうがいいよね。ポーズでいえば真っ正面よりはふくらみがわかる横のほうがいいし、立ってるよりはしゃがんでたほうが、とか、身体を前に倒すほうが胸が大きく見えたり、自然にひじで胸をまんなかに寄せたりとかね。
Q:撮ってあげる側からするときれいに写るポーズは?
写真の場合だと顔がちゃんと写ってて、胸の大きさがわかって、お尻の丸みもわかるという3点原則というのがあって、グラビアにはこういうのが多いですよね。ただ身体を相当にひねらないと(笑)。
Q:難しいですね(笑)。ふつうではありえないポーズ(笑)。
あとは、光がないと写真が写らないのでどれだけ光をうまく使うかってことです。
[取材後記]
いろいろ話を聞いていくと、私は絶対プロのカメラマンにはなれないなぁと思いました(苦笑)が、一連のインタビューのなかでどういう写真を撮ればいいのかというのが少しわかったような気がしました。商売として考えると、撮る側・撮られる側のプロとして考えると……という視点でグラビアや写真集、アイドルを見たことのなかった方はもう一度、手元にある写真集をパラパラとながめて見ると新しい発見があるかもしれませんよ。
【満足度】 4
【コメント】 私は20歳なのですが今からグラビアアイドルを目指すのは遅いでしょうか?井上和香さんや釈由美子さんなんかも20から活躍されていたとおもうのですが、やはりなにか特別なものをもっていないと難しいのでしょうか…。 私の場合、むしろ欠けている部分の方が多いのですが岡田隆志先生のアドバイスも参考にしてチャンスを掴めるよう努力したいと思います。
【ペンネーム】とまと
■感想ありがとうございます。お願いですので“先生”はやめてくださいね(苦笑)。岡田さんで構いません。
さて、20歳が遅いかどうかですが、全く心配ありません。本サイトの表紙をやってくれた福永ちなさん、伊藤えみさんは20歳過ぎてから活動を開始しています。今、テレビに出ているグラビアアイドルではほしのあきさん、愛川ゆず季さん、工藤里紗さんも20歳を過ぎてからグラビア活動を開始しています。
ただ、若い人よりはチャンスは多少少ないので、瞬発力は求められます。できれば業界にコネがある大きめな事務所のほうがいいと思いますが、そうでなくてもチャンスはあります。「瞬発力」のほかにもある種の「覚悟」も必要かもしれません。「フルヌード以外なら何でもやる」という子は結構いますし、グラビアだけでない“何か”は持っている必要があるように感じます。
その“何か”はあなた自身がわかっている必要はありませんが、あなたをプロデュース、マネージメントする人はその“何か”に賭けてあなたを売り出してくれるでしょう。そういう人たちとの出会いがあればうまくいく可能性が高まります。とにかく最低でもウエストは細くしておいて、業界関係者との出会う機会をたくさん作っておきましょう。(岡田)