渋谷のスクランブル交差点から始まる青春群像映画「ちいさな恋のものがたり」(萩原将司監督)が公開され、その舞台挨拶に田中幸太朗さん、映画初出演となった鹿谷弥生さんが登壇しました。(2008年4月20日 シアターN渋谷)
この映画は渋谷を舞台に上京してきた女、東京で行き詰まった男、東京で生まれ育った少女、東京しか選べなかった男らがそれぞれの物語を展開するもので、小野真弓さん、田中幸太朗さん、宮地真緒さん、浜岡一喜さんらが出演しています。
公開初日の19日には小野真弓さんも舞台に立ったのですが、取材スケジュールの都合で行けませんでしたので、20日に取材してきました。その様子をお届けします。
舞台挨拶
――実際に映画を見てどの部分がお気に入りかというのを聞かせてください。
田中幸太朗「朝方に小野さんと僕が帰ってきて、若い二人がいちゃいちゃしてるのがすごく好きでした」
鹿谷弥生「ライブのシーンが大好きです」
萩原監督「昼間東急デパートの屋上から女子高生たちが渋谷の街を見下ろしているところが好きでして、あのシーンだけが客観視して見ているようで気に入ってます」
――役柄と自分自身を比べていかがですか?
田中幸太朗「あそこまで僕はクールじゃないんですよ。一致する点は純粋な(笑)」
萩原監督「田中さんは黙っていると2枚目なんですけど、しゃべると結構3枚目なんですよ」
鹿谷弥生「光役はしっかり者なんですけど、自分はしっかりしてないっていうか、しっかりしてないんですけど、じゃあ」
――「じゃあ」?(笑)
鹿谷弥生「(笑)屋上で、光が辞書を読んでるシーンがあるんですけど、辞書は本当に読まなくてあんなに薄っぺらいとは思わなかったです」
――(笑)。キャラと一致してるところは?
鹿谷弥生「高校生のみんなと一緒にふつうにしゃべってるシーンとかが一致しました。楽しかったです」
田中幸太朗、鹿谷弥生
――それは良かった(笑)。監督、演出するにあたって気を使った部分はありますか?
萩原監督「ふだんの印象と役柄と比べて、どうギャップを埋めていこうかと。実は鹿谷さんは、リハの段階で結構きついことを言いまして、最初しゅんとなっちゃったんですけど、そこから彼女のすごいところは本番までに本当に私のいないところで練習を重ねてきて、本場のときにはふだんと同じように見えるようにバッチリ芝居をしていただきました。田中さんについては現場でこちらから細かい演出をするよりも、田中さんから出てくるものを拾いたいと臨んだらほとんど言うことはなかったです」
――このシーンは見てほしいというところは。
田中幸太朗「僕はやっぱりライブシーンですね。スカッと終わる感じで」
鹿谷弥生「同じライブシーンなんですけど、ほかには渋谷の屋上からスクランブル交差点を見るシーンがあって、そこでもう一人の湯川舞ちゃんが本当の友達とぶつかってるシーンがあるんですよ。探して見てください」
劇中のメイン曲を歌っている「かりゆし58」さん(4人のうち2人)も舞台に登場し、歌を1曲披露したのち、観客から選ばれた5人が花束の贈呈をし、舞台挨拶は終了となりました。
萩原監督、かりゆし58
囲みインタビュー
舞台挨拶後、別室で囲みインタビューが行われましたので、代表してお話をうかがいました。
――まだ映画を見ていない方もいると思いますので、役柄の紹介を教えてください。
田中幸太朗「修役をやらせていただいた田中幸太朗です。修はバンドをやっていて、ギタリストをやりたかったんですけど、あるきっかけからお金が足りなくなって、それを補填するために裏稼業にいき、どんどんダークな方向に行くんですが、でも結局……って感じなんです」
鹿谷弥生「橘光役をやらせていただいた鹿谷弥生です。光は女子高生役で、小野真弓さんが落としたお金を拾って、(落とし主を)一緒に探すグループの一人でしっかり者の役です」
――「ちいさな恋のものがたり」という題名だけに、恋の展開があると思うんですが、恋の物語の展開でおもしろいと思われるところは。
田中幸太朗「修のところで言うと、小野真弓さんが演じている、田舎から出てきた純真できれいな人に出会って変わっていく修の抱く恋心が必見です」
――鹿谷さんは女子高生役として、どういう風に自分を出していますか?
鹿谷弥生「映画を撮っていた頃は卒業したばっかりだったので、女子高生の役で全然いけたんですけど、懐かしい反面、自分の女子高生の時代はあんな風に渋谷で遊んだりしなかったし、部活でスポーツばかりやっていたので、こういう放課後もいいなって思ってやってました」
――実際の高校生のときには放課後は何をしていたんですか?
鹿谷弥生「えっとは」
田中幸太朗「えっとは?」
――高校のとき何の部活をしていたんですか?
鹿谷弥生「あ、バスケットです(笑)」
――田中さんは実際には三枚目だそうで、演技になるといろいろ変わるそうですが。
田中幸太朗「もちろん役によりますよ」
――今回の役を演じるにあたって気をつけたところはありますか?
田中幸太朗「自分は三枚目なので、もっとクールにかっこよくやりたいなとは思いました」
――鹿谷さんは演技は初めてに近い状態なんですか?
鹿谷弥生「初めてです。まだミスマガジンの16人から5人になるあたりだったので」
――初めての演技の感想は?
鹿谷弥生「やっぱり、台本を読むのと普段話してるのでは全然違うというか、台本をいかに自然に読めるかっていうのがすごく難しくて、テレビの中の女優さんがふつうに見えるのがすごいなと思いました」
――それぞれのファンにメッセージをお願いします。
田中幸太朗「普段忘れていた純粋な恋心を思い出せるきっかけになると思います。ぜひご覧ください」
鹿谷弥生「高校生役として制服を着て出ているので、そこらへんを見ていただければと思います。これからも頑張ります。よろしくお願いします」
鹿谷さんの天然ぶりは相変わらずで聞いてて楽しくなります。映画は5月9日までシアターN渋谷で上映中です。(撮影・取材 岡田)