新年を迎えました。本年もよろしくお願いいたします。今回は2003年アイドルDVDイベントを総括する意味も含め、本サイトのイベントレポートについて考えてみます。
イベントレポートを開始
『スクランブルエッグのコラムを持って街に出よう』(以下「コラム本」と略記)に書き下ろしましたが、速報性や情報伝達性を考えるときに、以前にも増してWeb媒体は欠かせないものとなってきたため、Web媒体に載せることを前提とした取材が大半を占めるようになってきました。
2003年に本サイトで発表したイベントレポート(インタビューを含む)は50本、週に1本弱の割合です。実際に取材した本数はもう少し多いですが、秋葉原近辺で行われているイベント数に比べれば微々たるものです。
今年からサイトのトップページ左下に「イベントチェック」というカテゴリーを設け、イベント会場を都内4ヵ所、大阪1ヵ所リストアップしてリンクを張りました(※後日、イベントチェックを新設)が、毎週末、これらの会場で常に複数のイベントが組まれている状況を見ていると、この5会場だけで1000本近くのイベントが毎年組まれている計算になります。
本サイトのレポートは、そんななかでのわずか50本ではありますが、他のサイト、他の媒体にはない独自なレポートを目指して毎週取材・掲載を続けています。
グラビアアイドルは飽和状態!?
コラム本に、2002年に初のソロイメージDVDをリリースしたアイドル147人をリストにまとめました。2001年から2002年、そして2003年と、新人グラビアアイドルのDVDのリリース本数は劇的に増えています。特に2003年は新人がDVDを出したくても出せない“リリース待ち行列”状態が一部で起きました。
メーカー・販売元が、「真に売れるものしか作らない」と決断する状況は目の前にあるかもしれない……そんな危惧さえ感じる1年でした。DVDを作る技術・販路などを考えると独自に制作して販売するのも当然ありでしょう。とにかくアイドルDVD市場は少しずつ変わってきていることだけは確かです。
「グラビアアイドルはもはや飽和状態」と雑誌のグラビア担当編集者が言ったのを人づてで耳にしました。みなさんはどのようにお感じですか?
1年前は「モー娘。&上戸彩独占状態」で、グラビア系タレントは優香、MEGUMIなど数えるほどしか活躍できませんでした。2003年の半ばから、ようやく巨乳系ばかりでなく、小倉優子などのロリ系、そして若槻千夏などのレースクイーン系、インリン・オブ・ジョイトイなどセクシー系まで、バラエティに富んだグラビアアイドルが次第に違和感なくテレビに出られるようになり、多少時代は流れてきたようにも感じます。
とはいえ、どの世界にも「初めあるものは終わりあり」なので、グラビアアイドルは飽和状態と言われれば確かにそうなのかもしれません。それはモーニング娘。が一部の人たちから見たら終わっているのと同じような意味で正しいような気がします。
「グラビアアイドルは飽和状態か」と聞かれれば、「一部のグラビア系紙媒体のレベルではそうだが、まだ飽和状態に達していない」というのが私的見解です。
人気グラビアアイドルに共通するもの
私がDVD発売記念イベントの取材現場で注目しているのは、たくさんいる新人アイドルのなかでどういったタレントが将来ブレイクしていくかについてです。そのためにアイドルの様子やファンの反応を観察しながら共通項を見つけ出そうとしています。
今回は人気=観客動員数という簡単なバロメータで“人気のある”タレントに共通することは何かを考えてみました。
私たちが取材対象にしたいアイドルは、主に次のような点を基準にしています。
- 生で見てみたいと思う人
- 新鮮度が高い人
- Recommended Eggsとして応援してみたいと感じている人
1.と2.はDVDを購入してイベントに参加するファンの方とそれほど動機が変わるわけではありません。3.については、近い将来ブレイクしそうな人を発掘・応援するメディアとして推薦したい気にさせてくれることが必要になります。ですからすでに多くのマスメディアに露出している有名なタレントはあまり取材に出向きませんので、人気がありすぎる(と思われる)タレントは正直いって今回の話題の対象外となります。
また、ファンにとっては当たり前のことなんですが、次の点も人気のバロメーターとなります。
- トークが面白い人
- 写真をたくさん撮りたくなる気にさせる人
このあたりになるとタレント性の差がはっきりと出てきます。囲み取材のときにもはっきりと出てきます。
リピーターができるかどうか、より多くのファン層を形成できるかは、この4.と5.にかかっています。メディア側の立場から見たときの先の道筋は次のようになるでしょう。
- トークが面白い→機転がきく→テレビ番組で使えるかも→じゃあ紹介してみるか→じゃあ使ってみるか
- 写真をたくさん撮りたくなる→ポーズや表情の引き出しをたくさん持っている→グラビアで使えるかも→じゃあ紹介してみるか→じゃあ使ってみるか
スクランブルエッグとしてはこの過程の2番目と3番目の要素を記事のなかに埋め込んで、私たちが直接紹介しなくても、業界の人が興味を持ってWebを検索したときの重要な参考資料として活用してもらえるように工夫しています。
もう一点、ファンにとっても取材する側にとっても人気を決定づける面で大切なのは「相手のことを覚えていること」なのですが、残念ながらそれは掲載記事のなかには出てきません。たとえ覚えられていなくても1対1のときの対応でリピーターになる人は実は多いのです。対応方法や相手の感じ方はそれぞれに違い、正しい答えがあるわけではないのですが、人気のあるタレントはそのあたりの心のくすぐり方が非常にうまいのです。
当然、ファンに対しても関係者に対しても同じであったほうが受けがいいです。真実は実際に現場に行っているファン、毎回居合わせているお店側の人、実際に現場にいる数少ない取材陣だけが知っているのです。
イベントレポートの役割
イベントを観察していると、いつも来ているお客さんもいれば、あるアイドルのイベントだけに来る熱心なファンの方もいます。実際のところ、いわゆる“アイヲタ”でくくるには大ざっぱすぎるほど、ファン層は細分化しているのが現状です。DVD発売記念イベントには行かない人にも実にたくさんのアイドルマニア層がいるのを知っています。
そのなかで本サイトがDVD発売記念イベントになぜ注目しているかというと、ブレイクへの突破口が見えやすい道筋に位置しているという点です。
たとえば以下のようなフローがあるとします。
(1)DVDをリリース
(2)握手会などのイベントをする
(3)スポーツ紙やWeb媒体に紹介される
(4)アイドル雑誌やグラビア誌に紹介される
(5)BS、CS番組に出演する
これらを数回繰り返していくことで、ある程度タレント性やターゲットとするファン層が見えてきます。
うまくいきそうな場合には、
(6)ヤングコミック誌やグラビア誌の撮り下ろしグラビアや表紙
(7)地上波の深夜番組やバラエティに出演
といった展開が予想されます。
もちろん大きなスポンサーがいたり、業界の政治的力学を使えば前半の面倒な手続きを経ることなく露出展開が可能ですが、それではファンとしてあるいはメディアとして応援する気にはなれません。
本サイトのイベントレポートは基本的には上記フロー(3)の役割なのですが、私たちのメディアがどこまで役に立っているのかはわからないにせよ、手元に象徴的な雑誌があります。
「ZaVaDa」(BOMB1月号別冊)68-69ページの逆さ野球拳の6人のうちの左3人が山本早織、桐村萌絵、桜木睦子でした。この3人に共通なものは特にないですが、少なくとも1年前にはアイドル誌・グラビア誌でこういう組み合わせは考えられませんでした。
また、2003年9月の『週刊プレイボーイ』誌には3週連続で本サイトRecommended Eggs(桐村萌絵、吉川綾乃、山本早織)たちがグラビアページに登場し、全国誌を少しだけ先取りする形でWebで紹介できている一定の役割を果たせたようで、彼女たちを応援する立場として大変うれしく受け止めることができました。
なにせRecommended Eggsは1年で24組しか紹介できないので、そのなかで彼女たちがブレイクの兆しを見せているのは頼もしい限りです。今後も多くの方々に役に立つイベントレポートを心がけていきますのでどうぞよろしく。