以前に撮影会についてのコラムを書きました。今回はアイドル・レースクイーン系の撮影会について、こういった撮影会がいいのではないかという提言です。
キャスティング
キャスティングは撮影会の集客を決定する最大の要素ですから、もちろん主催者により過去の実績、プロダクションからの売り込み等を考慮して決定されていることでしょう。
撮影会によっては、どのモデルを目的として参加したかアンケートを取っている場合もあります。撮影会ではサイン会を行う場合が多いですが、サインの希望者がどれくらいいるかでもモデルの集客力が判断できます。このときにサイン券を配布して回収している撮影会もありますが、モデルごとに集計している様子はありません。あれをみているたびに集計すればデータが取れるのにもったいないと思います。
ソロの場合は別として、複数のモデルが出演する撮影会の場合は、同系統で人気のあるモデルとそれほどでもないモデルの組み合わせが最適でしょう。人気のあるモデル同士だと参加者が集まりすぎて環境が悪化しますし、満員で断るのは好ましくはないでしょう。
また、たとえばロリ系とお姉さま系のモデルを組み合わせても、客層が二分されてしまうだけで片方の参加者が他方に流れる可能性が低いので、ファンを増やしたいモデルにとっても参加者を増やしたい主催者にとっても、あまり意味がありません。
同系統で人気が確立して集客が見込めるモデルとこれから売り出そうというモデルを組み合わせるのが、理想的です。
パブリシティ
前回のコラムの時点ではまだ雑誌広告が多かったのですが、最近の撮影会はWebページの告知だけで雑誌広告を出稿しないところが増えてきました。
ある程度メジャーな撮影会ならWebだけでも十分ですが、新規参入の場合は雑誌広告を行ったほうが良いかと思います。最近のモデルはblogくらい書いているでしょうから、そこで「今度○○撮影会に出演しますので来てください」と書いてもらうのは当然ですね。
ロケーション
野外の場合は公園となりますが、許可を得られるところは限られているので、場所がある程度固定されてしまうのはやむを得ません。
東京の場合は、お台場近辺が最も多数の撮影会に使用されているのではないでしょうか。あまり大きな公園の場合は撮影よりも移動にかけている時間の方が長くなってしまいますので、撮影場所さえ確保できれば小さな公園の方が好ましいです。途中で天気が崩れる場合まで考えると、どこかに屋根のある場所があるのが理想的ですが、難しいところです。
野外の場合、ロケーションは撮影会のスタッフが決めるわけですが、スタッフによってはロケーション選択のセンス、バックの抜けの考慮とかレフの当て方がいまいちなこともあります。あまりにひどい場合は参加者からクレームがつきますので、写真についての最低限の基礎知識は必要です。
あと、開始時の集合場所からだんだん移動して行って、最初とは違う場所で解散することがあります。小さな公園(東京なら哲学堂公園とか)なら問題ないですが、大きな公園(東京なら代々木公園とか)でそれをやられると慣れていない参加者が帰り道に迷ってしまいますので、やめてほしいものです。
スタジオ
撮影会のスタジオといっても、大規模なスタジオから小規模なハウススタジオ、はてはマンションの一室に過ぎないものまでいろいろあります。バックは単色で特にセットもなく椅子をいれるかどうかくらいしか変化をつけない場合もあれば、ハウススタジオのようにそのままでもいろいろなシチュエーションが可能な場合もあります。どちらかといえば、いろいろできるようにセットがある方が望ましいです。
ライティングは、電球でも蛍光灯でもかまいませんが、ISO200でSS1/125、f4が切れるくらいの光量はほしいですね。
上はセットを使った例、下は単色バックの例です(モデル:古崎瞳[スリーライズ])。
運営・進行
参加人数は、モデル1名につき最大でも15名程度が上限でしょう。できればこの半分以下が望ましいです。参加人数が多くなると、当然ひとりあたりの撮影時間がとれなくなり、枚数規制とか秒数規制とか細かい規制が増えて参加者の不満が高まります。
複数のモデルを出す場合は同時に出して並行に撮影を行うのが通常のパターンですが、時分割で前半はモデルA、後半はモデルBという出し方をする撮影会があります。スタジオで同時に出せないとかならともかく、野外でこれを行うと特定のモデル目当ての参加者には著しくコストパフォーマンスの悪化を感じさせるのでやめたほうが良いでしょう。
同時にモデルを出す場合でも、参加者の撮影ポジションを固定して目当てのモデルばかりを撮れなくするのも同様にコストパフォーマンスを悪く感じさせます。原則的には、モデルは同時に出して並行で撮影を行い、参加者が自由にモデルを選択できるようにするべきです。
コスチューム
野外が私服、スタジオが私服と水着半々というのが一般的です。しかし毎回そればかりだと参加者の方も飽きてしまいますので、ときどきは変わったコスチュームも企画した方がよいでしょう。着付けをどうするかという問題はありますが、正月には振袖、夏には浴衣というのは定番ですね。
コミュニケーション
参加者とモデルのコミュニケーションですが、撮影しているときは他の参加者の撮影の妨げにもなるので、ほどほどに抑えた方がいいでしょう。野外の休憩時間については、自由な撮影会もあれば完全にシャットアウトしてしまう撮影会もありますが、希望するモデルにはコミュニケーションの機会を与えられるよう、モデル自身が選択できるのが最善と思います。
スタジオでのサイン会は、設けた場合と設けない場合では設けた場合の方が集客が良いという現実がありますので、設けたほうが良いでしょう。
撮影後の画像使用
撮影後の画像使用に関して許可申請を義務付ける撮影会が多いですが、これはパブリシティ権を有するモデルの事務所と参加者の間で解決すべき問題であり、わざわざ撮影会主催者が介在する必要はないと考えます。
顧客管理
会員制度を設けて入会金を徴収し、会員には会員価格という撮影会は多いですが、そうやって集めた顧客情報をあまり有効に活用しているようにはみえません。
案内の電子メールを送ってくるところはありますが、以前にどのモデルを撮影したかまで考慮しているところはありません。前回撮影したモデルが再度出演する際にメールを送付するとか、Amazonのようにこのモデルを撮りに来る参加者はこちらのモデルも撮りに来るという分析までしたいところです。
最後に、こういった撮影会の場合、撮影に重点を置く参加者とコミュニケーションに重点を置く参加者の両方がいます。対象がタレントなので後者の比率が高いとは思いますが、高額の参加費用を徴収しているのですから、撮影についてもそれなりの考慮をお願いしたいところです。
過去には半分イベントのような位置付けで、スタジオを使いながら照明が用意されていないといったものもありました。どこでバランスを取るかは難しいところですが、あくまでも「撮影会」であるということを前提に行っていただきたいと思います。