半年前のコラム「後藤真希脱退の影響」の冒頭、後藤真希はCDセールスが落ち込んでいる状況下で独立を考えているのは、論理的におかしいと書きました。
今回は、その後の推移を踏まえた後藤真希の現状について書いてみようと思います。
ラストシングルの可能性
後藤真希はミリオン歌手です。その後藤真希のセールスパワーが、危険水域にまで落ち込んでいる現実を誰も指摘しません。おかしな話です。
2002年12月18日発売の「サン・トワ・マミー」は、カバー曲なので売れなくてもそれなりの説明がつきますが、2003年2月5日発売のファースト・ソロアルバム「マッキングGOLD」の不振は、説明がつきません。
まして、松浦亜弥のアルバム「T・W・O」(とうとう・わたしは・おこった?)が絶好調なだけに、後藤真希の不振ぶりが際立ってみえます。
ただ、CDショップの店頭での感触は決して悪くありません。女子中高生が後藤真希を話題にしているシーンに何度か出くわしています。感触的には、20万枚以上売れてもなんら不思議ではないはずですが、現実には、その半分にも届いていません。
アルバムだけでいえば、すでに「ごまっとう」が「まっとうご」になっていますが、「まっとうご」なんていう言葉は、日本語にはないし、語呂が悪すぎます。とうとう、芸能界も《宇宙語》が飛び交う時代になったようです。
3月19日発売の新曲「うわさのSEXY GUY」の目標数字は、「サン・トワ・マミー」なのでしょうか、それとも藤本美貴の「ブギートレイン'03」なのでしょうか、はたまたメロン記念日の「赤いフリージア」なのでしょうか。セールス的には、そのレベルまで落ち込む可能性があります。
目標がどうあれ、ミリオン歌手に傷をつけるわけにはいきません。
常識的には「おとめ組」加入
モー娘。の分割論が出たときに、「さくら組」と「おとめ組」の人数を揃えようと思えば、いくらでもできたはずです。8人と7人という不揃いのまま公表したのは、「おとめ組」に後藤真希を加入させるために空けておいた、と勘ぐっています。そうなれば、8人ずつになって、バランスがいい。
タイミングは、2003年9月23日。
「1年間の約束だったので」、と復帰宣言をすればいいだけの話です。たぶん、誰も反対はしないでしょう。
後藤真希に関しては、数字の話ばかりしてきました。別に、根本的な問題を避けていたわけではないのですが、このほうが分かりやすいからです。
後藤真希がソロとして、独り立ちすることに反対した大きな理由は、その性格にあります。もともと後藤真希は、ユニットの一員としてスカウトされたわけで、松浦亜弥や藤本美貴とは出発点が違います。
それに、歌唱力・表現力・パワーだけで選ばれたとは思えません。共同生活が送れるかどうかの判断を受けてスカウトされたはずです。簡単にいえば、ソロには向かない性格、と判断されたからこそモー娘。の一員になれたのです。
それに、2002年7月の時点で、解散したSPEEDの状況も十分わかっていたはずです。ユニットで売れたからといって、ソロでも売れる保証はまったくない、ということが。
ソロがダメなら「おとめ組が待ってるサ」、ではチョット安易すぎるでしょうが、現実問題として後藤真希が行き詰まっているのは明らかなので、今こそ打開策を考えるべきだと思います。
才能は温存
ユニットのメンバーの多くが、いつかはセンターで歌いたい、いつかはソロデビューしたい、と考えているに違いありません。後藤真希を見ているとその典型と思えますが、その対極のケースもあります。
私の好きな歌手、上原多香子(元SPEED)、MAIKO(ZONE)、紺野あさ美(モー娘。)に共通していることがありますが、分かりますか?
地味、とか勉強ができそう、という答えは考えすぎで、見たままが正解です。
三人とも、ステージの右端で歌っています(上原は歌っていました、ですが)。正解は、上手(かみて)で遊んでいる子(こういう表現が好きなので使います)です。
内面は覗けないにしても、はたから見る限り、気楽に仕事をこなしているようにみえます。少なくとも、才能を浪費している風にはみえませんし、上手を(じょうず)と読ませようという無駄な努力をしている風にもみえません。
後藤真希にもそうしたうまさというか、ずるさがあってもよかったと思います。
6期生の亀井絵里、田中れいな、道重さゆみも、ゆめゆめソロデビューなんて考えないことです。
ユニットの一員としての才能を認められたからこそ、スカウトされたわけですから。アッ、また6期生のことを書いてしまった。