だいぶ昔、「芸能人は歯が命」っていうCMが流れ、ちょっとした流行語になったのを覚えてますでしょうか。今回はアイドルの笑顔の話です。
アイドルやアイドル予備軍の写真を撮ると、どうしても気になるのはその笑顔。もちろん「芸能人は歯が命」というぐらいですから、歯並びや歯の面積もわりと大切な要素なのですが、今回は歯のことはひとまず置いておきましょう。
テレビ番組や記者会見など、見なれない人たちの中で芸能人たちは笑顔を半ば強要されます。それは芸能人だけではなく、スポーツ選手、政治家、会社社長など、多くの人から注目を浴び、テレビや新聞などで話題にされる価値のある人は多かれ少なかれその“笑顔”を求められるものです。
“笑顔”を求められるのは、その人の印象を良くするためであって、カメラマンがその被写体となっている人の笑顔を個人的に見たいのではありません。視聴者や読者の目を代表しているつもりで、どうせ撮るならその人の見栄えや印象を良くするために撮りたいし、撮ったものが採用されないと自分自身の生活にも響くわけですから、撮る側も必死で笑顔を求めます。
撮られる側の人たちも慣れている人は心得ているもので、カメラを向けられたときには一定の“決め顔”を持っていて、心の中でどんなつらいことや腹が立つことがあっても、その“決め顔”が出せるようになってきます。消極的な言葉でいえば“仮面”みたいなものなのですが、それはそれで「あの人、今日はなんだか……」などと周りの人を心配させることがないぶん、楽な方法だといえます。
「歯見せて」「笑顔でね」と言われるアイドル
デビュー間もないアイドルでうまく笑顔が作れない場合、取材するカメラマンは「歯見せて」「笑顔でね」などと声をかけることになります。時間があればそんな野暮なことは言いませんが、短い取材時間で共同で写真を撮るとなると、直接的な言いまわしにならざるをえません。
そんなシチュエーションでうまく笑顔を出せるかどうかが、カメラマンの目から見たアイドルの第一印象であるのをご存じでしょうか。
慣れてないなら慣れてないなりに引きつった顔になるかもしれませんが、それは場数の問題で、そのうちどうにでもなるような気もします。ちょっと慣れてくると、あんまりいいとは思えない“決め顔”を作れるようになります。もっと慣れてくると、作り笑顔なのか本当の笑顔なのか区別がつかないほど笑顔が板についてくるようになります。
テレビに出ていて記者会見や舞台挨拶にも出たことがあり、スキャンダルのネタをスクープされそうなアイドルはたいていは万人受けする笑顔を作れるものです。モーニング娘。や上戸彩に「笑ってください」なんて言わなくったってきちんといい「絵」ができるのです。
記者会見かサイン会か忘れましたけど、カメラマンが笑顔を求めたときにある女優が「面白くもないのに笑えません」と言ったのだそうです。又聞きなのでどういうシチュエーションなのかがわからないのですが、芸能人は笑顔を見せるのが仕事のひとつだとしたら、その仕事を拒否しているわけですから、それでいいものなのかな、と疑問に思います。
アイドルの笑顔がもたらすもの
私がアイドルに求める笑顔っていうのは、作り笑顔ではない、心の底から楽しみ、笑っている笑顔、そしてそれを見ることによって癒され、元気になれるようなものです。いろんな話の中で、思わず本音で笑ってしまったような、心を許した相手だけに見せる笑顔、そんな笑顔がいちばん素敵だと思います。
そんな笑顔を写真や映像に収められたらどんなに多くの人を楽しませることができるだろう、と思いながらいつも取材しているのですが、ほんの数分で地をさらけ出すことができる新人アイドルがそんなにたくさんいるわけでもありません。
そして、その本音の笑顔はその場にいる人にとってはとてもかわいく美しいものでも、グラビアとして商品価値が高いのかというのとはちょっと違う点もあるので、ピックアップするのが難しかったりします。
今回紹介した石井めぐるちゃん、山本早織ちゃん、大山貴世ちゃんの3人は何度も取材しているのですが、私の心を癒してくれる笑顔を持っているアイドルで、今以上にもっと活躍してくれたらと思っています。
石井めぐる
(MONDO21「グラビアの美少女」に登場)
彼女を初めて見たときからその笑顔に心の底から癒され続けています。作っていようがいまいがこんな笑顔を毎日してくれたらどんなに幸せになれるんだろうと思う。
山本早織(山本早織のアンキシャス)
スクランブルエッグのサイトで最もイベントレポートが載っているアイドル。話していて何かすごくうれしいことを思いついたときに見せる三日月目がめちゃかわいい。
大山貴世
(COCOaデビュー2周年記念ライブより)
アイドルユニットに在籍(当時)のかたわら、セーラームーンのミュージカルにも出演。COCOaでデビューして2年間ずっと見ているけど、いつもその笑顔は輝きつづけ、私の心をひきつけてやまない。