博多を拠点とするAKB48の妹分となるアイドルグループ、HKT48の第一期生オーディション最終審査が行われました。その様子をお届けしています。(2011年7月10日 ヒルトン福岡シーホーク)
HKT48 第1期生オーディション最終審査ドキュメント(1)
HKT48 第1期生オーディション最終審査ドキュメント(2) 歌唱審査Part1(候補生紹介) の続きです。
歌唱審査(続き)
本記事でソロで登場する女の子は最終審査での本人と保護者の掲載許諾を得て、「HKT48第1期生候補生」として合格した人です。合格していたとしても撮影許諾が得られてなかった参加者もいますのであらかじめご了承ください。
歌唱審査ここで終了。審査員は別室に移動して合格者の選定をします。
結果発表
合格者は番号順に呼ばれ、呼ばれた人は手を挙げて返事をします。思わず泣き出してしまったり、会場で知り合った合格者どおし抱き合ったりとオーディションならではの光景が見られました。最終審査参加者40人(42名エントリー2名欠席)のうち、合計24人が「候補生」という形で合格となりました。
秋元康総合プロデューサーより合格者へ簡単な挨拶がありました。抜粋してお届けします。
「合格したといってもまだ研究生という形でこれからレッスンをしていただきます。何が違って合格になって不合格になったのかは正直なところ僕たちにもわかりません。たぶん、それはみなさんへの期待、『何か光るものがあるんだろうな』という期待値ですから、これからみんなが磨いてこんなに光っていくんだというのを見せてほしいなと思います。
そしてみんな努力すると思うんですけど、努力するのは当たり前で、その先に何があるのかということを学んでほしいと思います。たぶん、努力したら努力しただけたぶん見えてくるものはあるし、たぶん、夢っていうのはみんなが全力で両手を伸ばした1ミリ先にあるので、なかなか手ごたえがないこともあります。
そのときにあきらめて手を下ろしてしまったら絶対に届かない。もしかしたら夢が指の先の1メートル、10メートル、100メートル先にあるように見えても、まわりからみると『あと1ミリなのになんでやめちゃったのかな、なんでそこで努力をやめちゃうんだろうな』ということが僕たちは見ているとよくあります。なので気を抜かないでもうちょっと頑張ってください」
そのあとは秋元康プロデューサーを囲んで簡単な会見が行われたのでその内容をレポートします。
――まずはオーディションを終えた率直な感想からお聞かせください。
秋元康「いちばん違うと思ったのはおしゃれな子が多いなと思いました。洋服のセンスであるとか、スタイルのいい子はいっぱいいるんですが、その自分のスタイルに合わせたファッションをしてたところがほかのところとはちょっと違っていました。もう少し普通はアイドルになりたいというオーディションだとアイドルに寄った子が多いんですけど、今回、アイドルだけじゃなくておしゃれな感じの子が多かったのが印象的でした」
――九州でどういうチーム作りをされたいですか。
秋元康「僕らも正直わからないんですよね。つまり、コンセプトがあってこういう風にしたいと作りはじめてもこのメンバーがそれに対応できるかとか、そこまでできるかというのがあるので、むしろ今回のようにまだわからない原石をゴロゴロゴロゴロしているうちに『あ、ここは光るのか、それだったらこういう風にしようか』ってなっていく、つまりメンバーがこれからの道筋を作ってくれるということと、ファンのみなさんですね。実際劇場オープンして、ファンのみなさんの反応で『やっぱりこういうほうがいいのか』とか、AKBも実際そうでしたし、これからそこが楽しみです」
――劇場に関してはどんなところにこだわっていかれるのでしょうか。その想いを聞かせていただけますでしょうか。
秋元康(以下略)「劇場スタッフに言っていますのは、やはりAKB48、SKE48、NMB48と劇場があるので、それとは違った特色を出したいというのがあります。劇場の中でのちょっと違う形に……それはまだ言えないんですけど、たとえば花道を作るとか、普通の劇場とは違う形にしたいと」
――どうしてここのホークスタウンモールを選んだんでしょうか。
「それは、運営側が決めたので僕は事情はよくわからないですけど、もともと、本当はもっと早く博多という話があったので、それがその場所がなくなったので、今回この場所でチャンスをいただいたので非常に楽しみにしています」
――九州、博多でのHKT48での立ち上げですけど、山口から来ている2人も合格しましたけど、それは何か意図があるのでしょうか。
「いや、なにもないです。どこからというのはなくて、それぞれの個性といいますか可能性とか、こういうキャラクターがいたほうがいいね、とメンバーをまず選んで、その子がたまたま山口だったということなので、もし通えるのだろうかとか、こちらに引っ越してくるのかというのはこれからスタッフで詰めていきます」
――オーディションの中でダンスパフォーマンスと歌唱力以外ではどこを見てらっしゃるんですか。
「今回すごく難しかったのが、だんだん経験してますので、2005年の10月30日にAKB48の初めてのオーディションをやったんですけど、そのときのことを思い出すんですね。あのときにあんなに幼くてあんな子が今の前田敦子になったり高橋みなみになったりと成長幅があるんですね。いちばん成長する時期なので、それを予測しなきゃいけないのがあって、今現在はたとえば歌が下手だなとか、もじもじしてるなだとか、でももしかしたら前田敦子になるかもしれない、高橋みなみになるかもしれない、小嶋陽菜になるかもしれない、その2年後、3年後を考えるとそれぞれ可能性があるような気がして、今の段階ではなかなか決められない。逆に今、すごく良くても成長幅が少なくなっちゃう場合もありますので、そのへんは一番難しいところですね」
――ノースリーブスの曲がたくさん歌われたんですけど、秋元さんなりにその理由をどう思われましたか。
「そうですね、なんでノースリーブスが多かったんだろうか、というのは話をしようというのはテーマにはあがりましたね。たとえばノースリーブスじゃなくて前田敦子の『Flower』ならばちょうど発売したところだったんですけど、ノースリーブスはなぜなんだろう、歌いやすいのか覚えやすいのかっていうのもありましたし」
――秋元さんご自身が九州に対する思い入れはございますでしょうか。
「そうですねぇ。そんなにしょっちゅう来るわけではないですが、今、言われるのが土地土地でどんなものをどんな有意性でやりたいですかって話になるんですけど、実はそんなに関係ないんじゃないかと思うんですね。もちろん福岡も九州も好きですし食べ物がおいしいとかありますけど、そういう有意性というよりも、これだけネットがあったりすると近いと思うんですよ。
たとえばそれがネットに上がったものだと、それがどこからの発信だかはあまり考えることもなくなるので、福岡とかもっと近い感じにしたいなと。もしかしたら東京のみなさんが公演を見て日帰りで帰れるのか……とかいうようなことにしていきたいです」
――今日のオーディション参加者の目標の中で「笑顔で元気づけたい」という発言が多かったんですけど、秋元さんは80年代からやってると思うんですが、今、アイドルになりたい子の気質みたいなものを感じることはあるんでしょうか。
「80年代のアイドルと今のアイドルが違うのは、まさにそこかもしれないですね。80年代は擬似恋愛というか、異性に対する想い、男の子にちやほやされてることに女の子があこがれて、というのがありましたけど、AKB48は特別にはじめからそんなにかわいいとか歌がうまいとかお芝居がうまいとかじゃなくて、頑張ってる姿、コンセプトはまさに高校野球なんですけども、弱小の高校の野球部が少しずつ勝っていく、自分にオーバーラップさせていくんですね。
ですからたとえばあっちゃんが頑張ってる姿を見て、あるいは大島優子ちゃんを見て私も頑張りますと、そこにシンパシーを感じてる人が多い、たぶん彼女たちが自分に笑顔をくれて、それがたとえば前田あっちゃんがドラマがすごく忙しい中、AKBを頑張ってる姿をブログで見て、私も受験勉強頑張りますとか、歯科衛生士の資格を取るために頑張りますとかっていう、お互いが頑張ってる姿、笑顔を与えているさまを見て、自分も誰かを応援したい、誰かの励みになるように頑張りたい、それは僕も今日、みんなが『笑顔にしたい』というのを聞いて、そういう時代なんだなと思いました」
――今回残念だった方にチャンスありますか。
「もちろん。AKBの場合は何度でもトライができますので、たとえば渡辺麻友とかは一度落ちてますし、篠田麻里子みたいにもともとは落ちてカフェで働いてたところから入ってますし、やっぱり何度でもチャレンジして、自分で成長して、ここがこう頑張ったという手応えがあったほうがいいんじゃないかなと思って何度でもオーディションに来ることができるので、たぶん今日、残念ながら落ちた子の中から次回合格者が出てくるのだと思いますし、あんまり差はないですからね。
ただ僕らの仕事とかスターとかって運がすごく大きくて、今日は運がなかったけど、次は運があるのかもしれないし、あるいは今日受かった人たちは何かしら運を持っていたと思いますので、そういうところを諦めないでいただきたいと思います」
――SKEの松井珠理奈ちゃんとかNMBの2期生の子のように、「これは!」っていう子はいましたか。
「そうですね、何人かはいましたね。何人かはいましたけど、わからないんですよね。最終的にはやっぱりたとえばファンの方々の見抜く力のほうがはるかにすごいです」
――こうして地域に進出してくるのは、地域の経済とか文化に役立てていこうとか考えてらっしゃるんですか。
「そんなオーバーなことはないんですけども、ただ、野球とかサッカーのように地域で応援するっていうのが力だと思うので、自分たちのチームを応援しようとなってくるとまさに高校野球なんですけど、そうなるといいなというところでは地域ということは考えますけど、でもだからといって、新しい何か、博多らしい福岡らしい何かをこのHKTで作ろうっていうのはないですね」
取材当時の現状はまだ原石な状態です。これからレッスンし、ステージに立ち、ファンの方に見られることで彼女たちがどう変わっていくのか……それを見届けるのは地元のファンの方たちです。地元の方はどうぞ温かく、ときには厳しく応援してくださるようにを期待しています。劇場オープンは今秋を予定しているそうです。劇場予定地はホークスタウンモール内です。(撮影・取材 岡田)