2004年3月5日放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション』に、話題の新ユニット『Berryz工房』が初出演しました。デビュー曲のタイトルは「あなたなしでは生きてゆけない」。
以前に『ZYX』が「落ち着いた大人っぽい子ども」でレベルの高い演出をしていたのに比べると、『Berryz工房』は小学生ユニット相応の「フレッシュなワクワク感」が楽しくて好印象。この危なっかしさこそが「ベリーズの魅力」と言ってよいでしょう。
この日のMステに限っての、私が各メンバーに感じたことを記します。
清水佐紀: | 自己紹介の先頭バッターで、あのハキハキした優等生なあいさつが、みんなの緊張をどれだけほぐしてくれたことでしょう。さすがはキャプテン、やってくれます。 |
嗣永桃子: | 「私がベリーズを引っ張っていくのよ」みたいな気合いが過剰気味に感じ取れて、笑いました。「作り笑い過ぎ」なんて批判は気にしないで、サービス精神でやり通す桃ちゃんはエライです。 |
夏焼雅: | Mステは3回目の出演ですが、今回が最も素晴らしい。たぶん曲の速度(テンポ)が夏焼の得意範囲に入っているのでしょう。ダンスをしながら歌う「身のこなし」と「目線」が自然で完成度が高く、歌要員としてますます私の評価は上がっています。 |
熊井友理奈: | 主力メンバーに比べると、やはり地味ですが、歌っているときの表情・振る舞いはトップクラスでしょう。小4ということを考えると、期待以上の出来といえます。 |
菅谷梨沙子: | 自己紹介のとき、やはり(!?)というか、数秒のブランクがあって、見ているこちらが緊張しました。ヘッドマイクセットの固定がブラブラしたり、曲のあと苦虫をかみつぶした表情をみせてくれたり、さすがに「おりんちゃん」は、Berryz工房のやんちゃな末っ子です。 |
須藤茉麻: | 本人が気にしている「緊張のときに笑顔がなくなる」症候群に完全にハマリました。歌が終わったあとも含めて、出演ビデオを見返して反省するしかないですね。 |
徳永千奈美: | テレビサイズのため、ソロパートのアップがなかったのが残念。それでもTOKIOのお兄さんのトークのとき、100万ドルの笑顔が少しだけ見れたので良しとしましょう。 |
石村舞波: | テレビサイズのため、ソロパートのアップがなかったのが残念。……え、感想がそれだけ??? |
これって、石村舞波は干されているうえに、相当印象が薄い存在だったということになります。
毒が加わって石村舞波は大チャンス
ハロー!プロジェクト・キッズのなかで、現在の小学5年生組は5人と最大の人数ですし、オーディション当時からルックス的にも強いこの5人は、「キッズの主力勢力」を形成しています。須藤茉麻が「一番のライバルは夏焼雅ちゃん」と答えているように、お互いのライバル意識は相当なもので、負けず嫌いな子が多いのが特長です。
そんな小学5年生組のうち、『ZYX』で村上愛が、『あぁ!』で夏焼雅がいち早くCDデビューし、遅れをとっていた徳永千奈美・須藤茉麻・石村舞波の3人はこの『Berryz工房』で念願がかなったわけですから、意気込みは相当なはずです。
ただこの3人は、低学年組(鈴木愛理、菅谷梨沙子、岡井千聖、萩原舞)に比べても、人気や知名度はいま一歩なんですね。つまりこの3人(徳永・須藤・石村)の当面の課題(目標)は、「Berryz工房のメンバーになったことをきっかけに、自分を(名前と顔を含めて)少しでも知ってもらうこと」ではないでしょうか。
そんな石村舞波に、思わぬところからチャンスが舞い込んできた、と私は思っています。
テレビ東京系『よろしく!センパイ』でレポートしていましたが、2004年1月下旬にBerryz工房のデビュー曲のダンスを猛特訓するメンバーたち。かなりダンスの難易度が高く、初日から出来る子と出来ない子に分かれはじめて、先生から「石村、相当練習しないとヤバイよ」と言われる始末。座って頭で覚えようとする石村に対して、先生が「体で練習しないと覚えれないよ。帰っていいよ。一生懸命練習している人の邪魔だから……」と衝撃の言葉を浴びてしまいます。
もともと石村舞波は「正当派の可愛い女の子のイメージ」が強いだけに、彼女にとって「先生の言葉はとっても痛々しかった」でしょうが、よくよく考えてみましょう。あまり石村に詳しくない視聴者にとっては、「石村舞波は何をさせても出来ない子=問題児」という情報が強烈にインプットされて、当分の間は、悪役レスラーみたいに、毒があるのを前面に出して戦えることができるようになったわけで、『それって大チャンス』と思わなきゃ。毒がなくって困っている(低迷している)タレントが、世の中には結構多いのですから。
きっと、石村舞波は、練習では失敗とぎりぎりの線上で向かい合いながら、実は本番ではきちんと仕上げてくるタイプなんでしょう。
石村舞波は理数系
ハロプロ・キッズオーディション合格直後(2002年7月)のテレビ東京系『ハローキッズ』でのインタビューで、
石井リカ:得意な科目は?
石村舞波:算数です。
石井リカ:算数か。どんなところが好き?
石村舞波:計算したり、コンパス使って「円」をかいたりしたりするの。
と答えていました。
そしてそれから約1年半後の、2003年12月4日放送の『ハローキッズ ミニモニ。ツアー!』で、みなとみらい21内「水上バス」の船の上から夜景を楽しむ石村舞波と徳永千奈美ペア。
徳永:すごいきれい。高っかーい。
石村:何階あるんだろうね。
徳永:うん、100ぐらい?
石村:(別のビルを見て)分度器みたいだよね。
コンパスとか分度器とか、現役の学生じゃない人間(社会人)にとっては、とても新鮮な響きです。体育が得意なキッズが幅をきかせているなかでダンスについていくのは大変でしょうけど、理数系の石村舞波ちゃんには、ユニークな着想で「Berryz工房のアイデアガール」(スクエアダンスが命名)になってくれることを期待しています。