アイドルが“アイドル”として活躍できる期間は思った以上に短く、また短いがゆえにとても光り輝いて見えるものです。
そしてスポットライトを浴びれば浴びるほど、その影となる部分も長くなり、自分一人で決断して行動に移すことは難しくなっていくのが芸能界の常です。それでもまだスポットライトを浴びられただけでも幸せといえるのかもしれません。
まだ世の中に認知されていなくても、アイドル雑誌に頻繁に登場し、イメージDVDなどをリリースしているアイドルのゴールはどこにあるのでしょうか。結婚でしょうか、テレビタレントでしょうか、女優でしょうか、実業界に転身でしょうか……そんなことはわかるわけがないですし、人によって違いますよね。
急病のため”の真相は!?
半年前だったか1年前だったか、あるアイドルのイベントが“本人急病のため”中止になりました。そのアイドルは私はわりと気に入っていたので、その後の活動を見守っていたのですが、その後一切活動をしていません。失踪なのか引退なのか、移籍トラブルなのか、真相はわからないままです。病気なら仕方ないにしても、イベント中止にはさまざまな裏事情があるのです。
「B級」「C級」などという言葉はあまり使いたくないですが、確かにトップクラスではないアイドルは、いつ芸能界から姿を消してもおかしくないのが現状なのです。姿を消す事情もさまざまで、次第に仕事がなくなって事実上の引退になる場合もあれば、タレント側、事務所側の事情で姿を消す場合もあるわけです。
栄枯盛衰は芸能界に限らずどこの世界にでも日常に起きていることなのですが、芸能界が特殊なのは、その当たる光の大きさがほかと比べて大きいことです。光というのは人気のことであり、ファンの心の中にまで入り込む強いオーラのことで、ときにはファンの人生までも変えてしまうようなパワーを芸能人は持っているのです。
デビューしたての新人グラビアアイドルでも、多かれ少なかれそのオーラは持っていますので、それに惹かれるファンも必ずいるのです。私自身もファンのころから長い間現場でアイドルたちを見てきましたが、世の中に知られていないアイドルたちとは“もうこの子と会うのは最後かも”という覚悟を持って見に行っていたものです。
活躍したアイドルはセレモニーができる
それに比べればテレビや雑誌で大活躍したアイドルは幸せです。古くはキャンディーズ、山口百恵が、おニャン子クラブもしかり、最近ではモーニング娘。のメンバー卒業コンサートなど、ビジネスとしてもイベントとしても成功をし、ひとつの区切りをつけられるメモリアルなセレモニーが開催できるというのは本当に幸せなことだと思うのです。
私がこの世界にはまる直接のきっかけを作ったアイドルグループ、“東京パフォーマンスドール”もかなりあいまいな最後を迎えることになりました。それでも私が気に入っていたメンバーとはなんとなくお別れというか心のふんぎりをつけるチャンスがありましたので、ファンとしての悔いは残っていません。
ファンの側から見ると、タレントを応援した自分自身のけじめはつけたいと思っているのです。何らかの事情で突然ファンの前から姿を消すことになったタレント側にも、実はけじめがつけられない“しこり”が残っていることもあるのです。
ビュンビュントピックスでも取り上げた栗林三枝(みえ)さんもファンの前から突然姿を消した形で休養していたので、ファンとしてはあきらめきれない思いがあったことでしょう。とりあえずは復帰し、元気な三枝さんに会おうと思えば会うことができるイベントができたので三枝さんもファンも幸せだと思います。
葉川空美ちゃんのラスト(!?)イベント
つい数日前の日曜日、葉川空美さんのイベントを取材中、イベント中に突然「休養宣言」が飛び出しました。病気治療のため、復帰の予定がまったく立っていない状態だそうなので心配ではあるのですが、会場に集まったファンの人はやさしく、温かく葉川空美さんを見送っていたようでした。
葉川空美さんといえば日テレの「電波少年」の“ぽっちゃり党”のコーナーのマドンナで毎週テレビで大活躍し、DVDもたくさん出し、舞台にもたくさん出て、わりと好きなアイドルだったのですが、病気ならしょうがないですね。
イベント後に4媒体共同の取材がありまして、途中からは休養宣言について聞くことになりました。こういうことこそ、ファンのために伝えなければならないのではと思い、彼女のメッセージをこの場を借りて全国のみなさんにお伝えしたいと思います。
■空美ちゃんのことがすごく好きなファンが、もしかしたらこれで会えなくなるかもしれないし、せっかく取材の人も集まっているからメッセージをいただきたいのですけど。
「今まで、テレビや雑誌を通して、そしてイベントに会いに来てくれてる方も、ずっと見ていてくれた方に本当に、心から“ありがとうございます”と言いたいです。……どんな風に……なんて言ったらいいんだろう、本当にみんなの言葉とか、すごい支えになって、力になったし、だから今まで長い間やってこれたと思います。もし、何か一つでもみなさんにあげられたものがあるなら、それはこれからもずっと持っててほしいし、つらいとき、ふとした瞬間に思い出してもらえたらと思います。ありがとうございます」
復帰の予定はまだ何も決まっていないので、本当に悲しいお別れではあるのですが、こういう形でメッセージを言える機会があり、私は伝える役割を与えられ、ここでこうして伝えることができるというのはある意味、すごく幸せなことなのではないかと思うのです。
出会いがあれば、別れがあり、別れがあることでけじめがつき次のスタートを早く切れる。そういう区切りを目に見える形でつけられるというのはちょっとうらやましいと思いませんか?
葉川空美DVD「花鳥風月」発売記念イベント(2005年8月28日 石丸電気ゲームワン)