2008年に入って東京パフォーマンスドール(TPD)のメモリアルCDが発売されるかもしれないという企画があることを知りました。
そのおおまかな経緯はブログ「TPD(東京パフォーマンスドール)メモリアルCD BOX!? 」「「TPDメモリアルCD BOX」ソロ曲は何がいい? 」で載せました。その反響たるやすさまじいもので、載せた私がいちばん驚いているわけですが、ようやく形になりましたので、こちらのコラムにも概要とともに振り返ってみたいと思います。
そもそもTPDにはまったきっかけというのは、コラム「TPDが私にくれたもの」で書いたとおりなんですが、私がアイドルを生で見るようになった原点ともなったアイドルグループなので、その思い入れたるや、ほかの熱狂的TPDファンと同じくらい、たぶんあると思います。
とにかく、リリース情報をひとまず先に。
★「GOLDEN☆BEST 東京パフォーマンスドール」 価格:\3,000(2枚組) 発売日:2008年11月5日 |
|
Amazonで東京パフォーマンスドールをサーチ |
「1990年代前半に活躍した伝説のダンス・ポップ・ユニット、東京パフォーマンスドールによるオリジナル曲編とカバー曲編による豪華二枚組。未発表音源3曲収録の全35曲」
というところに落ち着きました。一応、曲目リストも以下に載せておきます。
[Disc 1](オリジナル曲編)
- 「ダイヤモンドは傷つかない」東京パフォーマンスドール
- 「キスは少年を浪費する」東京パフォーマンスドール
- 「今夜はネヴァーストップ 」東京パフォーマンスドール
- 「CATCH!!」東京パフォーマンスドール
- 「夢を」東京パフォーマンスドール
- 「WAKE ME UP!!」東京パフォーマンスドール
- 「十代に罪はない」東京パフォーマンスドール
- 「放課後はいつもパーティー」東京パフォーマンスドール
- 「Saturday Night Fantasy」東京パフォーマンスドール
- 「WEEKEND PARADISE」東京パフォーマンスドール
- 「SEVEN BOWS~休日の虹たち~」東京パフォーマンスドール
- 「MAKE IT TRUE」東京パフォーマンスドール
- 「黄・昏・蝶・々」原宿ジェンヌ (篠原涼子・川村知砂)
- 「BEGIN THE 綺麗 」UL-SAYS (米光美保・篠原涼子・穴井夕子)
- 「ひらき直りも芸のうち」ViVA! (穴井夕子・市井由理・八木田麻衣)
- 「DA.YO.NE」EAST END × YURI (from T.P.D.)
- 「恋しさと せつなさと 心強さと」篠原涼子 with t.komuro
[Disc 2](カバー編)
- 「シェリーに口づけ」東京パフォーマンスドール
- 「Two In Paris~男と女」原宿ジェンヌ (篠原涼子・川村知砂)
- 「ファンタジー」木原さとみ・米光美保・篠原涼子・川村知砂
- 「FAME」東京パフォーマンスドール
- 「恋人よ~TO LOVE YOU MORE」米光美保 feat.KRYZLER & KOMPANY
- 「カーニヴァル」木原さとみ
- 「LET'S FALL IN LOVE」GOLBIES (木原さとみ・篠原涼子・川村知砂)
- 「OVERNIGHT SUCCESS」東京パフォーマンスドール
- 「ロコモーション」東京パフォーマンスドール
- 「ラッキー・ラヴ」八木田麻衣
- 「砂に消えた涙」穴井夕子
- 「レモンのKISS」ViVA! (穴井夕子・市井由理・八木田麻衣)
- 「天使のらくがき」櫃割香奈子
- 「空に太陽がある限り」TPD DASH!! (木伏夏子・櫃割香奈子・関ひろみ・島津志穂)
- 「バッド・ディザイアー」川村知砂
- 「Can't Stop The Music」東京パフォーマンスドール
- 「ショウほど素敵な商売はない」東京パフォーマンスドール
- 「星に願いを」篠原涼子
(※「シェリーに口づけ」「Two In Paris~男と女」「ショウほど素敵な商売はない」が未発表音源)
[9/22追記]「バッド・ディザイアー」は発表資料によれば「東京パフォーマンスドール」になっていますが、正しくは川村知砂なので修正しました。CDのブックレットには「曲目解説風東京パフォーマンス制作ノート」というものがつくそうで、当時のディレクターの清水彰彦さんが原稿を書いたそうです。
なんとなく経緯の報告
もう20年近くも前の話になってしまうのですが、当時は私も一ファンとして、ある時期から原宿ルイードに毎日のように通うようになってから、知り合いも増え、気がついたら200回以上ライブを見続けて廃人のように(苦笑)なってしまったわけですが、まあなんとか気持ちを切り替え、ミニコミ誌「スクランブルエッグ」を創刊し、Webサイトを立ち上げ、法人化したわけですが、その原点は東京パフォーマンスドールにほかなりません。
当時のディレクターと、当時のファンとは、元メンバーのライブの後などでときどき飲むようになってから、最近では定期的に飲んだりするようになっていたので、2008年の新年会で、TPDの音源の再発の企画があがっているという話題が出たのです。
現在、新品で入手できるTPDのアイテムは『That's The Revue』のライブDVDしかないので、当時のスタッフが生きているうち(苦笑)に、今一度音源資料としても残しておけないかという話になり、企画が持ち上がってきたそうです。
1月の飲み会の段階では2枚組か3枚組にという話で進んでいて、ブログにもリクエストを募ったわけですが、販売方面の担当者の人事異動があったため、企画自体を練り直す必要があったらしく、二転三転して今の形に落ち着いたもようです。
当時のディレクターは結構倉庫で音源を調べに調べたそうです。結果として商品化されなかったトラックも今回の整理で、将来なんからの形で商品化されるときにはスムーズに行くといいですね。
それにしてもオリジナル編もカバー編も気がついたら篠原涼子がトリというのは、ある意味象徴的ですね。政治的な意味合いはまったくないと思いますが。
結成から18年、1993年8月の武道館ライブから15年がすでに経ってしまったわけですが、今となっても伝説のように語られることが多く、業界関係者たちも、ちょうど今、第一線で働いている人たちがTPD世代なわけですから、振り返ってみるにはちょうどいい時期なのかもしれません。
グループアイドルにとりつく魔力
今ならハロープロジェクト、AKB48、アイドリングになるとは思うんですが、昔からグループアイドルというのは、ある人種にとってはとても魅力的に映ってしまうようで、ある意味、メンバーの誰でもを好きになってしまう魔力があるように思います。それを“DD”(誰でも大好き)とふつーに使うようですが、その言葉自体も90年代前半から使われていました。
その“魔法”にかかってない人にとっては、本当にどうでもいいし、たぶん「かわいくない」と思うはずです。
歌をうたうグループアイドルの「かわいさ」とは、美少女コンテストの入賞者のように誰もが見て「かわいい」と思うようなかわいさとは違い、身近で動いているから、一生懸命やっているから、自分に注意を払ってくれているかもしれないから「かわいい」と思えてくるものです。それがライブなどで繰り返されることで、意識していなかったような子が「かわいく」思えてくる、それがグループアイドルの“魔法”の本質です。
それを私に教えてくれたのが、「夕やけニャンニャン」(テレビ番組)と、東京パフォーマンスドールのライブというわけです。おニャン子は直接コンサートを見る機会はなかったのですが、テレビで繰り返し放送されることで、次第に「かわいく」見えてくるから不思議です。
実際にアイドルたちも「見られること」で変化していくことは間違いないので、第三者から見てかわいくなってくることももちろんあります。そういう子は少しずつ活動の場を広げることができ、少しでも芸能界に長くいられる可能性が高くなります。
グループに存在不可欠なメンバー
そしてグループアイドルにとって「存在不可欠なメンバー」が必ず存在します。
いい意味で「存在不可欠なメンバー」とは、中核的なメンバーで、彼女がいなければそのグループが成り立たないメンバーのことです。
別の意味で「存在不可欠なメンバー」とは、このアイドルグループの中では存在不可欠なんだけど、ソロでは立ち行かないメンバーのことです。
ほかにもグループ内で存在感を示しきれてないメンバーいるわけで、そういう人たちが集まってひとつのグループとなるわけですから、メンバー内での摩擦はいつか必ず起こります。それがファンに伝わらないようにしなければプロとはいえません。
ファンから見れば、誰かイチ推しのメンバーがいて、二推し、三推し……となんとなく順番を決めているわけです。アイドルに向ける目線がすべてを物語っているでしょう。イチ推しはそんなに変わらないにしても、二推し以下はころころ変わるものですから、アイドルの側も大変です。
結局グループも好きだし、ひとりひとりのメンバーも好きとなると、ほとんど「魔法」にかけられた状態になって足繁く通ってしまうわけですね。
私がAKB48にあまりのめりこまないのは、仕事を忘れてこういう「魔法」にかかってしまうと困るからなんです。そういうときにはファンはうらやましいと思うことがあります。
TPDフロントメンバーとTPD DASH!!
東京パフォーマンスドールは、1991年1月の「平成花見DANCE」から始まるバージョン3で実質的にフロントメンバーが確定してしまいました。「フロントメンバー」という言葉を使って一般的に発表するのは少し先のことでしたが、このとき木伏夏子、櫃割香奈子がフロント入りする可能性はあったのでしょうか。
それは展開次第ではフロント入りする可能性もなかったわけでもないですが、原宿ルイードというハコの狭さや後のメディア展開を考えると7人で回すのがちょうど良かったという結論に至ったのでしょう。
古くからのファンは、正直、のちに「TPD DASH!!」と呼ばれるメンバーにはあまり思い入れを持つことができませんでした。ただ、新しいファンは「TPD DASH!!」には熱狂できたようで、新旧メンバー、新旧ファンの構図としては、現在のアイドルグループとそのファンにも当てはまるような気がします。
AKB48との比較
東京パフォーマンスドールとAKB48の両方を知っている人ではないと比較する意味はあまりないような気がしますが、TPDの歴史を振り返ることで、AKB48の行く末を占うことは多少は意味はあるでしょう。
コラム「AKB48物語「インディペンデント・K」」の最後に「付録~東京パフォーマンスドール 武道館までの軌跡~」(別窓で開きます)というのをつけました。途中までは同じように進んだように見えたのが、今は少しずつずれてきたような感じがします。
AKB48劇場で毎日行われている公演については、クオリティの低下もなく、観客も抽選で入れ替わることから、さほど停滞感はないように感じます。「選抜メンバー」はそのときどきで変更しているので、向上心と努力次第では選抜される可能性があります。
卒業、ソロ活動についてはどうでしょうか。篠原涼子のようなスターは出てくるのでしょうか。それはまだわかりません。本サイト上では篠田麻里子が少し抜けているようですが、まだまだわかりません。
ファンはどうでしょうか。正直わかりません。最初は地下アイドルマニア、次に一般的に歌が好きなアイドルファン、今はもう少し広がって女性も含めた若い層にも広がりつつあります。TPDにはまっていた人も数多く劇場に残っているのも事実です。
ただ、なんとなくわかっているのは「歴史は繰り返される」ということです。
初めてAKB48を体験した人にはわからないかもしれませんが、たいていの場合「同じようなことが過去にも起きている」ので、まわりの年上の方の話を聞くのも悪くはないでしょう。OPDとSKE48のポジションについても興味深い話が聞けるかもしれません。
AKB48が東京パフォーマンスドールに勝てないことは、ダンスパフォーマンスと歌唱力でしょう。15年以上前の音源を今聞いて、はたしてどう感じるのかは私自身、興味津々なのですが、レコード会社が大金をつぎ込んで作ったプロジェクトですから、それなりにクオリティは高いものと思います。
まぁ、それはCDが発売されてからのお楽しみというところにしましょう。
初めて聞く方は11月の発売を楽しみにお待ちください。
武道館から15年!TPD『GOLDEN☆BEST』発売記念トークライブ 11月8日開催決定! 10月26日チケット発売