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第一印象を変えるには

written by 岡田隆志

  Last Updated:2018/04/11
Released: 2002/04/13
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
copyright(c)2001-2022 Scramble-Egg Inc.

このコラムは2002年に初めて書かれたものですが、今でも数多く読まれているため、時代の変化に合わせて2010年代後半に読んでも理解でき、通用する項目に絞り込んで書き直したものです。

第一印象を与えるチャンスは1回しかない

新入学・就職シーズンになりました。新しい環境で生活を始めた方は、あいさつは自分の思ったとおりにできたでしょうか。友人はできましたか。第一印象をうまくアピールできたでしょうか。

「第一印象を与えるチャンスは1回しかない」といいます。当たり前のことではありますが、オーディションや芸能界では第一印象を与える相手は思った以上に多いので、印象を変えるチャンスは意外とあるものです。

今回のコラムは第一印象を変えてチャンスを増やすためのお話です。

オーディションに限らず、初めて会った人どうしが相手のどこをどのように見て、何を判断材料として第一印象にするかを考えてみましょう。

  • 外見――背の高さ、太っているか痩せているか、どんな服装かetc.
  • 顔、部位――どんな顔つきか、足は長いか、姿勢はどうかetc.
  • 態度――どんな言葉づかいか、しぐさ、しつけはどうだったか、どんな癖があるか、感情と態度の関係はetc.
  • 目――人の目を見て話すか、目つきはどうか、顔の表情と目の表情が一致しているかetc.

相手の思想・信条・趣味・夢などの話をする前に否応なしにこれらの印象が情報としてインプットされ、第一印象という先入観が多くの人のなかで形作られていることを事実として素直に受け止めることにしましょう。

相手が異性ならば「一目惚れ」という言葉があるとおり、話をする前の印象というのはとても強烈なものです。この第一印象で、ある程度、その人が生きてきた環境がわかりますし、その相手が自分の好みとどうマッチするのかもわかるでしょう。

「私は中身で勝負」という人がアーチスト系志望の人に多いですが、本当にそれでいいのでしょうか。オーディションの現場であなたのことを知るための材料や時間はあまりありません。

「中身で勝負」する人は「中身」にたどりつくための「外見」の努力をあまりしません。いくらいい製品を作っても、その見栄えやセールス方法がよくなければ売れないのと同じです。ですから「中身で勝負」する人こそ「外見で勝負する人」よりも「見栄えをよくする」ための努力をしなければいけないのです。

なぜならば、中身で勝負できる人は、外見で相手をいったんひきつければ、あとは自分の土俵で勝負できるはずだからです。

環境があなたを作る

たとえばあなたが、一般的にはあまり知られていないアイドルのイベントやサイン会の会場を偶然通りすぎて足を止めたとします。その人ごみのなかで、アイドルマニア、業界人、アイドルの卵、一般人を外見だけで判別できるかどうか試してみてください。

人間は一定期間、ある環境にいると、その環境に順応する能力を持っています。その環境が自分の好みであろうとなかろうと、そうなります。夫婦が似てくるのは長い間同じ環境にいるからですし、社風・校風などができるのも同じです。

アイドルマニアのなかにもいろいろなカテゴリーがあります。騒ぐ人、踊る人、写真を撮る人、ファンレターやSNSで返事を書いてリアクションを楽しみにする人、本気でアイドルと付き合いたいと思ってアプローチしようとする人、ストーカーまがいの追っかけをする人、メモを取ってインターネットでレポートをするのを楽しみにする人、その場にいて静かに状況を観察する人……。

きりがないのでやめておきますが、同じカテゴリーどうしでは同じ行動をしますし、外見も似てきます。外側にいる人から見れば細かい違いはわかりませんが、「アイドルマニア」、今の言葉で言えば「アイドルオタク」でくくられる一定の外見を持っています。

オスカープロモーションが主催する「全日本国民的美少女コンテスト」で入賞した人が5年後にどういう外見を持っているかWebサイトや雑誌で見てみるとよいでしょう。もちろん5年前にも美少女でしたが、変わっていきやすい10代において、5年後に彼女たちの美しさ・品位を形作ることができたのはモデルエージェンシーのオスカープロモーションの環境なしではありえないことです。環境が彼女たちをますます美しくしていったのです。

芸能界に限らず一般の会社でも営業と制作は外見、考え方、話し方は違いますし、学校ならば文系・理系、体育会系・文化系など、集まる環境により、外見や行動パターンが類型化されてきます。

一定の環境の中にいることによる「オーラ」が誰しも出てくることをわかってください。

なりたい人になる

スクランブルエッグの取材活動のなかで1年に最大600人ほどアイドル・タレント・歌手の卵を見る機会がありましたが、私たちに「第一印象を与えるチャンス」はやはり1回きりです。ただし、それなりの個性が表に出てきた人でないと第一印象として記憶に残りません。

一度、しっかりと印象づけられた人は、そのときに、おおよその将来性や資質、長所と弱点などもはっきりと記憶されます。もちろん本人にも関係者にも言いませんが、スタッフの間ではシビアにその人の評価を確かめあいます。

ですから、次に見たときにその印象が変わらないのは良くもあり、悪くもあるわけです。「良いところが変わらなくて安心」かもしれないし「改善すればもっとよくなるのに少しも変わってこない」かもしれません。ほとんどが後者です。しかも体重を減らさないというだけの理由の場合も多く見受けられます。

人はひとつの場所にとどまることはできないので、変わらないわけにはいかないのです。自分がなりたい人になるためにはどうしたらいいと思いますか?

ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』の続編『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター著、筑摩書房刊)にあなたの将来の姿が書かれていますので、引用しておきます。

 十五年ほど前に出席したセミナーで、講師から、自分がいちばん多くの時間をともに過ごす六人の名前を書くように指示された。次に講師は、書きつけた名前をよく見るように言った。それから、こう言った。
「あなたはいまあなたの未来を見ています。あなたがいちばん多くの時間をともに過ごす人たち、それがあなたの未来の姿です」

『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(筑摩書房)
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これは好き嫌いにかかわらず、物理的時間の問題です。もし今の6人のリストがこれからも変わらなければ、あなたは間違いなくその6人のようになります。そしてたぶん、第一印象も同じでしょう。

今、あなたがオーディションで苦戦しているのは第一印象のせいでしょうか、それとも……。あなたは今すぐリストを書き、その6人のようになりたくないのでしたら、行動を起こす必要があります。急激に変える必要はないですが、自分がなりたいと思う人とできるだけ一緒に過ごすだけで、第一印象は変わってきます。親が「つきあう友達」のことをがみがみ言うのにも一理あるのです。

では今回の結論。

  • 中身で勝負する人こそ、人に与える印象に気を配ろう。
  • 人間の環境適応能力を軽視しないこと。
  • 自分がなりたいと思う人と一緒に過ごす時間をできるだけたくさん作ること。

健闘を祈っています。

アクションを起こそう|オーディション対策コラム(2)に続きます。

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【満足度】 5
オーディション、就活などに直面していない人にとっても読んで為になるのではないでしょうか。大変参考になり活かして行けたらと思います。
【ペンネーム】たか

【満足度】 4
【コメント】はじめまして。このHPで、オーディションの審査員の方がどういうような点をみて合格者を決めているかなどがよくわかりました。私が知らないようなことが結構あったのでとてもためになりました。質問があるのですが、自己PRの書き方がいまいちわかりません。どういうふうに構成していったらいいのでしょうか?
【ペンネーム】アクア