最近、80年代アイドルのレコードがCDとして復刻されるようになりました。最大の理由は、当時リアルタイムでファンだった年齢層が社会の中核になり、そういった企画を実現できるようになったということでしょう。今回はそのようなCDのひとつを取り上げます。
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★デビュー!
(CCCD) ビクターエンタテインメント 3,360円(税込・2枚組) CCCD VICL-61211~2 2003年10月 |
曲目リスト、歌手リストは上記ジャケット写真をクリックしてご確認できます。 リンクはAmazon.co.jpです。
『Debut!』は、ビクターエンタテインメント(当時はビクター音楽産業でした)の女性アイドルのデビュー曲を集めたコンピレーションアルバムです。70年代の麻丘めぐみから90年代の雛形あきこまで収録されていますが、80年代から数人選び、思うところを記してみました。
長山洋子「春はSARASARA」SV-7379
元々は民謡歌手ですが、デビュー直前にアイドル路線に変更されたというのは、よく知られているところです。アイドル路線でデビューして、10年後に演歌に転進。現在も歌手として現役なのは、バーニングというメジャーな事務所に所属のためもあるのでしょうか。
デビュー曲は、急な路線変更のために用意できなかったのか、外国曲(北欧?)に日本語詞をつけたもの。哀愁を帯びた曲調を確かな歌唱力でカバーしている佳作です。
荻野目洋子「未来航海 -Sailing-」SV-7378
デビュー当時は「荻野目慶子の妹」と言われていたのが、「ダンシングヒーロー」でブレイク後は逆に姉を「荻野目洋子の姉」としてしまった人です。事務所は、後に沖縄出身アイドルで全盛を向かえるライジング(現ヴィジョンファクトリー)。この事務所の最初の所属歌手です。
個人的には、デビューした年の夏に日比谷野音で無料ライブがあったのですが、夕立に襲われてびしょぬれになったことが思い出されます。なお、この日は有名な1984ミスセブンティーンオーディションの日で、岡田有希子のファンクラブ結成式の前日でした。
この曲は、息継ぎのタイミングが難しく酸欠になりそうな曲です。微妙に歌唱も不安定なのが、いかにもデビュー曲という感じをうけます。ユーロビート以前の荻野目洋子の代表曲として、聴いてください。
岡本舞子「愛って林檎ですか」SV-9015
正確には、アニメ「魔法の妖精ペルシャ」の主題歌「見知らぬ国のトリッパー」がデビュー曲ですが、アイドルとしての正式なデビュー曲はこちらになります。このデビュー曲はやや地味目ですが、全曲山川恵津子作・編曲のファーストアルバム『ハートの扉』は、80年代のアイドルポップスを代表する名盤です。最近再発もされていますので、この時代のアイドルポップスに興味のある方は、ぜひ入手してみてください。
酒井法子「男の子になりたい」SV-9200
現在も一線で活躍しているので知らない人はいないと思いますが、デビュー当時の写真を今見ると、安倍なつみを若くしたような感じですね。
彼女は、歌手デビュー前に既にメディア露出しまくっていて、レコードデビューの前にVHD(といわれても今の人は知らないと思いますが)でもデビューしています。さらにそれ以前、水谷麻里のファンクラブ結成式の時に溝口マネージャー(お亡くなりになられましたが…)に連れられてよみうりランドに来ていたのを目にしています。
デビュー曲はごくふつうのアイドルポップスですが、アイドルとしてあれだけメジャーであった彼女の最大のヒット曲が、脱アイドル以降の『星の金貨』の主題曲「碧いうさぎ」であることは、80年代後半のアイドル状況を如実に示すものといえるでしょう。
松本伊代、小泉今日子、キララとウララ、水谷麻里等については、また別の機会があれば、その時にでも。