2004年8月2日に行われた「第2回写メドル公開オーディション」の審査内容が興味深かったので、取材レポートとは別にコラムを書き下ろすことにしました。オーディションの内容を知るためにも、まずは取材レポートを読んでから以下を読み進めることをおすすめします。
オーディション情報を常時多数掲載しているサイトを運営する側からの率直な感想を述べるとともに、オーディションを受ける立場の人に参考になることも考慮に入れて進めていきます。
「写メールによる応募」について
「写メールによる応募」は、芸能界デビューの新たな発掘場所の提供として意味のあることですが、「写メール」をオーディション用資料と考えたときに、情報量が写真やデジタルカメラの画像データに比べると圧倒的に少なく、審査や判断にまぎれが生じる可能性が高くなります(第1回の悲惨な結果がすべてを物語っています)。
さらに「写メール」独特の魅力的な撮られ方を若い女性は研究しているため、「写メール」でいくら魅力的でも現実としてグラビアに登場するときに期待外れに終わってしまうことが少なくありません(出会い系サイトなどを想像すれば理解しやすいでしょう)。
そういった観点から一般的にはオーディションでの「写メールでの応募」は審査する点において効率的とは思えませんが、誰でも気軽に参加できる点や、新しいオーディションのひとつの形を作っていく点において、これからの「写メドルオーディション」の参加者には注目していきたいです。
審査員の辛口コメント
(株)イエローキャブの野田社長の言葉(取材レポート参照)は辛口に聞こえるかもしれませんが、この程度のことは業界の人は誰でも思っていて、本人の前で口にしないだけです。そういう意味では野田社長は、本音の意見を言ってくれていると思ったほうがいいでしょう。とても筆者にはこんな本音を本人の前では言えません。
野田社長は嫌がらせで言ってるわけではありません。何か言われて泣いたりめげたりするようなら、もともと芸能界に向いていないのでしょう。そういう反応も実は審査されているのです。
今回のオーディション参加者がどのぐらい本気なのかはわかりませんが、オーディションの場に立つ以上、将来プロになるつもりで来ているものと考え、審査する側もビジネスとして考えるとなると、いい加減なコメントがつけられなく、辛口になるのもやむを得ません。「やめたほうがいい」と言ったほうがいい場合も本当に多々ありますし、嫌がらせするほどヒマではありません。
グラビアをビジネスとして成立・成功させていくために多くの修羅場を経験してきた審査員だからこそ言えることがたくさんあるのです。出場者の人にはこの審査がひとつの大きな経験になったと思えばいいのです。
特技の披露について
今回のオーディションの参加者資料には基本的なプロフィール以外にもオーディション雑誌の付録オーディション用紙にあるようなプロフィール(好きな学科、好きなタレント、尊敬する人など)がぎっしり書きこまれ、さらに志望動機、自己PRに加え、「当日アピールできること」という欄もありました。
これだけ揃っていれば、水着の審査と特技の披露と質疑応答でかなり確かな審査ができることでしょう。今回のオーディションの審査員は多くの新人やベテランのタレントを見てきていますし、目的もはっきりしているので、首をかしげる結果にはならないのです。
とはいえ、当日できる特技の披露は印象に残りますので、ひとつやふたつあったほうがいいに決まっています。グランプリの中村光里さんは新体操のリボンで片足を150度近く上げて一周しました(取材レポート)。このぐらいできればなんらかの賞はもらえます。
自己PRについて
審査員による質疑応答と特技披露を十分したのち、司会の人が「自己アピールタイム」と、タイムテーブルどおりに叫んだのですが、加納典明氏が「もう十分アピールしただろ」とさえぎる場面がありました。結局希望者が最後に自己アピールをすることになりましたが、審査する立場としてはその時点でほとんど審査は終わっていたはずです。私自身も見ててそう思いました。
珍しく「○○だけは誰にも負けません」というコメントがないのが救われましたが、「努力」とか「根性」とか「笑顔」とか「元気さ」とか、そういうありきたりのもので誰にも負けないと言ったとしても何の自己アピールにならないと思うべきでしょう。特にこの日こんなことを言ったら審査員に何を言われるかわからない雰囲気でした。
質疑応答について
今回の審査員の質問はかなり気の利いた内容でしたので、オーディションを受ける立場の読者のみなさんは次項にある、出場者の回答を見る前に、自分がその場に立ったと思って答えてみることをおすすめします。
●前半(No.1~No.6)
Q1:今回賞をもらえなかったらどうする?
Q2:自分がグラビアアイドルになったときどんなキャッチコピー(「ワカパイ」みたいな)で呼ばれたい?
Q3:あなたが思うセクシーポーズを披露してください。
Q4:あこがれているグラビアアイドル
●後半(No.7~No.13)
5:最近見たドラマで感動したもの
Q6:3万人いる芸能人でライバルだと思う人
Q7:自分を漢字1文字で表現するとしたら……
Q8:怒った表情と寂しい表情をしてください。
この問いに対する対策はありません。ありきたりでもダメだしマニアックすぎてもダメです。ほかの人と同じ答えをすると『またか……』と思われてしまうのは否めないので、最初に答えるほうが多少有利かもしれませんが、あとからほかの人に同じ答えを言われることで、実は2人とも印象が薄くなってしまいます。
本音を言ってしまえば実際には何を答えようがあまり関係ありません。自分の考えを理由も添えてはっきり伝えることができるかどうかを見ているのです。同じ答えをしてしまい、「ほかにはないの?」と聞かれたときに何か別の答えが出せるのでしたらタレント性は高く評価されるのですが、本来タレント性の高い人は「ほかにはないの?」と言われる前に別の答えをしているものです。
今回の参加者の回答
取材レポートでは一人一人について触れることができませんでしたので、写真を添えたうえで、質疑応答の回答例をここで載せておきます。A1~は前項Q1~に対応するとともに、筆者コメントを付記しました。
小田川沙里(13)
A1:再度チャレンジ
A2:キラキラ光った13歳
A4:井上和香
管崎あみ(19)
A1:再度チャレンジ
A2:スマイル
A4:MEGUMI
田中貴子(20)
A2:グラストレータースマイル
A4:熊田曜子、山本梓、井上和香
古川友美(19)
A2:フェロモン系
A4:小倉優子
金原典子(20)
A1:落ちた理由を考えてリベンジ
A2:童顔を売りにしたい
A4:若槻千夏
西崎理乃(25)
A1:野田社長のアドバイス(年齢の指摘)を聞くか、ギャフンと言わせるか考えます
A2:大人の色気
A4:井上晴美
加藤妙子(21)
A5:『オレンジデイズ』のラストシーン
A6:久本雅美
A7:寂
島田真菜美(17)
A5:『あいのり』
A6:小倉優子
A7:楽
福田宏美(19)
A5:『ブラザーフット』
A6:渡辺真知子
A7:根性
早川夏未(23)
A5: 『猟奇的な彼女』A6:菅野美穂、夏川結衣
A7:越
笹秀樹里(20)
A6:ホリー・ヴァランス
A7:山
中村光里(19)
A5:『ブラザーフット』
A6:松嶋奈々子
A7:光
吉谷静香(22)
A5:『冬のソナタ』
A6:風吹ジュン
A7:酒
グランプリの中村光里さんについて
加納典明氏は「イメージ、オーラで選ばれた」と、胸もないし、現状グラビア向けではないことを授賞コメントとして残しましたが、13人のなかではアイドル的要素・新鮮さの面でこの子しかありえない気がしました。
もっと現実的にグラビアとして使えそうな子が選ばれることも十分に考えられましたが、そうならなかったところが、単なるグラビアモデルではなく、将来芸能界で活躍しそうな点も考慮に入れた審査結果であったという見解を残しておきたいと思います。中村光里さんの今後の活躍に期待するとともに、機会があれば次回のオーディションも取材に行けたらと考えています。
最後に
オーディション内容と関係なく、こういうカットを使われてしまう可能性もあることに注意!
本コラムでは明確に「対策」を述べませんでしたが、勘のいい人ならどうしたらいいのかは読み取っていただけるはずです。最後に、この手のオーディションで気をつけなければならない点だけお伝えしておきます。
水着公開オーディションなので、当然恥ずかしいに違いないのですが、将来仕事としてやっていくなら、ある程度堂々とした態度でのぞむ覚悟が必要です。
とはいえ、ムダ毛の処理やポロリをしないように十二分に気をつけてください。あとから「お宝写真」としてすっぱ抜かれたりしないようにくれぐれも気をつけることをおすすめします。本サイトはそういうことはしませんが、男性向けの雑誌や写真週刊誌にはそういうショットを狙っている場合が多々あるのですから。
それでは、またどこかの会場でお会いしましょう。健闘をお祈りしています。