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芸能人になるための心構え

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2007/08/10
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
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だいぶ前に発表したオーディション関連コラムが今でもよく読まれていることから、今回、視点を変えて、スカウトされたりオーディションに合格した後のことについて考えてみましょう。

芸能界はごく一部の人だけが売れていて、その他のほとんどは売れていないという、ピラミッド型社会なうえに、ある日頂点を極めたと思ったら次の日にどん底に突き落とされる“浮き沈み”が激しい世界です。親は子供にそんなつらい思いをさせたくないので、子供の芸能界へのチャレンジに反対することが多いです。

今や“格差社会”となり、雇用が安定しているわけでもないですから、スポーツ選手や芸能人や宝くじで一発逆転を狙うという、アメリカ型な考え方が日本にも浸透しつつあり、親もわが子の芸能界入りを反対しなくなっているかもしれません。

私自身のことを申せば、10年間近く音楽を志しておりましたが、結果的には音楽では成功できませんでした。そのことについて後悔はしていませんが、これから芸能界を目指す人にはある種の“覚悟”は持っていただきたいのです。それをいくつかの例を出しながら確認してもらいたいと思ってこのコラムを書くことにしました。

事務所に入っただけの話

オーディションに受かったり、スカウトされて芸能事務所に所属が決まったからといって仕事があるわけではないことはご存じでしょうか。仕事経験のない方やその親御さんで「事務所が入ったら自動的に仕事がもらえる」と勘違いされる方がとてもたくさんいらっしゃるのには驚きますが、芸能界はそんな甘い世界ではありません。

事務所はあなたになんらかの将来性か、現時点での即戦力を見つけ、あなたを売りこんでいくための資料をまず作らなければなりません。プロフィール写真を作るにしてもあなたをより良く見せるためにカメラマン、ヘアメイク、スタイリスト、スタジオを揃える必要があります。

それらプロフィールを揃えつつ、日頃お世話になっている関係者に挨拶回りにいくための最低限のマナー教育をする必要があります。

挨拶回りするときの服装は基本的に自分で(自費で)揃えなければなりません。そして挨拶をした相手の第一印象で気に入ってもらえなければすぐに仕事がやってくるわけではありません。

そして大手になればなるほど事務所内でのサバイバルレースが待っているのです。必ずしも大手がいいわけではないという一例ですが、売れてからは大手のほうが大きい仕事が動くので、どちらがいいとは一概に言えません。

とにかく、事務所に入ったら事務所がなんとかしてくれるという安易な考え方を持つのは幻想でしかないことだけは知っておいてください。もちろん、あなたが“売れる”という確信を事務所が持っていれば、あなたに対してそれなりの“投資”をしてくれることでしょう。

芸能界は限りなく不平等な世界

運良く仕事を始められたとしても、その先、いろんな不条理が待ち構えています。

特に、不条理に思うことは人気も実力もまだない新人が自分をどんどん追い抜いていくことに呆然とするでしょう。それは事務所の政治力(有名なタレントと新人をセットにするいわゆる“バーター”キャスティングなど)によることもあるでしょうし、スポンサーの意向だったり、編集者やプロデューサーの意向だったりします。

一般社会では雇用の機会均等をうたっておりますが、こと芸能界に関していえば機会均等なのは一部のオーディションだけではないかと思います。それをどうにかしたいと思ったとしても一人の力ではどうにもなりません。芸能界にも歴史と伝統としきたりとしがらみがあるので、今日、明日に変わるわけではないのです。

そして、芸能人は常に格付けの恐怖にさらされます。好むと好まざるにかかわらず、常にランキングの対象になっているのです。名前表示の順番、立ち位置から始まって出番の時間数など、あらゆる面で“差”が生じます。それは演出上の理由でたまたま差ができた場合もあれば、格付けによって差を生じさせる場合もあります。

資本主義社会において売り上げや視聴率などの目に見える数字は絶対です。いくら実力があったからといって数字が稼げないと降ろされることだってあるのです。とはいえ、これは芸能界に限らずビジネスの世界では当然のことともいえるので、この点は仕方ないでしょう。

そういう不平等な世界で生きていかなければならないことだけは覚悟しておいてください。

運→コネ→人気→実力

一人で頑張ったとしてもどうにもならないことも、何人かで力を合わせれば無理難題を克服できるのは昔も今も同じです。それは芸能界でも同じことが言えます。

規模が大きくなればなるほど成功する確率は高くなりますが、一方で、自分の好き勝手にできなくなることも事実です。それでも芸能人はまだ社会人よりはまだ恵まれているのかもしれません。

芸能人として成功するためには、人気、実力、運、コネなどが必要だとされていますが、それらを4枚のカードにたとえると、自分の意思で使えないのが残念なところですが、カードを使う順番は(1)運、(2)コネ、(3)人気、(4)実力ではないかと個人的には思います。

運は芸能人としてスタートしていく機会を得るために、コネは事務所、プロデューサー、スポンサーらを味方につけるために、人気は格付けをランクアップするために、実力は継続して仕事をしていくために使うと良いでしょう。

最後に実力を持ってきたのは、実力を軽視するわけではなく、最後にモノになるのは実力しかないという意味ですので勘違いなさらないようにしてください。それまでの段階に実力をつけていなければそれで芸能生命が終わってしまうことを意味します。

テレビドラマやマンガなどで、何か大きい仕事を獲るために実力者と肉体関係を結ぶというシーンがときどきありますが、実際はどうなんでしょうか。あるともいえるし、ないともいえます。その決定権が本人にあるのなら自己責任なので何も言うつもりはありませんが、他人の命令やなりゆきで仕方なく……となると、つらいものがあります。

そういう話が絶対にないとは言えないし、それ(自分の身体)をカード(切り札)のように使えるのか、あるいは使わないのか、というのは売れてきてしばらくしたら直面するジレンマだと考えておいたほうがいいでしょう。どちらを選ぶかは自分で決めることです。決して人に決めてもらうことではないと私は考えます。

何をもって「成功」とするのか

芸能人という職業は自分が宣言したときから始めることができます。「グラビアアイドル」「歌手」「モデル」「俳優」「ミュージシャン」「芸人」など、芸能人になるために資格が必要なわけではありません。自分がそう宣言したときからある意味、“プロ”です。それを“本業”として食べていけるかは別問題として。

自分で宣言したことを「生活の糧」にしていくまでの道のりはとても険しいものです。たぶんほとんどの人がそれだけでは食べていけませんから、なんらかのアルバイトをする必要があるでしょう。

それに耐えるのは当然としても、いろんな仕事をして多くの才能のある人たちと出会っていく中で、自分の“器”がある程度わかったときに、どういう心構えでいるかが重要となってきます。

売れていない芸能人がその職業をやめるときも、自分で「やめる」と決めないといけないのです。中途半端はいけません。

「このあたりでそろそろいいかな」と思うのもひとつの決断ですし、「いや、まだ自分は限界点を超えてはいない」と歯を食いしばって頑張るのもひとつの決断です。どちらにしても「後から後悔をしない」と決めて決断するしかないでしょう。

「芸能人は親の死に目に会えない」とよく言います。私も当時教わっていたギターの先生にそう言われました。「親の死に目に会えなくてもいい覚悟があるのか」、という問いかけだったのだと今になって思います。だから今がどうあれ、これからがどうであれ、好きなことをやっていくことを選べたんだと思っています。

人間の欲望というものはきりがありません。何をもって「成功」とするのか、を自分に規定してしまうと、結局は地位や名声、富といったものになりがちですが、本当の成功は「心の平和」だと私は思っています。

どんな道を選んだとしても、最後には「心の平和」が訪れるような生き方を選ぶ方向に自分の気持ちを持っていってください。そして「人間には限界はない」という気持ちを常に持ち続けることだと思います。

ちょっとお説教がましかったかもしれませんが、若かりし自分に言いたいのです。

「もうそろそろこのへんでいいだろう、と思うほど歯を食いしばって死にもの狂いで努力してきたのか」と。

若い頃の私は、自分に甘えてばかりいたのではないかと思います。そして今も自分の弱さを克服するため自戒を込めてこうしてコラムにしているのです。

成功体験は努力した者だけにやってきます。
あなたは今、本当に努力してますか?
それでも芸能人になる気、ありますか?

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【満足度】 5
【コメント】今度二次審査に行きます!!!始めは痩せないと、とか服装どうしようとか思ってました。
でも自分らしさと楽しむ、なにより人の気持ちを考える。大事なんだと思いました!!
今の私には自信過剰なほど、自信があります!!(笑)
【ペンネーム】CHINAMI

【満足度】 5
【コメント】自分の気持ちを確かめるいい機会になりました。
本当にありがとうございます。

考えた結果、やはり私は女優になりたいのだとそう分かりました。
これから、一生懸命努力して夢をかなえたいとおもいます。

【ペンネーム】さやか

■感想ありがとうございます。なんらかのお役にたてて光栄です。(岡田)