「スクランブルエッグ」に紙媒体時代からお付き合いしている方ならおわかりのように、紙媒体時代の中心記事であった、オーディション、芸能スクール関連の取材記事、コラムは、現在では私が中心となって担当しています。
私自身は、今後もオーディション、スクールの取材を通じて、芸能予備軍のサポートを続けていくことに変わりはありませんが、もちろん、周囲の動きを全く気にせず、やみくもに「我が道」を進もうとしているわけではありません。
今回は、これまで持ち続けてきた取材ポリシーをあらためて示しながら、今後の取材のあり方についてコメントしてみたいと思います。
【素材発掘のポリシー】
紙媒体時代から、「スクランブルエッグ」がオーディション、スクールの取材で掲げてきたポリシーは、
「将来、メジャーアーチストとして活躍が期待できる素材の発掘」
であり、掲載の場がWebサイトに移ってもこのポリシーは維持しています。
たとえば、Webサイトの世界では無名の(検索で引っかからない)生徒、出場者であっても、将来性が大いに期待されると判断すれば、本人、関係者(主催者)の承諾のもとに、メインで大きく掲載する方針を取っています。一方、すでに、イベントに多数出場し、多くのファンを集めている生徒(出場者)であっても、それに比例して大きく扱うとは限りません。
この点については、関係者、親御さん、またはファンの方から「スクール内で一番人気のある○○○というユニットの扱いが小さいのでは」という意見をいただくこともありますが、あくまで主眼は「将来性」に置いていますので、どうかご理解いただきたいと思います。
【こだわりの原点】
私が、こうしたポリシーにこだわるのは、紙媒体時代に、いつも取材でお世話になっていたスクールの校長(社長)より、
「記事の中で、生徒を平等に扱う必要はありません。皆さんが、シビアーな目で評価をしてくれるのは生徒のためだと考えています」
というコメントをいただいていたからです。
ユニットでのレッスン・発表、生徒の低年齢化が定着した現在では、この考え方は、必ずしも100%受け入れられるものではないと思いますが、芸能スクールは、決して仲良しグループの集合体ではないはずですから、期待できる人はハッキリと記事の中で示し、生徒間で切磋琢磨する空気を作ることも、スクールの活性化には必要ではないかと私は考えます。
ちなみに、先の校長(社長)はこんなこともおっしゃっていました。
「ここからデビューした○○○○は、私の評価は、決して高くなかった生徒でしたが、発表会のときに『欲しい!』と言ってくれた事務所があって預かっていただきました。デビューしてみたら、オリコン○位ですよ! だから、発表会は、より多くの業界関係者に声をかけて観てもらっています」
こだわりは持ちつつも、決して、「自らの評価が全て!」という考えには陥らずに、客観的な視点を持つことだけは忘れないようにしたいものです。
【あきらめる勇気】
前々回に発表したコラム「芸能予備軍にとっての『卒業』とは」で、私は、これまでタブーとされてきた「あきらめる」という世界にスポットを当ててコメントしてきました。
どのようなジャンルでも、教える立場にある人間が、生徒に「あきらめなさい」と言うことは、非常につらいものであり、タイミングが難しいものです。言い方によっては、その人にとって、一生心の傷として残る場合もあります。
最近、「ガンバらない勇気」という言葉をよく聞きます。これは、ガンバリ過ぎること、またはガンバることを「強制」することが、実は大きなストレスを蔓延させていることに、社会全体が気づきはじめているのではないかと考えています。
「ガンバレ!」というフレーズは、言葉に出してとても気持ちのいいフレーズですが、現実問題としては、勇気を持って「あきらめる」ことを提言し、新しい道へ導いていく、といった教え方も、我々を含めて、「教える」側に求められているのは間違いありません。
【おわりに】
私だけではありませんが、アイドルファンの視点で芸能予備軍の世界を見つめてきた人間にとって、「教える」立場に立つことは、実はいちばん抵抗があったのが本音です。
しかし、「スクランブルエッグ」の活動を続ける限りは、夢を持っている人たちに、何か具体的な手段(講演、セミナー、単行本執筆etc…)でメッセージを送ってほしいというオファーが来たら、避けて通ることができないのもまた事実です。
今後のオーディション、スクールの取材は、そうした立場になることも想定して、自身の中にコンテンツを積み上げて行く作業を続けていくつもりです。これからの記事、コラムにご期待ください。