今回のコラムは、ジュニア世代を卒業した芸能予備軍が、引き続きスクールでレッスンを続けていくためには、どんな受け皿作りをしたらよいかがテーマです。
【ダンスユニットの後に目指すもの】
小学校高学年~中学校で、芸能スクールに入校した大部分の生徒は、基本的なダンス、歌唱をマスターするのに精一杯かと思いますが、中学校(ジュニア世代)を卒業する頃には、具体的に、どのような方向を目指すかが見えてくるはずです。それは、大きく次の4パターンに分かれます。
1. ダンス主体のユニットでのデビューを目指す。
2. ソロボーカル、またはバンドでのデビューを目指す。
3. 別分野での芸能界デビューを目指す。
4. 芸能界以外の道を目指す。
このうち、引き続きスクールにとどまってレッスンを続けられるのは、1、2のパターンでしょう。
一連のコラムでも取りあげているように、現在、多くの芸能スクールでは、5~10人くらいでユニットを結成させ、発表会ではダンス中心のパフォーマンスを披露しています。
ダンスレッスンは、芸能界、音楽界で活動していくための基礎体力や、リズム感、協調性を身につけさせるために非常に有効です。ただ、ソロのアーチストを目指したいと思ったとき、どうしても発表会でソロを取れる人は限られますので、自分のやりたいことがステージで披露できない不満も出てきます。
別のスクールに移って、ソロ中心のレッスンを受ける選択肢もありますが、生徒にとっては、自分の資質をよく理解してくれている講師から離れるのはリスクがありますし、スクールにとっても、せっかくデビュー一歩手前まで育てた生徒を手放すのは、後々、大きな財産を失うことにもなりかねません。
そこで、ユニット中心の発表会とは別に、ソロの自分をアピールできる場所はないかと考えたのが、次の項目です。
【スクール生のライブの場】
スクール生が、ソロでパフォーマンスを披露する場として真っ先に思い浮かぶのは、前回のコラムでも取り上げたショッピングモール、お祭りでのイベント、ライブハウス、路上などです。
コスト的には路上がいちばん有利ですが、雨天では歌唱、演奏は困難ですし、生徒の年齢を考えると、夜中に行うわけにはいきません。また、日中でも、自由にパフォーマンスの披露が可能な場所が、全国どこにでもあるわけではありません。
一方、ショッピングモール、お祭りでのイベントは、ユニットでのパフォーマンスが断然有利で、よほど他のイベントで実績を積まない限りは、ソロでステージを張るのは難しいと考えたほうがいいです。
いちばんメリットが大きいのはライブハウスです。スクール生、観客ともステージに集中できますし、メジャーアーチストが頻繁に使っているハコなら、ステージに立つことが、生徒にとってステイタスに感じることができ、レッスン継続の大きな糧になると思います。
さらに、ライブハウスのオーナーが中央の業界関係者と太いパイプを持っていれば、例えば関係者に話を振ってもらったり、場合によっては実際にライブを観てもらうことも可能ですので、スカウトの芽はますます広がることになります。今現在、ライブハウスとのつながりを持っていないスクールは、すぐにでも身近なハコと関係を持つことをオススメしたいところです。
【実際のライブの模様】
ライブハウスで定期的にイベント、発表会を行っているスクールは、「スクランブルエッグ」で取りあげた場所としては「アイズボーカルスクール」「NEXT DNA」などがあります。全般に、音楽系のスクールは、ライブハウスで頻繁にイベントを行う傾向にあるようです。
ここでは、今年の9月23日に、伏見ハートランド(名古屋市)で行なわれた「アイズボーカルスクール」主催の「第8回Ay'sLive」の模様を紹介してみましょう。
【おわりに】
スクールの華とも呼べるキッズ、ジュニア世代によるダンスユニット。しかし、生徒たちにはそれぞれ違う目標があり、ユニット活動は決して永続的なものではありません。
今回コメントしたように、ソロ志望に目覚めたスクール生を、ライブハウスなどに出場させることは、生徒にレッスンを継続させるための大きな受け皿になり得るものと思います。もちろん、観客がステージに集中できることは、同時に、生徒がより厳しい視線を浴びることにもなりますが。