卒業シーズンが近づいてきました。
毎年、この時期になると、必ず聞こえてくるのが、「中学(高校)卒業を期に、芸能界を目指すことをあきらめます」という声です。
何度も耳にしているとはいえ、このような世界に関わっている人間にとっては、最も寂しいフレーズであるのは間違いありません。
今回は、そうした芸能予備軍にとっての「卒業」を検証し、どのように対処していったらいいか、私なりにアドバイスをしてみたいと思います。
芸能予備軍「卒業」の主な理由
まずは、今までの取材経験から、芸能予備軍が、夢を追うことを「卒業する」理由を列挙してみました。
- 経済的、家庭的状況の変化で、夢を追い続けることが困難になった。
- 受験勉強、学校での勉強、部活、仕事が忙しくなってきた。
- 親と「芸能界を目指すのは中学(高校)卒業まで」という約束を交わしていた。
- ダンスレッスン、ボーカルレッスンが苦痛に思えてきた。
- 彼氏(彼女)との付きあいが忙しくなった。
- 彼氏(彼女)から、芸能界はあきらめるよう説得された。
- 友達が辞めるから、自分も辞めようと思った。
実際には、上記単独の理由だけではなく、複数の理由が絡んでいることが多いようです。
夢をあきらめる事情は各人それぞれで、「こうしなさい」という回答を押しつけることは適当ではありませんが、参考意見として、私なりのアドバイスを下記に示しましたのでご覧ください。
各項目へのアドバイス
項目1~3:もし、少しでも「なりたい!」という気持ちが残っているなら、時間、周囲が許す限り、好きなアーチストのCD、DVDは欠かさずチェックする、何曜日の何時には必ずドラマを観る、定期的にカラオケに行って、好きなアーチストの曲を歌うなどして、モチベーションを維持することに努めてほしいところです。状況が好転して、また芸能界を目指せる環境ができたときに、ブランクを感じずに再スタートを切ることが可能だからです。
特に、項目3のように、親と具体的な約束を交わしている場合には、勉強、部活である程度の成果を上げることも、親を納得させる効果的な手です。目指せる環境を自分で切り開くことも、非常に大切なことなのです。
項目4:レッスンそのものが苦痛なのか、人間関係に悩んでいるかで回答が違ってきます。回りが励ましてくれるような状況であれば、できるだけレッスンを続けるように努め、どうしても講師や、他の生徒との関係がうまくいかないようなら、数ヶ月休んでみて、「やりたい!」という気持ちが復活したときに、レッスンを再開する、または別の場所に移るのがいいと思います。
項目5~6:個人的には、芸能界を目指す上での彼氏(彼女)の存在は決してマイナスにならないと考えていますが、スカウトされた事務所から「別れなさい」と言われたときや、自身で両立が難しいと考えたときに、「ケジメ」をつけられるかどうかが最大のポイントです。
よく、女性誌などでは、現在活動中の芸能人が、デビュー前にどのような恋愛を経験し、どのように別れたかの特集が組まれることがあります。男女問わず、このような特集を広告で見かけたら、ぜひ目を通してみてください。多くの芸能人が、同じような悩みを乗り越えてきたことに気づくと思います。
ちなみに、昨年、あるバラエティ番組で、芸能界を目指している女性が、彼氏と別れるかどうか悩んでいる様子が放映されていました。結局は、どうしても夢をあきらめきれないということで、彼氏と別れる選択をしていたようですが。
項目7:キツイ言い方かもしれませんが、「友達が辞めるから……」などという、他人の行動に流されやすい人は、基本的には芸能界向きではありません。本当に目指していたのかどうか、本当に辞めたいのかどうか、もう一度胸に手を当てて考えてみてください。
なかには、「友達に誘われてスクールに入ったり、オーディションを受け始めたりしたけど、先に辞めると言われて、どうするか迷っています」という人もいるでしょう。しかし、友達が先にあきらめたということは、逆にあなたは夢に一歩近づいたのですから、引き続き夢に向かって努力する姿を見せることが、友達への最高の恩返しになると私は思います。
まとめ
90年代までは、高校卒業、または10代を卒業するときが、「夢をあきらめる」一つの転機になっていましたが、芸能予備軍の低年齢化に比例して、その年代が低くなっているのもまた事実です。
今回のアドバイスは、「夢をあきらめないでほしい」との思いを前提に書いたものですが、実際のところ、夢を継続する、あきらめるというのは、あくまで自分自身のモチベーションの有無であり、外的要因は後からくっついて来るものだと考えています。
一番大切なのは、継続するにせよ、あきらめるにせよ、決して後悔しないこと、決して他人のせいにはしないことです。
そして、新たな道を見つけた方は、いい「卒業」ができたと思えるように、これからの人生を歩んでいただきたいと願っています。