前回掲載しました「基礎知識編」では、掲載後「地方発アイドルはみんな同じようなものに思っていましたが、いろいろなタイプがあることがよくわかりました」といった感想もいただきました。ありがとうございます。
第2回目は、活動するための適性、心がけについてコメントしてみましょう。
【どんな人に向いているか】
一連の取材記事でも紹介したように、地方発アイドルは、そのほとんどが女性2人以上の「ユニット」で活動しており、イベントでは、ダンスを交えながら、オリジナルの楽曲、カバー曲を披露しています。
また、声援を送るファンは、男性が中心です。
そう考えると、下記のような考え方を頑固に持った人は活動に向いていないと言えるでしょう。
- ユニットでの活動に抵抗がある人
- 歌を歌うことやダンスを踊ることに抵抗がある人
- 異性(男性)から声援を受けることに抵抗がある人
実際には、芸能界志望者でこのタイプに属する人はそう多くはないと思いますし、仮に、女優、アーチストなど別の分野を志望していたとしても、自ら選択肢を狭める考え方を持った人は、業界ではなかなか受け入れてくれないものです。
そうです、「地方発アイドル」は、決して敷居の高い分野ではありません。
歌、ダンスが好きで、普通に芸能界、音楽界に憧れている人なら、だれでも「地方発アイドル」の活動に向いていると言ってもいいのです。
【活動においての心がけ】
さて、メンバーのオーディションに合格、歌やダンスのレッスンを経て初めてのステージ! となると、いやがおうでも緊張感が高まりますし、地方に行けばいくほど、親御さんをはじめ周囲の人たちの期待も大きくなり、プレッシャーもそれだけ増大します。
ただ、ユニットメンバーに合格するレベルの人でしたら、たとえ大きな舞台で歌った経験はなくとも、友達に歌やダンスを見せることは嫌いではなかったはずです。最初は、とにかく平常心を保ってステージを務め、失敗したなと思ったら、とにかく笑顔を絶やさないように乗り切りたいところです。応援する立場からすれば、「完璧に出来た!」というよりも、少々失敗するくらいのほうが、応援のし甲斐があるというものです。
また、メジャー、マイナーに関わらず、お客さんの前で歌を歌えば、もう「有名人」扱いされてしまいます。ステージに立っているとき、プライベートなときでも、オフィシャルなイメージを著しく損ねるような行為、発言を公衆の面前や公式サイトのブログ(日記)で見せることは避けなくてはなりません。
この点につきましては、本人の自覚はもちろん、親御さんやスタッフの管理能力も当然問われることでしょう。学校の先生以上に厳しく対応するくらいでちょうどいいのではないかと思います。
【辞めたい、と思ったら】
イベントやライブを定期的にこなし、自分に声援を送ってくれるファンの顔もよく認識できるようになった中で、どうしても、自分のやりたい方向とはズレがある、勉強もしたい、他のメンバーとウマが合わないなどの理由で、活動を「辞めたい」と考える人もいるかもしれません。
私自身は、こうしたユニット活動は、最低1年続けてほしいというのが持論ですが「Online Column~芸能予備軍にとっての『卒業』とは」でもコメントしたように、芸能界をあきらめたい、他の道に進みたいと思う理由は単純ではありません。まずは、意思をはっきりスタッフに伝え、どのタイミングで発表するか、どのイベントまで出演するか、適切な判断を仰ぐようにしてください。
スタッフも、いい形で「卒業」させたいのは山々です。くれぐれも、ドタキャンという形で終わらせないように、ケジメだけはしっかりつけてほしいところです。
【終わりに】
「地方発アイドル」の一連の活動手法は、実は演歌系やアーチスト系では古くから行われており、決して新しいものではありません。
しかし、安室→SPEED→ZONE・ハロプロを経て、キッズを中心に、ユニットでダンス・ヒップホップを習う文化が全国に根付き、スタッフ、親御さんが70年代~80年代アイドルを体験した世代が中心になったことによって、「アイドル」という形態での活動が広く受け入れられたことが、現在の地方発アイドルシーンを支える大きな要因になっているように思えます。
これだけ多くのユニットが各地で活動していると、どうしても「メジャーデビュー」に世間の注目が集まりがちですが、私自身は、広い意味で、地方の歌・ダンスが好きな子を集めてユニット活動をすることが当たり前のようになり、「地方発アイドル」が真に地方に根ざすことを願って止みません。
「スクランブルエッグ」で取材した地方発アイドルの地元での活躍
Bachicco!:2005年10月1日 岡山県倉敷市 児島競艇場特設ステージ
今年の7月に新メンバーが3人加入しました。
左から黒田稔恵、佐々木アレカ、レナード杏奈