「基礎知識編」「適正編」と、他のWebサイトやマスコミで語られていない視点で「地方発アイドル」についてコメントしてきたわけですが、皆さん十分理解していただけましたでしょうか。
今回は、総まとめとして、私の周辺でよく聞かれる質問、疑問のなかから、3点ほどピックアップしてお答えしてみたいと思います。
Q1:地方発アイドルは、なぜ、みんな「ユニット」なのでしょうか?
「ユニット」での活動の理由は大きく2つあると考えます。
1つめは、ステージでの見栄えがいいこと。お祭りやショッピングモールなど、不特定多数のギャラリーが集まる場所でのイベントが多い地方発アイドルにとって、イベントが盛り上がるためには、いかに一般客に足を止めてもらえるかが重要です。
ソロのステージだと、どうしても小さく見えますし、観客は「またカラオケか」と思って通りすぎてしまう可能性が大ですが、ユニットであれば、ステージのどの方向からも「何かイベントを行っているな」と観客が認識することができて、足を止めやすいのです。
実際、スクール系のイベントでも、ソロでヒット曲のカバーを歌うよりは、ユニットでダンスパフォーマンスを披露するほうが観客の集まりは良いようです。
2つめは、メンバー個々にかかる負担を分散できること。たとえば「○○発アイドル」という看板を1人で背負うとなると、その人にかかるプレッシャーの量は半端ではありません。仮に、受験に専念したい、他の分野を目指したいと考えても、自分1人の意思だけでは決められないという思いが、さらに大きなプレッシャーとしてのしかかってしまいます。
一方、ユニットであれば、学校行事(文化祭、修学旅行など)で一時的に休んだり、諸般の事情で脱退することになっても、メンバーチェンジや、残ったメンバーで頑張ることによって、ユニット自体は維持していくことは可能です。また、受験などで休業したとしても「復帰」が容易な点も大きなメリットと言えましょう
いずれにせよ「ユニット」という形態は、メンバーチェンジを繰り返しながら、8年以上継続しているモーニング娘。(ハロプロ)が、ノウハウ作りに大いに役立っていることは間違いないでしょう。
Q2:地方発アイドルでメジャーデビューした人はいるのでしょうか?
はい。福岡の芸能スクール「マジソン・ミュージック・アカデミー」(MMA)に在籍している生徒が中心になって結成されたユニット「SEED」が、九州限定ではありますが、2005年11月2日にavexからメジャーデビューを果たしています。
また、ロコドルフェスティバルに2度出演した「PLIME」も、2006年2月に、徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャーデビューすることが決まっています。
アイドルに限ったことではありませんが、メジャーとインディーズの垣根はますます小さくなっています。地方限定のインディーズ作品であっても、amazonなどのネット通販でたいていのCDは入手可能ですから、前回の記事でも書いたように、メジャー、インディーズにかかわらず。ユニットのコンセプトに合った活動を続けてほしいというのが私の持論です。
Q3:やはり、地方発アイドルは、その地方で見るべきなのでしょうか?
その通りです!! かく言う私も、取材の多くは首都圏で行っていますが、時間、予算が許す限り、そのユニットの活動している地域で実際に取材したいというのが本音です。
広島のお好み焼き、高松の讃岐うどん、福井のカニ、新潟、酒田のおいしいお米……、地方に行くことの楽しみは、実をいうと、イベントと同時に、その地域の食べ物を堪能し、文化を理解することであり、特に首都圏のアイドルファンにとって、それは、秋葉原という空間では味わえない「非日常」の世界そのもののような気がしています。
これから、首都圏など大都市圏でのイベントを観てファンになった人が、その地域に熱心に通う例は増えるものと思いますが、スタッフ、ファンの皆さんともども、あまり「秋葉原」を意識せず、地域のカラーを大切にしながら、イベントを盛り上げていくことを願うばかりです。
【2005年を振り返って】
いろいろな意味で歴史の転換点といわれる2005年でしたが、決して「若者」ではない年齢の中核にさしかかってきた自身にとっては、若者に対して「口うるさいオヤジ」と嫌われ役を引き受ける必要も生じた1年だったように思えます。
私のコラムも、最近「説教くさくなった」との声もちらほら聞かれますが(笑)、2006年も引き続き、これまでの経験を糧に「スクランブルエッグ」の活動に臨んでいく所存です。