今回のコラムは、デビュー以来、オーディション、発表会で安定した人気を誇り「選曲講座」の真打ちともいえる島谷ひとみを取り上げてみたいと思います。
芸能予備軍に最も身近な歌姫
島谷ひとみは、世間一般では、ヴィレッジシンガーズのカバー「亜麻色の髪の乙女」でブレイクしたとされています。
しかし、オーディション、発表会では、それ以前にリリースされた「パピヨン~Papillon~」 「シャンティ」がコンスタントに歌われており、芸能予備軍にとって、彼女の楽曲は、ブレイク前にすでに必須アイテムの仲間入りをしていたのです。
Online Column - 『スクランブルエッグ』2002年取材白書で触れたように、島谷ひとみは、強いカリスマ性を持ったアーチストではありませんが、歌好きの女の子が、古今東西数々の楽曲(カバー、オリジナル)に出会い、「歌姫」へとステップアップしていった姿は、予備軍たちに「自身に最も身近な歌姫」として映ったのかもしれません。
生い立ち、ファッションといった「付加価値」ではなく、あくまで「歌手メイン」で勝負を続けた島谷ひとみ。数多くのカバー曲、数々のライターが作ったオリジナル曲を歌うことによって、歌手本来のあるべき姿を、ガンコなまでに追求してきたように私には思えます。
オーディション選曲のアドバイス
さて、前置きはこれくらいにして、さっそく先日リリースされた彼女のベスト盤「Delicious!」に収められている16曲全曲に関して、選曲のアドバイスを行うことにしましょう。
アルバムの全曲選曲講座を行うのは、本連載初の試みです。どうぞ、参考にしてみてください。
島谷ひとみオーディション選曲アドバイス
曲 目 | オーディション適性 | ワンポイントアドバイス | |||||
年齢 | 志望 | ||||||
解放区 | × | △ | ○ | ○ | △ | △ | ZARD色強し。歌う人の声質、キャラクターを選ぶ曲で、特にアイドル系は不利 |
パピヨン~Papillon~ | ○ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | ダンスナンバーが好きだけど、BoA、倖田來未を歌うには色気が…、という人向き |
市場に行こう | △ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | インパクトのある歌詞なので、聞く人にしっかり伝えられるよう、発声の練習を |
Fantasista | × | △ | △ | △ | △ | × | 難易度は高くないが、曲調に起伏が少なく、審査員に個性をアピールするのは困難 |
やさしいキスの見つけ方 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | いかに歌詞の中のヒロインになりきるかがコツ。女優志望で、年齢の高い人向き |
シャンティ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | 年齢、志望を問わないオールマイティな曲。バラードが苦手な人にオススメ |
亜麻色の髪の乙女 | ○ | △ | × | × | △ | ○ | 歌う旬は過ぎてしまったが、キッズ・タレント系ならまだ大目に見てくれるかも |
A.S.A.P. | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | △ | 思った以上に声量が必要。少なくともMisia、Lyricoを歌いこなせる力量がほしい |
いつの日にか… | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 前サビ、キャッチーなメロディ、男言葉…、アピール度は抜群。出だしが勝負! |
Poinsettia | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ファルセットなしでも十分歌いこなせる。初めてバラードに挑戦する人に最適 |
赤い砂漠の伝説 | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ | △ | 典型的な広瀬香美節で、審査員の評価も割れがち。ボイトレを積んでいる人が有利 |
元気を出して | ◎ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | 竹内まりや作品を若年層向けに消化したナイスカバー。振り付きで歌ってもOK |
Perseus~ペルセウス~ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | △ | 基本さえマスターすれば、ステージ映えする曲だけに、かなりポイントは上昇 |
La Fiesta | × | △ | ○ | ○ | × | △ | 「市場に行こう」と比較して歌詞が少々難解。歌手志望以外の人は避けたほうが無難 |
YUME日和 | ◎ | ○ | △ | × | △ | ○ | 大人が歌っても構わないが、スタジオでのガチンコ勝負で取り上げる曲ではない |
花鳥諷詠 | ○ | ○ | ○ | △ | △ | ◎ | 企画物臭はそんなに強くないので、カラオケで歌いつけておくと何かの折りに便利 |
※オーディション適性 ◎:最適 ○:問題なし △:少々難あり ×:不適
おわりに
オーディションを何度か受けたことのある人、ヴォーカル系のスクールでレッスンを受けた経験のある人なら、誰もが一度は島谷ひとみの曲を歌ったことがあると思います。
こうしてベストアルバムをチェックしてみると、彼女自身、まるでオーディション経験、スクールでのレッスン経験を積んで大きく成長したかのように聴き取れます。
もし、自身の方向性に迷いが生じたときには、あらためて彼女の楽曲を見直して、チャレンジしていってはいかがでしょうか。健闘を祈ります。
【満足度】 4
【コメント】なるほど。言い得て妙ですね。
【ペンネーム】 (無記入)