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AKB48物語「初のホールコンサート」

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2006/11/06
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2006年8月20日、AKB48(エーケービー・フォーティーエイト) チームAの3rd Stage「誰かのために」公演の初日にメジャーデビュー決定の報告がありました。

そしてAKB48は2006年10月25日、ソニーミュージックグループのDefSTAR RECORDSより『会いたかった』で見事メジャーデビューを果たし、11月3日、4日に初のホールコンサート“AKB48 ファーストコンサート「会いたかった~柱はないぜ!~」”を成功させることができました。

今回はその間の道のりで感じたことを述べたいと思います。「最近のコラムはハロプロとAKB48ネタばかりだ」と辛口のご意見があることもわかっておりますが(笑)、しばしのおつきあいを。

長くなりますので、以降の見出しへジャンプするリンクをつけます。
★ファンの気持ち、メンバーの気持ち
★AKB48ファーストコンサート at 日本青年館
★ばら組 vs. ゆり組
★AKB48スタッフに残された課題

チームA『誰かのために』公演は“中間テスト”

今回のAKB48 チームAの3rd Stageの楽曲の印象は80年代アイドルポップスの完全版ともいえる内容で、本編のどれをとっても1回で覚えられるような曲ばかりの、遊びが少なめの緻密な構成となっていました。ですから個人的には気に入っています。

完成度が高い分だけかえって目立つのが、遊び心たっぷりな「小池」と「涙売りの少女」となるわけで、これを楽しみにしている方も結構いらっしゃるのではないかと思います。

このバージョンで良く出来てると思ったのは、全員で登場する3曲のあとのユニット曲5曲のメンバーの振り分け方です。この分け方には非常に感心しました。

今までは実力と人気とキャラを考慮しながらバランス良くキャスト分けしていたものが、今回はバランスよりは、それぞれの与えられたポジションで頑張れば頑張るだけ結果が認められるような振り分け方をしていたのです。

ですから、その与えられたポジションでチームAのメンバーそれぞれがどのように自分の持ち味を発揮できているか、ということをステージを何回か踏んだ後に自分の目で確かめたかったのです。ところが、8月19日の公開ゲネプロ以降、会社設立などの準備で忙しかったため、残念ながらまだ確かめることができていないのです。

心の中で自分のポジションに不満を持っているかもしれないメンバーでも、この5曲のなかで自分を出せるか出せないかは本当にメンバー次第だと強く思います。いわば「中間テスト」のようなもので、それをどうこなしているのか熱心なファンの方はたぶん見抜いているのではないでしょうか。

今回のステージは表向きは80年代ど真ん中のポップな曲が続く楽しい内容ですが、実はメンバーにとっては「他人のせいにすることができない」かなり厳しいバージョンと私は見ています。それに気づいているメンバーはこれからも伸びていくことでしょう。

ファンの気持ち、メンバーの気持ち

メジャーデビュー曲「会いたかった」のための選抜メンバーが2006年8月30日に発表されました。チームAから板野友美、大江朝美、大島麻衣、小嶋陽菜、篠田麻里子、高橋みなみ、戸島花、中西里菜、成田梨紗、峯岸みなみ、チームKから秋元才加、梅田彩佳、大島優子、小野恵令奈、河西智美、小林香菜、野呂佳代、松原夏海、宮澤佐江の計20名となりました。

なぜこの20名なのかについての事情は知りませんので、「なぜあの子が入っててあの子が入っていないんだ!」と聞かれても答えることができませんが、歌唱力、人気、ルックス、スケジュールの押さえやすさ、やる気や態度に加え、レコード会社の意向も考慮して選ばれたのだと思います。

そしてメンバー自身も疑心暗鬼になったり、派閥を作ったりという時期になりがちですので、実力主義だけでは語れない精神的ケアも必要となるでしょう。それを支えるのはスタッフであり、ファンであるのです。

ファンとしてできることには限りはありますが、メジャーではないタレントにとってファンの声援ほど心強いものはありません。タレントがいくら有名になっても初期のころに一生懸命応援してくれたファンのことは口には出さないけれど絶対忘れないものです。それは以前ファンだった私が元アイドル本人から聞いたので間違いありません(笑)。

私がメディアの側に立ってアイドルを応援しようと決めたのは、ファンとして応援できることの限界を強く感じたからでしたが、実際メディアの側に身を置くようになった今、AKB48にしてあげられることは本当にささいなことしかなくて、かえってファンの方のほうがメンバーの力になっているとさえ思うことがあります。

昔の自分には戻りたいとは思いませんが、AKB48のステージを見るたびに、ファンとしてアイドルを一生懸命応援していたときのことを思い起こさせてくれます。ファンもタレントも、純粋に目標に向かっているときは本当に楽しくて一生懸命になれるものなので、ファンの人たちがとてもうらやましくさえ思えます。

劇場での声援の大きさとファンの数は果たして比例するのか、というのは常々疑問に思っていましたが、つい先日、「秋葉原エンタまつり」の握手会の取材ではっきりわかりました。好きなメンバー1人だけと握手できるシステムなので、人気のある子はすぐにわかります。

握手会をしばらく観察していましたが、実はかなりの割合で劇場での声援と比例することがわかりました。これは大発見でした。ですからファンの声援も無駄ではないということです。ですからこれからも声援は続けていただきたいですし、メンバーの人たちもファンの方への感謝の気持ちは忘れないでいてほしいのです。

AKB48ファーストコンサート at 日本青年館

2006年11月3日、4日、日本青年館にてAKB48の1stコンサート「会いたかった~柱はないぜ!~」が行われました。チケットは早々と売り切れてしまったので、行けなかった方のためにセットリストを残しておきます。

0. Overture
1. PARTYが始まるよ
2. Dear my teacher
3. 会いたかった
---MC---
4. クラスメイト
5. あなたとクリスマスイブ
6. キスはだめよ
7. 星の温度
8. 投げキッスで撃ち落とせ!
9. Blue rose
10. Bird
11. 禁じられた2人
12. 渚のCHERRY
13. ガラスのI LOVE YOU
14. 雨の動物園
15. 小池
16. 転がる石になれ
---MC---
17. 制服が邪魔をする
18. 涙売りの少女
19. Virgin love
20. シンデレラは騙されない
---MC---
21. 青空のそばにいて

アンコール
22. スカート、ひらり
23. 桜の花びらたち
24. AKB48
ダブルアンコール
25. 会いたかった

「柱はないぜ!」と銘打ったわりには幕が開くと2本の巨大な柱が!(笑)……という粋な演出で始まったファーストコンサート、もちろん柱はしばらくしたらステージ外に撤去されました。

楽曲リストを見ていただければおわかりのとおり、今までのステージの総集編のような形で長い時間、十分に満足のいく内容だったと思います。私もとても楽しむことができました。ちょっぴり物理的距離を感じた以外は。

2階の前のほうの席で見させていただいたので、1階客席の様子やステージの様子も大変良くわかり、こうして楽しくコラムを書けるというわけです。私は11月4日の夜の公演を見たので、その感想を書かせていただきます。

3回ぐらい涙が出そうになりました。今までのステージの節目でファンのみなさんやメンバーが感動しているのを私は「単なる通過点」としてしかとらえていなかったので、「やっとここまで来たのね」みたいな感想を持つにすぎませんでした。それは想定の範囲内だったからです。

アイドルのコンサートで日本青年館に来たのはたぶん東京パフォーマンスドールの1991年以来。会場に来て思った感想は15年前と同じで、「こんなに広いのか!」というもの。お客さんが満員に入り、ステージが始まり、「PARTYが始まるよ」を見たときには、初日のことを思い出して感慨深いものがありました。

中盤の13曲連続は今までのステージのおいしいところを総集編のように見ることができたので、満足しつつ、音楽の素晴らしさをあらためて感じました。音楽は、人間の生活と密接な関係にあり、その音楽を聴くとその当時の自分の身に起きていることをリアルに思い出すことができるものなので、今までのAKB48の絵巻物語を目の前で見せられているようでこの1年の出来事を振り返ることができました。

感慨にひたりつつも、ステージや客席を観察してしまうクセは相変わらずです(苦笑)。「なんでこんな簡単なステップをきれいにこなせないんだろう」とか、「なんで何回もステージやってるのにキレのある動きができないんだろう」とか、とても気になることもあります。大きいステージでも手を抜いていると結構分かっちゃうものなんですよね。

「青空のそばにいて」「桜の花びらたち」の振りを客席ファンの方ほとんどがやっているのを上から見ていると、可動ステージじゃないのにステージが上がったり下がったりしているように見えて立ちくらみしそうになりつつ、涙がちょちょぎれました。

最後のほうは「歴史の立会人になれた」という感慨深い気持ちと、これから始まる新しい旅への不安で、当事者ではないものの、大きな大きな時代の流れに身を置いているのだなという気持ちになりました。

ばら組 vs. ゆり組

AKB48の日本青年館ファーストコンサートの11月4日の公演の最後に、メンバー組分けの発表が行われました。速報でお届けします。

ばら組

チームA:浦野一美、大島麻衣、折井あゆみ、小嶋陽菜、駒谷仁美、高橋みなみ、平嶋夏海、増山加弥乃、峯岸みなみ、渡邊志穂
チームK:秋元才加、今井優、大堀恵、小野恵令奈、河西智美、小林香菜、野呂佳代、松原夏海

ゆり組

チームA:板野友美、大江朝美、川崎希、佐藤由加理、篠田麻里子、戸島花、中西里菜、成田梨紗、星野みちる、前田敦子
チームK:梅田彩佳、大島優子、奥真奈美、佐藤夏希、高田彩奈、早野薫、増田有華、宮澤佐江

最初50音順に「ばら」「ゆり」ときれいに振り分けられたので、このまま本当に50音順で振り分けられるのか? と思われたら実はそうではなく、完全にAとKを真っ二つに分けた形となりました。

チームAの2トップ、高橋みなみと前田敦子、チームKの2トップ、秋元才加と宮澤佐江がそれぞれ分かれているだけでなく、同じチーム内で同系統のキャラやポジションの子が真っ二つに別れたため、見どころたっぷり、ファンのブログのネタとしても楽しめる分け方になりました。

1人のメンバーだけ好きなファンはどちらかを選べば済みますが、ほとんどの人は複数のメンバーが好きで、しかもきれいに分かれているのでこのメンバー分けには優劣はないように見えます。ただ、じっくり見るといろんなことがわかる……かもしれません(笑)。たいてい予想は裏切られるものですので、ふたを開けるまでの楽しみということですね。

この編成は2007年1月から始まる(チームBも加わるかもしれない)公演での組分けで、実際、この発表どおりになるかどうかも正確には分かりませんのでオフィシャルサイトやオフィシャルブログの発表でご確認ください。そして、「チームA」「チームK」という所属は以前のままですので、「チームAの○○」「チームKの○○」というような呼び方のまま、これからもいくそうです。

AKB48スタッフに残された課題

AKB48の今後についてファンの方もスタッフの方にもわかりきってることかもしれませんし、違う視点のときもあるかと思いますので、私自身からも一応提言しておくことにします。

“会いにいけないアイドル”問題

すでに「たまにしか会いにいけないアイドル」となったAKB48に会いにいくためにはどうすればいいのでしょうか。劇場を広くするのでしょうか、公演回数を増やすのでしょうか、劇場を増やすのでしょうか。

青年館の2階から1階のお客さん全員、「桜の花びらたち」の振りが完璧に合ってるのを見たとき、感動したと同時に、「こんなにたくさんのお客さんが本当は毎日のように見たいと思ってるんだ」と思うと、なかなかその要求に応えていくのは難しいような気がします。

現実的にはメンバーが違っても公演内容は同じにして平日2回、土日3回ぐらいに公演回数を増やすことぐらいでしょうけど、なかなか難しい問題です。

ステップアップの動機づけ

第一の目的である、「メジャーデビュー」を果たした次にAKB48としてどうするのか、という問題と同時に、メンバー個人のそれぞれの夢に対してどういう形でアプローチしていくのかについては、本人もスタッフもそろそろ考えていかなければならない時期でしょう。

最初はステージに立ってテレビに出て、ファンの人に応援してもらって目立つことが目標だったのが、今度からは自分の人生を自分で切り開いていく人だけが生き残れる芸能界にどういう形で身を置くのかどうか、自分で決めていかなければならないのです。

若い世代の人は将来のことをそんなに簡単に決められるものではないですが、劇場に通うファンの多くはそんなにいい加減にメンバーを応援しているわけではないので、中途半端な気持ちのままAKB48に居続けるのは自分自身の精神衛生上も良くないので決断は早めにお願いしますね。

メンバー内の不和に注意

グループものは絶対に派閥ができるし、新人が入るとややこしいことがいつも起きるので、それをマネージメントするのはスタッフのいちばんの仕事です。しかもステージでは見えないのでとても厄介なものです。風通しを常に良くしておかないと、表向きはきらびやかでも、内面ドロドロ、みたいなことにならないようにしていただきたいものです。

それから、つまらない男女関係のスキャンダルに巻き込まれないようにしないと、どこかのグループのように不本意な形でグループを離れることになりかねないので、それだけは厳しく教育していただきたいですね。ついでに未成年の飲酒・喫煙も本当に馬鹿らしいので、プロとしての自覚を持っていただきたいものです。

ハロプロ対策?

私自身は実感がないのですが、アイドルファンの人は結構ハロプロ系アイドルと比較したがっているようです。ハロヲタとAKBヲタは重なっている部分もあるし、全く重ならない部分もあり、何をどうしたらいいのかという答えはないのですが、ハロプロサイドは意外とAKB48を意識している向きもあるようです。

私が言えることは、ハロプロと同じような失敗をしないこと、失敗から学ぶということしかありません。AKB48がAKB48として存在し続けられるのは、“会いにいけるアイドル”というコンセプトの継続、完成度の高い楽曲群、ファンの声に耳を傾け続けること、の3つだと思います。これさえ変えなければこれからのアイドルシーンは確実に変わっていくはずです。

アルバムリリース

「会いにいけないのなら音を聴きたい」というニーズを満たすか、DVDなどの商品化を早くして、全国ツアーに向けて地方公演がガラガラにならないように準備すべきと思います。私が音を聴きたいというだけかもしませんが(笑)。

 

以上、長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。ファンのみなさんや、スタッフのみなさんがAKB48を愛する気持ちと同じぐらい好きになっているんだと思います。コンサートパンフの秋元康さんのメッセージを読んで今までとは違うアイドルが生まれるかもしれないと思いました。これからもよろしくお願いします。

cover 会いたかった(初回生産限定盤)(DVD付)
DefSTAR RECORDS
1,575円(税込)
CD+DVD
2006年10月25日
cover スカート、ひらり
AKS
1,050円(税込)
CD
2006年6月7日
作詞:秋元康、作曲:岡田実音
cover 密着!「AKB48」~写真集 Vol.1 the・デビュー
講談社
1,890円(税込)
ISBN 4063527425
2006年3月2日
cover 桜の花びらたち
AKS
1,300円(税込)
CD
2006年2月1日
作詞:秋元康、作曲:上杉洋史

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