2008年5月31日からチームKの4th Stage『最終ベルが鳴る』公演が始まりました。本公演はチームA、チームKが合同で活動した「ひまわり組」公演(2007年7月1日~2008年4月19日)の後にチームA、チームKに再び分かれて行われた初のオリジナル公演(チームAはリバイバル)となります。
チームA、チームKそれぞれのファンの劇場内での確執をなんとかしなければいけないという事情と、チームA・Kの実力差がなくなってきたこと、劇場外でのソロ活動のスケジュールと劇場公演のスケジュールの調整がしづらくなったきたことも重なって始まった“ひまわり組”公演でしたが、10ヵ月あまり行ってきたことで客層も次第に入れ替わり、もう一度チームごとでの個性の出し方や、一メンバーとしての存在感の示し方を検証してみる意味で、初心に戻った形でチーム毎に分かれて公演を行うことになりました。
団結力の強かったチームK、そして熱心なチームKファンが待ち望んだ“Kメン”だけのオリジナル公演、過去最高だと評価の高いK 3rd『脳内パラダイス』を超えられるのか、といったとても期待感の高いなかで始まることになりました。
これが最後の公演!?
『最終ベルが鳴る』公演を最初に見た印象は、「チームKとしてのオリジナル公演はこれが最後になってしまうんだろうか」と思ったことです。
それは列車の最終ベルが鳴ってオーディションのため都会に出てきて、いろんなことがあったなか、『支え』で今までを振り返ってしまう流れの中で、公演に“チームK”の未来への展望が見えてこなかったからです。それは何回か見て思い過ごしだとは思ったのですが、その第一印象はぬぐい去ることはできませんでした。
チームKのファンの立場からは「“チームK”らしさ」が公演の中に出ている点では満足できる内容になっているように感じます。個人的には最初の全員曲4曲が「ひまわり色」が強くて、荒削りで力強い“チームK”の特徴をいまいち活かしきれていない印象がありますが……。
ほかにも歌詞の作り込み方が以前と比べて雑になったようにも感じます。それは何らかの戦略があるからなのかもしれないので、個人的な印象としてとだけ記しておきます。
ユニット曲以降はいろいろと趣向を凝らしてあり、特に『おしべとめしべと夜の蝶々』はファンにはたまらない演出でしょうし、K 3rdに見られたダンスポップ系や宝塚系などを踏襲した『リターンマッチ』『回遊魚のキャパシティ』など、見どころもたくさんあります。
そして本編最後の『会いに行こう』では、従来チームAにしかできなかった、かっこよさとかわいさを同居させた楽曲がチームKにもできるように(サマになるように)なったことがなんともうれしかったです。
先にも述べましたがアンコール最後の『支え』は、チームKの歴史を歌詞にしたような非常に内省的な内容になっていて、どういう風に未来につながっていくのか、そしてチームKを見守ってきたファンやスタッフや関係者が歌詞の中にも見えてこないようにも感じます。
それを聞かされると『最終ベルが鳴る』の「最終」という言葉だけが自分の脳内で一人歩きしてしまうので、もう少し抽象化をしてほしいものだと感じた次第です。
ソロのグラビア活動
2008年7月15日に篠田麻里子さんの写真集、7月18日に佐藤由加理さんの写真集、7月25日に川崎希さんの写真集、8月23日には峯岸みなみさんの写真集、9月11日には大島麻衣さんの写真集と、次々とメンバーのソロ写真集が発売されます。
篠田麻里子さん、佐藤由加理さんについてはインタビュー記事を掲載させていただき、おかげさまで好評を得ています。そして川崎希さんのインタビューも終わっていますので、近日その記事も公開する予定です。
スクランブルエッグは2005年12月7日、公演初日の前日から関わって取材記事やコラムも多数掲載していますが、個別のインタビューをする機会は今までありませんでした。
それは単に“縁がなかった”ことのほかに、グループアイドルの“絵巻物語”に当事者としてあまり深く関わりすぎないようにしていたからだと思います。もちろん、当事者になるのを嫌っていたわけでなく、メディアごとに役割があり、その役割を果たすときが今、来ているからだと勝手に解釈しています。
AKB48立ち上げから3年目となる今、AKB48のメンバーに初めて個別にインタビューするのは、なかなかスリリングで楽しく、新しい発見ばかりで、ファンの方にとっても意味深い内容になっていると思っています。
オーディションを受けてAKB48に入るときの決断というのは、各メンバーにとって究極の選択だったのは想像に難くありません。篠田麻里子さんにいたってはオーディションに落ちて、カフェでアルバイトするために上京したわけですから。彼女たちの「決断」にはタレント予備軍の方が学ぶべき点がたくさんあることがわかっていただけると思います。
そしてうれしいことに佐藤由加理さんはスクランブルエッグのサイトに載っていたオーディション情報をきっかけにメンバー入りしたわけですから、タレントを目指す方の役に少しでも立てて、続けていて良かったと思える瞬間でした。
ソロとしての活動、しかも水着グラビアもあるとなると、また別のターゲット層をも巻き込める可能性があります。元々私は歌関係中心だったのがいつの間にかグラビア中心になってきた中で、やはり彼女たちのグラビア的側面を目の当たりにすることになり、他のグラビアをするタレントと対等に戦っていけるのかが気になるのは当然です。
篠田麻里子さん、佐藤由加理さんの写真集を見せてもらった限りでは、その心配はあまりなく、「AKB48だから…」といった縛りがなかったことにホッと胸をなでおろすことができました。
今後どういう形でAKB48のメンバーがソロ展開をしていくのかにはこれからも注目していきたいところです。
AKB48の中の「研究生」という立場
7月24日にも行われた「研究生公演」。いったい研究生をどういう扱いにしたらいいのかというのはAKB48をよく取り上げているメディア関係者の間で最近よく話題になるテーマです。
スクランブルエッグ編集長としての今までの扱いは、「メンバーと研究生は別」というものでした。
というのは、正式メンバーになるかならないかわからない状態で、メンバーと同列に扱うのは、以前からいる現メンバーに対して少々失礼にあたるのではないかと考えたこと。そして、いろんな可能性を持っている研究生に焦点を当てることそのものは問題ないとしても、なんらかの形で脱退し、「元AKB48研究生」という肩書きが今後ずっとついて回ることが本人にとって果たしていいものかどうかという疑問に答えを出すことができなかったこと、“48人”という定員の拘束があると思い込んでいたため、研究生はいってみれば“見て見ぬふり”、“視界に入れば取り上げる”といった形でしか取り扱うことができませんでした。
そのため、研究生として何度もステージに立ち、スクランブルエッグのサイト上でも縁があれば掲載しておきながら、(サイト上での)存在感があまりない状態のままメンバー入りした佐藤亜美菜、藤江れいな、倉持明日香、成瀬理沙、佐伯美香(以上敬称略、オフィシャルサイトに載っている順、宮崎美穂は除く)の5人については十分な扱いができないまま現在に至っています。
ところが最近、研究生公演も何回か行われることとなり、定員の壁を破る49人目の正式メンバー入り(宮崎美穂さん)が発表されたこと、そして彼女たちの実力が公演で実証されてきていること、そして何よりファンからの注目度が高いことを考えるに、今までと同じ考え方ではいけないと思うようになりました。
前回のコラムの補足でブログに「AKB48研究生公演がなぜ面白いかについての考察」 をしました。
そこで述べたとおり、AKB48を最初のほうから見ている人にとって研究生は本質的に面白いものです。ですので、自然とそちらのほうに注目が集まります。現メンバーにとっては脅威でしょうが、それは昔は自分もそういう時期があったのですから仕方ありません。
芸能界というところは常に新鮮な人材が求められているものです。注目されるのは一瞬ですが、ファンを長く居止めるのは簡単なことではありません。厳しい言い方をすれば、前からいるメンバーは主戦場を劇場から外に移していかなければならない時期にさしかかっているのでしょう。
ですから、少し方針を変えていこうと考えました。
AKB48劇場の中では、「研究生」という枠を気にせず、AKB48のメンバーと同じように評価していこう、と。
それがAKB48プロジェクトの「ショウケース」という意味合いに合致しているという判断をすることにしました。はっきりとは分かりませんが、他媒体もそうなるのではないかと思われます。
従って(?)、前回のコラム「チームA 4thリバイバルと初の研究生公演」の答え合わせをします(笑)。
マリリン:北原里英
エース:宮崎美穂
夏子:小原春香
です。ほかにも気になった子、将来性の面で期待できる研究生がいましたが、これはまた別の機会にということで。
また熱い夏がやってきた
夏休みに入り1日3回公演や、劇場内外でのイベント、ソロ写真集やDVDのイベント、日比谷野音でのライブなど、ファンにとっては忙しくも楽しい毎日が続いています。
スクランブルエッグがAKB48に対して応援できることには限りはありますが、初日から見続けている数少ない生き証人(?)としての視点を持ちつつ、これからも紹介していけたらと考えています。今後のソロインタビューも決まりかけていますので、これからの記事にご期待ください。