更新情報

検索する

AKB48物語「AKB48選抜総選挙」

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2009/07/08
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
copyright(c)2001-2022 Scramble-Egg Inc.

NHKホールコンサートの卒業式

AKB48は2009年4月25日、26日にNHKホールでコンサート『「神公演予定」* 諸般の事情により、神公演にならない場合もありますので、ご了承ください。』が行われました。

25日には研究生の瓜屋茜、早乙女美樹の送り出し、26日にはチームAの大島麻衣、川崎希、チームKの早野薫の卒業式が行われました。

この『「神公演予定」(以下略)』や卒業式についての評価は人それぞれでしょうが、2日目の夜を見た私はセットリストそのものの評価よりも、卒業セレモニー、「涙サプライズ!」選抜メンバー発表、AKB48総選挙のほうが本編よりも面白すぎて「神公演とはそういう意味だったのか!?」と思ったほど。

AKB48劇場で日常やっているようなことがNHKホールでもできてしまうのは昔から見ている者としてはたまらない楽しさがあります。コンサートとして完成されたものを見たかった方にとって楽しめなかったと言われればそうなのかもしれませんが……。

「AKB48劇場で日常やっているようなこと」と考えればチームK早野薫の卒業式はチームKらしすぎますし、14女のくだりは笑いすぎて涙が出るほどです。

その卒業式が長引いたせいで川崎希の卒業式が佐藤由加理のひとことでカットされたり、きっと泣かないはずの大島麻衣がサプライズ登場の星野みちると折井あゆみの歌で涙するというのもできすぎていました。

それよりも驚いたのは公演終了後の告知映像で、ニューシングル『涙サプライズ!』の選抜に研究生が選ばれたり、その次のシングルの選抜は投票で決めるというもの。その賛否はあるかと思いますが、話題性という意味では現在の政治情勢をも反映したネーミングもあって抜群だったのではないでしょうか。

初期から活躍していた選抜メンバー常連の大島麻衣が卒業ということで、これが彼女にとって良い旅立ちの時期だったのかは、もう少し時間がかかりそうです。

SKE48『初めての課外授業』と秋葉原でのチームS『手をつなぎながら』公演

2009年5月24日、SKE48は初めての単独コンサート『初めての課外授業』をボトムラインで行いました。

このときの感想はブログに、公演の様子はレポートに掲載しました。

SKE48が持っているパワーを十分に発揮したコンサートで、地元ファンはもちろん、東京から見に来たファンや関係者を十分満足させる内容でした。SKE48が単独でも十分な内容のパフォーマンスを見せてくれることを証明してくれたことに素直に感動しました。

その約2週間後の6月6日~7日、SKE48チームSはオリジナル公演『手をつなぎながら』を聖地・秋葉原のAKB48劇場で初めて披露しました。

セットリストに加え、チームSのパフォーマンスの高さについて東京のAKB48ファンにもようやく理解していただけたのではないかと思います。

「AKB48にはなくてSKE48にあるもの」「一切手抜きのないきびきびしたダンスパフォーマンス」などについても理解されたはずですし、公演を見たAKB48のメンバーも危機感を感じていただけたようで、AKB48の公演にもフィードバックされたように感じます。これこそが常に高いクオリティを維持していくために必要なことのように思います。

シアターGロッソ公演

2009年6月4日、AKB48はAKB48劇場に続く第2劇場として水道橋(後楽園)のシアターGロッソでの公演を開始しました。

こちらは定員750名でAKB48劇場の3倍のキャパを持ち、秋葉原と合わせて1日に約1000人がAKB48を見ることができ、「会いにいけるアイドル」コンセプトを実現させることができました。

これにより、「会いたいときに会いに行ける」状況を作り出すこともできたし、演目であるひまわり組2nd『夢を死なせるわけにいかない』のチームBメンバーの参加もできたし、これからAKB48が大きくなっていくうえで必要になっていく課題がいくつか見つかったのも良かったような気がします。

SKE48チームKII

2009年6月13日、SKE48はチームSに続く2つめのチーム、「KII」(Kツー)の初の公演『会いたかった』を開始しました。

初日の公演を見ただけではまだなんとも今後の展開の予測がつかないですが、AKB48の各チームや、チームSとは違う育ち方をしていくだろうことだけははっきり分かったので、それは本人たちとファンの方たちで作っていくしかないでしょう。

チームB、チームSでは最初からセンターで目立つような(あるいは目立たせるべき)メンバーがいたのに対し、チームKIIは特に目立つメンバーがいないところが新しい展開をもたらしてくれることを期待しています。

メンバーのほとんどは中学生であることや、ルックス的にも期待が持てる面からも成長はしていくことは間違いないのですが、ファンが甘やかしすぎないかが少し心配なところです。

『涙サプライズ!』に見る急激な客層の広がり

2009年6月24日、AKB48は12枚目のシングル『涙サプライズ!』をリリースしました。この曲はオリコンデイリー、ウイークリーともに2位とそれまでの自己最高を更新しました。

その発売記念イベントがよみうりランド オープンシアターEASTで行われたのを取材したのですが、5000人もいるお客さんの中で一番目立つのは高校生世代。女性の割合も思った以上に多く、AKB48の人気が若い世代に着実に浸透してきているのを実感しました。

『10年桜』のラクーアと比べてもさらに若い印象で、応援する声援も秋葉原のおたくのイメージではなく、まったく普通の高校生がAKB48のメンバーたちに会うのを純粋に楽しみにしているような雰囲気で、この人気の広がりは急激に訪れてきているのではないかと現実にひしひしと感じたのでした。

学生はメディアの露出だけでなく、同級生の口コミ評価をとても参考にする傾向があるので、彼らの日常会話の中でAKB48の話が出ていることが容易に想像がつくわけですから、アイドルとしてのブレイクはすぐそこまで来ているのかもしれません。

このことを秋元康プロデューサーは新レギュラー番組「週刊AKB」の記者発表で「タレントがブレイクするときというのは、運がドミノ倒しのようにパタパタパタと倒れていく」という言葉で表現していましたが、まさにこのような感じを『涙サプライズ!』発売日以降にひしひしと感じます。

それまで潜伏していた人気ウイルスがSKE48の秋葉原公演の頃あたりからAKB48メンバーの度重なるテレビ出演、読売新聞や巨人軍75周年応援団での露出などで一気に発症して若者に広がった状態というのをよみうりランドで確認した、というのが私の実感です。

それを国民的レベルにまで火をつけていくにはまだ多少時間がかかるかもしれませんが、無理して一気に爆発させるよりは自然な流れで知られていったほうが長い目で見るといいような気がします。とはいえ、ブレイクする瞬間は「ある日気がついたら突然」ということが多いので、古株のファンはブレイクへのマイルストーンがどこにあったかについて注意深く見守っていくと今年は楽しめると思います。

AKB48選抜総選挙

AKB48の13枚目のシングル(8/26発売予定)の選抜メンバーは投票によって決まります。

おさらいしますと、
・12枚目のシングル『涙サプライズ!』(通常盤)に入っている投票券による投票
・DMMによる劇場公演配信の月額会員
・ファンクラブ“柱の会”会員
・公式モバイルサイト(有料)会員
による投票で、21名の選抜メンバーを選ぶというものです。

6月24日に開票速報、7月1日に中間発表がされ、7月7日に投票が締め切りとなり、7月8日(つまりこのコラムを発表した当日の夜)に開票イベント「神様に誓ってガチです」が行われます。

21位までに選ばれた選抜メンバーは人気順にジャケットの立ち位置がすでに決まっています。そして22位から30位までの9人は「アンダーガールズ」としてカップリング曲を歌います。

開票結果で見えてくることはきっとたくさんあることでしょうが、結果がわからない時点でこの「総選挙」をどう見るかについて私なりの考え方を残しておきます。

政見放送は格好のオーディション資料

AKB48、SKE48(ともに研究生を含む)の98名が各1分の持ち時間で、DMM.com「AKB48 LIVE!! ON DEMAND」で投票期間終了まで無料配信されているため、特に研究生にとってこの1分で自己アピールできるメリットははかりしれません。

SKE48のチームKIIや研究生まで名古屋に足を運ぶことなく、その人たちのキャラクターまで把握できてしまうのですから、ファンに知ってもらうチャンスが格段に増えるわけです。

もはや名鑑のようなものが必要でないくらいのボリューム感たっぷりの政見放送でした。

NHKで総選挙の発表があった日に「全員の政見放送を入れたDVDに投票券をつけて売ればいいのに」と知人たちと盛り上がったのですが、さすがにそこまでは行われませんでしたが、資料価値十分の内容でした。

この映像はまさにタレントオーディションの2次審査の様相を呈していて、昔からオーディションを取材している立場としてはとても楽しい内容でした。

ただ見るだけではつまらないので、「(選抜総選挙への)本気度」「アピール度」「バラエティ度」「自分らしさ度」を基準にし、最後に「応援したくなる度」を加味して政見放送だけを資料にして5段階に評価(A、A'、B、B'、C)したら見事な偏差が出ました。

A : 8人( 8.2%)
A':22人(22.4%)
B :39人(39.8%)
B':20人(20.4%)
C : 9人( 9.2%)

A評価をしたのは浦野一美(B)、大堀恵(K)、片山陽加(B)、高田志織(S)、松井珠理奈(S)、野呂佳代(K)、森紗雪(S)、大家志津香(研)の8人。意外な結果でしたが、1分間をどのようにまとめるか、自分らしさを出しつつ本気度やウケを狙ったバラエティ性を考慮すると私はこのような評価となりました。なんとかこの方たちが少しでも上位に残ってもらいたいものです。

一方C評価になったのはチームA・4人、チームK・1人、チームB・2人、チームKII・2人とこちらも意外な結果に。チームAが多かったのは、ふざけているように見えてしまって本気度不足になったり応援したいかどうかの部分で評価が下がりました。そのうちの何人かは中間発表では上位に来ています。

おおむね年長者のメンバーが張り切って自分らしさをうまく出せていたように感じますし、SKE48は真面目に取り組んでいる感じがしました。毎回やる必要はないですが、たまにやるのはいいと思います。

残念なのはファンが「どうせ~」と半ばあきらめたりした発言が見受けられることでしょう。ネガティブな気持ちになるのも自由なので否定するつもりはありませんが、ガチでやっていると宣言しているものを「どうせ~」でしか片づけられないのはちょっと悲しいかなと。

そんなことを言うなら「どうせファンができることには限界がある」という大前提まで行きついて自分自身がアイドルファンをやっていることまで否定しなきゃならなくなるわけで、そこまで否定しきれないのなら、ある程度受け入れて楽しむほうにエネルギーを持っていったほうが人生明るく生きていけるのに、と私は思います。

そういう意味では長い時間AKB48に所属しているメンバーのほうが飲み込みは早いですね。サプライズが日常的にあることで何事にも動じなくなってきてるし、あるがままを受け入れるしかない現状がありつつも、その瞬間を楽しもうとしていることがよくわかります。

さて、どんな結果になるのでしょうか。イベントに参加されない方はオフィシャルブログの発表、ファンブログでの速報などでご確認ください。本サイトでも結果報告をする予定です。

パリ公演、SDN48、および今年後半の展開は……

7月3日、4日のパリ公演も終わり、選抜総選挙が終わると次のシングルに向けて動き出すとともに、SDN48(サタデーナイト48)や、SKE48のダイアモンドホール公演やCDデビュー、全国ツアーなどと夏に向けてのイベントが目白押しとなっています。

最近のあまりの展開の速さに編集部も追いついていくのが必死ですが、おかげさまで記事のアクセス数も人気に比例するように伸びています。名実ともにアイドルグループの1番手になる日もそんなに遠くないでしょう。そうなってもらうと、初日から応援してきた意味もあるというものです。

ファンとしてできることはまずは「一緒に楽しむこと」なんじゃないかとつくづく思います。高校生世代はそれが自然にできますが、年を重ねるにつれて多少は冷めた目線になるのは仕方ないものの、まるで義務でファンをやっているのはつらいものです。そんな苦痛を味わうのは回避して、楽しむスタンスを見つけていただきたいです。それがアイドルグループと長くつきあう秘訣のようなものですから。


[09/07/09追記]開票イベント「神様に誓ってガチです」の結果、以下の21名が決定しました。

AKB48 13thシングル選抜メンバー(21名・得票数上位から)
前田敦子、大島優子、篠田麻里子、渡辺麻友、高橋みなみ、小嶋陽菜、板野友美、佐藤亜美菜、柏木由紀、河西智美、小野恵令奈、秋元才加(ここまでの12名はメディアに出るときの選抜メンバーとなります)
北原里英、宮澤佐江、佐藤由加理、峯岸みなみ、浦野一美、宮崎美穂、松井珠理奈、多田愛佳、倉持明日香
AKB48 13thシングル  アンダーガールズ(9名・カップリング曲担当)
米沢瑠美、高城亜樹、大堀恵、増田有華、平嶋夏海、指原莉乃、片山陽加、松井玲奈、松原夏海

cover 『涙サプライズ!』
キングレコード
1,600円(税込)
CD+DVD
2009年6月24日
cover 強き者よ
ランティス
1,200円(税込)
CD
2009年8月5日

AmazonでAKB48をサーチ

●関連記事

AKB48関連コラム

本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
copyright(c)2001-2022 Scramble-Egg Inc.