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AKB48物語「2006年、桜が満開のころ」

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2006/04/08
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
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まさか同じテーマで4回も連続でコラムを書くとは思ってもみませんでした。今回もAKB48(エーケービー・フォーティーエイト)のお話です。

2006年3月31日、桜の花びらが咲き乱れたころ、AKB48オープニングメンバー(“チームA”)のファーストシーズン(12月8日劇場オープン時からのセットリストのバージョン)が宇佐美友紀の卒業とともに幕を閉じました。

一応、これが絵巻物語的には第1章としてもよいでしょう。朝の10時にはすでに定員一杯の300名が劇場に並んでたという、すさまじい人気ぶりでした。それは驚くべきことなのかもしれませんが、ある意味、想定の範囲内ともいえましょう。

私は朝の10時に熱心なファンの方々と一緒に並ぶ元気はありませんでしたので半ばあきらめていたのですが、タイミングよく関係者の方からお声をかけていただいたので、運良く見させていただくことができました。

4ヵ月の成果が出せたステージ

半年前は全くの素人だったAKB48が4ヵ月弱で300人を呼べるようになりました。私としては想定内ではありますが、何もかもが思った以上に回っていき、彼女たちもそれに応えるように成長していく姿を確かめることができて、本当に見て良かったと思います。

まず見ていて驚いたのは、この日の数週間前に見たときよりも彼女たちははるかに美しく輝いていたという事実です。スポットライトの魔力にあらためて感心するばかりです。

内容については応援してくれてる人たちのblogでいろいろと書かれているので、詳しく述べる必要はないと思いますが、主な変更点は次の3つでした。

  1. 「あなたとクリスマスイブ」の復活
  2. アンコールの「スカートひらり」「桜の花びらたち」で宇佐美友紀がセンターに
  3. アンコールのあとに本公演でAKB48を卒業する宇佐美友紀があいさつ

1. についてはやっぱりこの位置にこの曲があることで次の曲がスムーズにつながると思いました。初めて聞いた人も結構いたのかもしれませんね。星野みちる、折井あゆみ2人とも輝いてました。

2. で宇佐美友紀がセンターに立ったことで、見納めという意味もあり、かなりまじまじと見てしまいましたが、それまで私、あんまりセンターを見たことがなかったので、センター位置の重要さに今さらながら気づいた次第です。

3. のあいさつの中で、「ここではいちばん年上だけど世の中では若いって言われる」って笑いを誘うような言葉も言ってましたが、すごく彼女らしくていいあいさつでした。あとは、「みんなをもっと守ってあげたかった」とも。

お客さんの拍手や声援も今までに聞いたこともないような心のこもったもので、メンバーやスタッフの感動をさらに増幅させたすばらしいステージとなりました。通算98回目のステージだったそうです。

ステージ直後の21人

宇佐美友紀のあいさつのあと、メンバーも出てきて感動のステージが終わり、幕が閉まりました。お客さんも涙した人もいたようです。会場から出ていくときにもステージの後ろでは泣きわめくような声が聞こえていました。

このあと300人のお客さんがシアターから退場し、シアターの扉を閉じ、そして扉の内側からファンのみなさんをお見送りする儀式があるのですが、その儀式の直前までAKB48のメンバー21人の泣く声はずっと続いていました。お見送りをするために幕を開けると21人がステージの上で車座になって座り、ずっと泣き崩れていたのでした。

この光景はいつかどこかで見られるとは思うのですが(カメラが回っていたので)、なかなか感動モノというか、“青春”て感じがしました。ドリームアイドルのコラムで「解散・卒業・引退ができる幸せ」というのを書いたんですが、宇佐美友紀ちゃんの卒業はちょっとうらやましい出来事だったのかもと思います。

本人も「今までの人生でこんなに花束をもらったことはないし、これからももらうことはない」ってお客さんをお見送りしたあとに言ってましたが(笑)、そんなことはなく、きっと新しい人生が開け、もっと輝くことができることでしょう。

私にとっても最初と最後のステージを見ることができてその成長ぶりを自分の目で確かめることができて良かったと思います。おたく(ヲタ)な世界ではこういうものをどれだけ昔から見ているのかというくだらない自慢をするものですが、最後のステージは見ることはできても最初のステージを見ることはそう簡単にはできなかったはずですので、ちょっと自慢させてもらってもいいかなという気分にさせてもらいました。

AKB48 チームK - 喪失感と出会い

4月1日から15日までは、追加メンバーオーディションで新しく選ばれた“チームK”の17人がチームAと同じ演目でメンバー披露公演を行っています。

私も実際劇場に足を運んで見ましたが、今なら、まだ一度も見たことのない方も開場時間前にたどりつけば見られると思いますので、「見たかったけど……」という方はこの機会にぜひとも足をお運びください。

さて、チームAにはまっているファンはチームKを見てどう思うのでしょうか。

この光景、この心理状況、またもや過去のアイドルグループ遍歴を問いただされます(苦笑)。15年前にも同じことがあり、同じ心理状況をまたもやよみがえらせてくれました。

まさに「AKB48 Welcome Book vol.1」(劇場限定発売写真集)やコラム「“AKB48”に見るグループアイドル一大絵巻物語序章」で自分が書いてるそのままを追体験することになろうとは……恐るべしAKB48です。

話を戻しましょう。チームAにはまっているファンが今回のチームKの公演を初めて見てどう思うのでしょうか。

「深い深い喪失感」

私はそう表現しました。「今まであそこにいたあの子がいない!」と、わかっていながらもまず軽いショックを受けます。人によっては「あの曲であそこにいたあの子」を頭のなかで幻想を描きながら見たりするのです。これは「喪失感」そのものです。

数日前に見た感動のラストステージとの落差は相当なものでしょう。声援やアンコールの拍手も気が抜けたようです。

チームAを1~2回、チームKを1回だけ見た私の知り合いが言いました。

「やってることも出てる子のレベルもたいして変わらないじゃん」

そうなんです! 外野から冷静に見たらそのとおりに決まってるんです。なんでそれが同じに見えないのか……それは「愛情」とか「思い入れ」という感情が芽生えているからですね。これを読んでる方はどちらの立場ですか?

2回目以降の楽しみ方

ファンの心理状況にどういう変化が起こるのか一応整理して説明を試みましょう。

  1. チームKが1回目に見たAKB48だった人……チームKの誰かのファンになります
  2. チームAにはまってしまった人……人につくファンはチームAの誰かに、グループにつくファンはチームAの1推し、チームKの1推しをそれぞれ作る
  3. チームAよりチームKが重要になる人……チームKの誰かにはまった人がこうなります

1. はチームAを見てない後ろめたさと先にファンになっている人がいるところに入っていくのは大変なので、たいていはチームKのファンになります。

2. はチームAの誰かが好きでAKB48にはまっているのですが、グループアイドルというものが好きな人は1推しは少しずつ変化しつつあっちにいったりこっちにいったりするものです。

3. はあまりいないと思いますが、新メンバーの誰かが急激に好きになるとこうなります。

私は過去の経験から、チームK1回目の「喪失感」はすぐになくなると思い、2回目を見てからこのコラムを書こうと思いましたが、見事、喪失感から抜け出し、楽しみ方を見つけてしまいました(笑)。3回見ちゃったらもうダメだね、はまりますね(笑)。

劇場にはまってしまって惰性で見てる人も結構いると思いますが、せっかくですので、この期間は惰性で来るのなら、初めて見る人や、真のチームKファンの人に多く見せてあげたいと思ったりもするのです。

……とはいえ、15年前はゆずってあげられる余裕はなかったような気が(苦笑)。15年前は何かって? 篠原涼子ちゃんがいた東京パフォーマンスドールのことです。私はTPDでしたがあなたは何ですか? SweetSですか? Berryz工房ですか? グループアイドルのファンになるのも楽じゃありませんよ(笑)。

チームAの人は自分がステージ出ていなくて、今出ているチームKのファンになってしまって、もう来なくなるかもしれないと不安に思うかもしれませんが、そんなことを思う必要はないでしょう。チームKの人はどうしても厳しい見方をされますが、たった4ヵ月の違いですのですぐに差は縮められます。秋元センセイが関わっていた元おニャン子クラブの会員番号の何番が今、活躍してるか、まわりの大人に聞いてみれば元気が出ますよ(笑)。

応援してる人のblogを見てると「アイドルではない女ごころ」と「男ではないファンごころ」が交錯していてそれはそれは楽しい状況になっています。2006年、桜が満開のころに起きているAKB48のお話でした。

cover スカート、ひらり
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1,050円(税込)
CD
2006年6月7日
作詞:秋元康、作曲:岡田実音
cover 密着!「AKB48」~写真集 Vol.1 the・デビュー
講談社
1,890円(税込)
ISBN 4063527425
2006年3月2日
cover 桜の花びらたち
AKS
1,300円(税込)
CD
2006年2月1日
作詞:秋元康、作曲:上杉洋史

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