2006年2月19日のAKB48(エーケービー・フォーティーエイト)の追加メンバー選考テレビオーディションに引き続き、26日の最終審査で19名が暫定的に合格しました。この19名のうちの何名かは4月1日から始まるリニューアルした新バージョンでステージに立つことになります。
そして同2月19日から演目の一部のメンバー編成が変わり、ファンを喜ばせたり戸惑わせたりしながら着実に人気を上げつつあるAKB48ですが、アイドルマニアの方はひととおりは見た様子ですので、率直な感想がblog上で交わされています。
私も編成が入れ替わったバージョンを見ることができましたので、今までのコラムで自分のなかでもやもやしてたことが若干解決したというか、そろそろ自分の正直な気持ちを書ける状況になってきたことがわかったので、ここで三度(みたび)AKB48ネタで書いてみたいと思います。
わかりやすい子は覚えられやすい
アイドルの世界は浮き沈みが激しく、常に新人登場の脅威にさらされています。多くのファンは新しくデビューした子で人気の出そうな子にすぐに目移りするものです。もちろん、すごく気に入った一押しの子をずっと応援することもありますが、どうしても“慣れ”とか“飽き”とかいうものから逃れることはできません。
21人目のメンバー、篠田麻里子(メンバー名の敬称を略します。以下同)が登場したときの注目度は相当なものでした。今までにないタイプの美しい顔立ちに一目惚れしたファンもいたのではないでしょうか。
以前、第一印象を変えるにはというオーディション対策コラムを書きましたが、グループものには、見た目も含めた第一印象としての【わかりやすさ】は人気に即つながります。
最初に書いた Online Column - 秋葉原48(AKB48)の読み解き方 に対する読者の感想で、「誰に注目したか知りたい」とありました。それを公表すべきときが来ました。【わかりやすさ】という点、そして自分の好みの点で前田敦子と増山加弥乃の2人がまず私にインプットされました。
前田敦子はモーニング娘。に入る前の「NHK BSジュニアのど自慢」に出ていたときの高橋愛(当時中1)に、増山加弥乃は「第7回全日本国民的美少女コンテスト」に出ていたときの上戸彩(当時小6)に雰囲気がそっくり!
こんなことを書くと“外道”と思われるかもしれませんが、芸能界で将来活躍する女の子はオーディションに出てくる段階ですでにそれなりのオーラというか雰囲気を持っているものなのです。
昔の写真やビデオで確認したわけではないので、実際には似てないかもしれないのですが、彼女たちが出すオーラは何か共通点があるような気がしてなりません。1回で顔と名前を判別できた何人かのうち、まずこの2人に私は注目しました。そして見る位置も彼女たちの立ち位置優先となりました(笑)。
伸びしろがある子を見てるのは楽しい
最初目立たなくても、何度かステージに立つことによってどんどん伸びていく子を見ているのはやはり楽しいもので、それこそが“応援しがいのある”子ともいえるかもしれません。
【スポットライトは麻薬】といいますが、一度ステージに立ち、スポットライトを浴びると、なかなかその仕事をやめられないといいます。“見られること”“応援されること”でアイドルはいちだんと輝きを増します。AKB48の最初の頃のステージを見たことがある人ならその違いは明白でしょう。
AKB48のステージを見ながらメンバーを観察すると主に4つぐらいのタイプがあるような気がします。
- 目立つ要素と伸びる要素のある子は順調に伸びている
- 顔も名前も覚えにくい雰囲気の子の一部は経験を重ねることで加速度的に伸びている
- 目立つ要素はありながら今一歩伸び悩んでいるメンバー
- 地味な要素のまま伸びるチャンスがつかめずにいるメンバー
ステージを見ていて面白いのは、当然2.のタイプで、私から見た2のタイプは板野友美、峯岸みなみ、渡邊志穂ですが、他の人が見たらまた別の名前が挙がってくることでしょう。
“秋元康アレルギー”をどう克服していくのか
業界の人、特にアイドルを取材する側の関係者に会ったときに私はAKB48のことを話題にしてみるのですが、意外なことになんらかの拒否反応を示す人が多いのです。
何に拒否反応を示しているのか今いちよくわからないのですが、おおよそは次のような理由でしょう。
- 秋元康ブランドが気に入らない(なんらかの因縁?)
- お金をたくさん使えるプロジェクトへのねたみ(?)
- 自身が乗り遅れたことへの不快感(?)
- かわいくない(?)のに人気が出ている
いずれも推測でしかないのですが、AKB48がこれからメジャー展開をしていくうえでマスコミの協力はどうしても必要で、こういうアレルギー反応をどうやって消していくかもプロジェクトのひとつの課題になっていくでしょう。一度ステージを見さえすれば気も変わるのでしょうけどね。
スクランブルエッグ編集部はメジャーであろうがマイナーであろうが、業界へのしがらみをあまり持たないように気をつけているので、面白いものには「面白い」とはっきり言えることだけはちょっと自慢できます。逆につまらないものには沈黙するだけです。
損得など関係なしに、今のAKB48は「面白い」ことは間違いないです。
初ステージからいろいろと冷静に観察しながら見てますが、最近は、あんまり深く観察しなくてもエンタテインメントショーとして素直に楽しめるようになってきています。それは毎日のようにステージに立ち、こなれてきつつも、刺激を失わないようにメンバーを追加させたり、ユニット編成を変更してステージの価値を向上させようと努力しているスタッフがいるからでしょう。
そしてどこかのメーカーやプロダクションのようにファンを“虫”や“金づる”扱いせず、一人前の“人間”として扱ってくれてることも好印象を与えてくれます。
ここでひとつ、業界の人に確認してきていただきたいことが(笑)。私のまわりのグラビア関係者の間では小嶋陽菜のビジュアル面での評価が高いので、写真集やステージで一度ご確認のほど、よろしくお願いします。
おニャン子クラブ、東京パフォーマンスドール、スーパーモンキーズ、モーニング娘。、どれを取っても最初はさほど評価してもらえなかったことを考えればAKB48も今の業界での評価はまあふつうか、それ以上という考え方もできるかなといったところでしょうか。
ユニット編成入れ替えの見どころ
2月19日に「スカート、ひらり」「クラスメイト」「キスはダメよ」「星の温度」のユニット編成が変わりました。詳しい変更内容は日によって変わることもあるみたいなので、ここで記すことはやめておきますが、これがなんとも面白い(笑)。
どう面白いかというと、やはりいろんな発見ができるからで、「あなたとクリスマスイブ」以来にちゃんと聴く星野みちるの歌はやっぱり良かったとか、「キスはダメよ」の入れ替えは楽しみ方が増えたとか、「星の温度」のどうしようもないアンバランス感が笑えてくるだとか、いろんな見どころが満載で結構楽しめるわけです。
2月18日から秋葉原48劇場限定発売中の「AKB48 Welcome Book Vol.1」という写真集(2,100円、64ページ)にはステージ写真とともに秋元康さんの歌詞が載っています。その写真詩集みたいなものを「詩集」として読んでいると秋元さんのプロデューサー・作詞家としての力量がはっきりわかります。もう感服・脱帽するしかありません。
その写真集に私も拙文を書かせていただきました。ライブを見に行ったら10年来の昔からの知り合いや、ここ数年で知り合ったファンの人から「写真集にコラムが載っててびっくりした」と声をかけられました。
このユニットも、そしてこの全体の編成も3月いっぱいで終わりです。なかなか劇場に入るのも困難になりつつありますが、まだ一度しか見ていないのでしたら、なんとか平日に時間を作って劇場にいらしてみてください。彼女たちの成長した姿をはっきりと見ることができます。
そして第2章が始まろうとしている
2006年4月1日からステージの内容がすべて変わるそうです。それがどういうものなのかは幕が上がってからのお楽しみなのですが、ひょっとしたら現在の21名のうち誰かは2軍になってしまう可能性だってあります。
グループものにはメンバー入れ替えがつきものですし、メンバー入れ替えや編成替えで一喜一憂するのがある意味、“ファンの仕事”(苦笑)です。大いに喜び、大いに憂うしかないのですね。
AKB48が今までのグループアイドルと違う特徴があるとすれば、こんな点だと私は思っています。
- コンテンツによる吸引力が時代にマッチしている
- 80年代後半の王道アイドルポップスを10代の女子高生や80年代生まれの20代の人が楽しんでいる
- いわゆる地下アイドルファン、地方アイドルファンを根こそぎ奪い取る“黒船”的コンテンツ
- モーヲタ、TPDファンなどオールドファンの吸引
- 新しいメディアの積極的な活用
- テレビ電話でオーディション
- テレビ電話でデート
- オフィシャルblogでファンの意見を聞く
- ファンのblogでリアルタイムな現状を知ることができる
- ファンのblogでAKB48がより“偶像”化していく
- 講談社からスクランブルエッグまでメディアの形態や大きさで差別をしないプロモーション展開
- 劇場限定写真集でファンの投稿写真の採用(懐かしくもうれしい)
- その他(これから始まる物語)
- 今は白紙にしておきましょう。4月から始まる第2章以降の歴史はまだ誰も知ることはできません。
AKB48が今までのグループアイドルと変わらない点があるとすれば、すでに多くのファンが『AKB48』というユニット全体、メンバー全員を“好き”になってしまったということでしょうか。ある有名なアイドル雑誌のライターがお客さんとして定期的に見に来ているんですが、私が新編成のライブを見て感じた気持ち=「“好き”という感情」を全く同じように言葉として聞いたので、本当に驚きました。
長々と失礼しました。みなさんまた劇場でお会いしましょう。