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AKB48物語「選択の時代、SKE48オリジナル公演の衝撃」

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2009/02/21
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2008年12月16日、AKB48チームA 5th Stage『恋愛禁止条例』公演にノースリーブスの3人(高橋みなみ、小嶋陽菜、峯岸みなみ)がステージに復帰し、初めての公演を行いました。

彼女らが主演をしていたテレビ東京のドラマ24『メン☆ドル~イケメンアイドル~』の収録がずっとあったため、チームAのステージには立つことができず、10月19日から始まった公演から実に約2ヵ月を経過しての“初日”を迎えることになりました。

高橋みなみがチームAに必要なわけ

その日高橋みなみがはじめに言ったひとこと「やっぱ(ここは)いい!」に尽くされていますが、この日のステージは、それまでの「AKB48らしさ」「チームAらしさ」が存分に現れていたすばらしいものでした。

個人的な感触としては、2007年2月から行われたチームA 4th『ただいま恋愛中』公演のあとにひまわり組が2公演、4thリバイバル公演があったため、「チームAらしさ」とはいったいどういうものかさえ忘れ去っていたのですが、この日の公演には確かに「チームAらしさ」があったと思います。

では「“チームAらしさ”とは高橋みなみがいることなのか?」と問われれば、そうだとも言えるし、それだけではないとも言えますが、正直、この日の高橋みなみを見ていると、ドラマもいいけど、できればステージをたくさんやらせたいし、この日が初日なのにもかかわらずいちばん動けていちばん迫力があって「プロとしての姿勢」を見せてくれた彼女に涙が出てくるほど感動を覚えたという事実は私の心の中では揺るぎのないものとして印象に残りました。

“たかみな”さえいればいいと言っているのではありません。ひまわり組公演では高橋みなみが出演する回もよく見ましたが、「ひまわり組のたかみな」と「チームAのたかみな」では多少見え方や役割が変わっているので、私の見解としては「チームAらしさ」を現している最も代表的なメンバーが高橋みなみだと先日の公演であらためて感じさせてくれたということを言いたかったのです。

「たかみなには勝てない」と思うだけでなく、なんらかの形で存在感を残すために他のメンバーも努力すべきではないでしょうか。それだけの努力を高橋みなみさんはしているのですから。そのようなことをこの日感じました。

セットリストベスト100でもわかる変化

2008年12月20日、AKB48はJCBホールで『年忘れ感謝祭 シャッフルするぜ、AKB! SKEもよろしくね』公演を、そして2009年1月18日~21日までSHIBUYA-AXで『リクエストアワーセットリストベスト100 2009』を行いました。

11月のNHKホールから秋葉原を飛び出して3ヵ月続けてホールコンサートをしても全公演満席になるほど着実にAKB48人気は上がっているようです。

それはスクランブルエッグのサイト内のAKB48関連記事へのアクセス数が年末年始あたりを境にして大きく伸びたことでもはっきりと実感できます。以前ならば、話題の巨乳グラビアアイドルにはまるっきり数字が及ばなかったのが、今や水着で登場する人気アイドルと肩を並べるほどになってきました。

最終日の最後の曲が『初日』(チームB)というのも驚きですが、「セットリストベスト100」の順位が前年と大きく違うように、AKB48と彼女たちを取り巻く環境も大きく変わってきているようです。

丸3年間続けてきたという実績が正しく評価されてきたせいか、マスコミの注目度も昨年までよりはかなり高まっていることを取材現場で実感しています。この調子で今年も走り抜けていっていただきたいものです。

選択の時代

昨年秋以降、AKB48をめぐる展開があまりに速すぎてフォローしきれない状況になってきているなか、本サイトとしても「大人の論理」を行使せざるをえない局面が出てきています。

つまり、「数字」「人気」というバロメータを使って選択していかなければならない場面がどんどん多くなってきているということです。

サイトでのページビュー、サイトを経由して注文された商品数というはっきりした「数字」で優先度をつけなくては記事化できない状況になってきつつあるのです。それはまぎれもない「大人の論理」なのですが、趣味ではなくビジネスとしてやっている以上、そうせざるを得ないのです。

そういった局面を自分自身が実感できるだけに、メンバーの卒業、入れ替えなどにもいろんな思惑が反映されるのは仕方ないことだとは思います。

ただ、応援しているファンとして何ができるのかと考えたときに、いろんな矛盾や疑問がわいてくることも想像できるのです。

何かを計るためには目に見えるものでなければいけないのです。

誰か特定のメンバーを応援して人気があることを証明するために何が必要なのでしょう。

「声援」でしょうか。それならありったけの大きい声を出しましょう。
「励ましの手紙」でしょうか。それなら思いっきりたくさん励ましの手紙を出しましょう。
「グッズの売り上げ数」でしょうか。それなら思いっきり好きなメンバーのグッズを買ってあげようではありませんか。でもお金はそう簡単にあるわけではないですね。

もともとお金持ちの家庭環境なら可能かもしれません。もし本当に「売り上げ金額」や「売り上げ数」が人気のバロメータなら、お金のないファンはタレントを応援できないことになってしまいます。

好感度調査などをすれば人気のバロメータはある程度わかる可能性はありますが、実際には何かの数量で判断せざるを得ないのが実情です。それは一人一人のファンが努力してできることの範囲を少し超えているかもしれません。

これはファンの側の悩みです。

一方メンバー側の論理として、芸能界で生き残っていくために何が必要なのでしょう。

「実力」でしょうか。それなら毎日血のにじむような練習をすればいいのでしょうか。
「世渡り能力」でしょうか。それならコミュニケーション能力を身に付ければいいのでしょうか。
「ルックス」でしょうか。あるいは「努力」?「運」?

とっても難しい問題が新人時代には立ちはだかっています。その精神的支えとなるのは家族やファンの応援だったりすることは間違いありません。

このように考えると、AKB48劇場で毎日起こっていることは、間違いなく現実世界の縮図なのです。

ひとつ面白い話を披露しましょう。アイドルウォッチャーの北川昌弘氏が、メンバー・研究生の卒業・昇格・降格について透明性に欠けることを指摘し、サッカーのJ1、J2みたいな「入れ替え戦」をやってはっきりさせればいい、と言っていました。それはひとつの興味深い提案のような気がしますが、これならファンもメンバーもすっきりしてくれるのでしょうか。

先日、SKE48劇場で秋元康プロデューサーから「AKB48、SKE48はエンターテインメントの甲子園」という、わかりやすいコンセプトの説明があったので、その考え方にのっとって本メディアも今までよりは多少重みづけをした報道になっていくことをご了承ください。

3年間は全員を温かく見守ってきたつもりですけど、これからは選択せざるをえない時期に入ってきたのだと思って対応するしかないのです。

チームB 4th『アイドルの夜明け』

2009年2月8日、チームBは2つめのオリジナル公演(4th Stage)『アイドルの夜明け』が始まりました。

前回の『パジャマドライブ』があまりによくできていただけに、それとの比較となるとインパクトは弱くならざるを得ないですが、楽曲やセットリストそのものに何か問題があるわけではないので正直コメントしづらいものがありました。

1年近く演じてきた前作の中でもメンバーの異動がいろいろあり、公演内容にも起伏はあったと思いますが、千秋楽と初日の間を短くしすぎたのにも問題があったのでしょうか。

個人的には、それまで渡辺麻友のワントップだったことがいろんな意味でバリエーション不足になってきている感があります。A、Kは結果的にツートップであったことで組み合わせのバリエーションに幅が出ていたのですが、Bはトップクラスのメンバーが全部同じ事務所に所属することになってしまい、結果論ではありますが、研鑽することが他チームよりも少なかったのではないかと思います。

曲のバリエーションもあるし、歌詞面での挑戦もあるので、回数を重ねていけば成長できる余地はたくさんあると思うので、今後の変化を見守っていきたいところです。

SKE48『手をつなぎながら』公演の衝撃

チームB初日の1週間後の2009年2月14日、SKE48は初のオリジナル公演(2nd Stage)『手をつなぎながら』をスタートさせました。

私にとってこの衝撃を言葉にあらわすのはとても難しいことです。

「説明が難しい」「すごい」「神」とか言っていても始まらないので、説明を試みますが、できれば以下の感想を読む前に本当は名古屋まで足を運んでいただいて、ぜひ、ご自分の目で確かめていただいてからお読みになっていただいたほうが、冷静に判断できると思います。

それでも読んでみたい方は次へお進みください。

 

 

SKE48の『PARTYが始まるよ』公演は、結局初日しか見ることができず、そのときの印象としては「また同じような物語がここで始まるのだろうか」という漠然とした思いが頭をよぎっただけでした。

賢明な読者ならお分かりでしょうが、「『過去に同じようなことが起きている』と秋葉原で感じた人がまた名古屋の栄で感じたはいいけど、いったいどうすればいいんだ」という漠然とした不安ですね。期待ではなく。

もちろん突き抜けたイチ推しメンバーを見つければすぐさま“期待”に早変わりし、名古屋へ移住するための方法(苦笑)を考える先取り派もいるでしょうが、AKBを捨ててまでそう簡単にSKEに推し替えをするほどではなかった、というのが『PARTYが始まるよ』公演初日の感想でした。

AKB48と同じく何度もステージを重ねていくことでSKE48のメンバーも成長してきたのでしょう、東京のホールコンサートでは自己紹介にその成長の度合いを垣間見ることができました。

そして初のオリジナル公演、私自身は初日の昼間行われたゲネプロ(通しリハ)を家族や関係者と一緒に見たのですが、その楽曲群たるや、ちょっと想像できないような衝撃を受けました。

ひとことでいえばおニャン子クラブを代表とする80年代アイドルポップスをメインとした楽曲が惜しげもなく恥ずかしげもなく続いてきていることへの衝撃です。この公演の楽曲こそが「アイドルの夜明け」ではないかと思うほどです。

2010年に近づこうとしている現在、四半世紀も前の1980年代の音楽を商業ベースで、しかも書き下ろしのオリジナル曲で成立することへの衝撃はそう簡単に言葉で表すことはできないのです。

もし私が80年代アイドルポップスを聴いていなければ、このような衝撃を感じることはなかったのだと思います。新鮮でかつ、なんとなく懐かしい雰囲気の曲が続いているのだと思うだけかもしれません。

そこが、アラフォー世代への“罠”なのかもしれませんが、80年代アイドルポップスにどっぷりはまっている人にとっては楽曲だけで一発で地獄に落ちる、あるいは昇天することは間違いないです。

ゲネプロで写真を撮っててイントロだけで興奮してファインダーからカメラを離しながらつぶやくなんてことは今までになかったですし、別の媒体の人もイントロの段階でつい声を上げてしまったというほど、昔を彷彿とさせる何かがここにはあるのです。

SKE48にしかできないことがここにはある

「もしこの公演を秋葉原に持っていったら」とか、「もしこのセットリストを別のAKBのチームや研究生公演でやらせてみたら」とはもちろん誰もが考えることです。

上記の「もし」を実現すると、名古屋・栄で感じたこととはまったく別の印象になってしまう気がしてなりません。

例え方が上手ではないかもしれませんが、SKE48の『手をつなぎながら』公演とは、名古屋で味噌煮込みうどんを食べること、香川で讃岐うどんを食べること、博多でとんこつラーメンを食べることと同じで、もし別の場所で(たとえば東京で)食べてしまうと、その醍醐味が薄れてしまう気がしてならないのです。

今回の『手をつなぎながら』公演は、言ってみれば現在のAKB48のどのチームもできない、洗練された音楽が詰まっている東京ではできない、80年代アイドルポップスのエキスがたっぷり濃縮された内容のセットリストなのです。

そういう意味では楽曲・セットリストは完璧ですので、あとはメンバー一人一人が成長していくだけ、そして東京やほかの地方からのファンを二度三度遠征させるだけのパワーを常に維持し続ければ、必ずいい結果が訪れるのではないかと確信するほどです。

今の時代に、この場所で、このメンバーだからこそできること、それが『手をつなぎながら』公演だとすれば、メンバーにとって、このプロジェクトにとって、こんな幸せな巡り合わせはないと思います。そんな気持ちにさせてくれるような感動がありました。

そして今回の楽曲の歌詞には、メンバー一人一人の個性が“判らないなりの良さ”があるような気がしてならないのです。

最近のAKBの劇場曲には「判りやすすぎる歌詞」が数多くあり、それがファンにも支持されているわけですが、私のような年配ファンにとってある意味、つらい面もあります。「そこまで言わなくてもいいだろう」「聴き手側に解釈の余地を広げるのが作詞家の仕事でしょ」という気持ちもあって、その世代間のギャップに戸惑ったりもするので、そのバランスも結果的にかもしれませんが、『手をつなぎながら』ではうまく取れていると個人的には感じます。

もう一度「踏み絵」を踏まされる?

そしてなによりも脅威に感じるのは、SKE48を最初に見た「また同じような物語がここで始まるのだろうか」以上の感覚を覚えてしまったからです。

2005年12月7日のAKB48の『PARTYが始まるよ』ゲネプロ、12月8日の初日を見たときの感覚よりももっと強い衝撃を『手をつなぎながら』で受けてしまったのです。最初「80年代アイドルポップスの逆襲」なんてキャッチもありつつ、なるほどと思いながら『PARTYが始まるよ』公演を見ましたが、『手をつなぎながら』はもっとすごい「80年代アイドルポップスの逆襲」でした。

もちろん、AKB48の3年があったからこそ、今回のSKE48のセットリストが生まれたに違いないのですが、もし3年前に秋葉原で『手をつなぎながら』のようなセットリストを上演されたら、とてつもないスピードで伝播していったかもしれません。もちろん仮定の話なので、実際にはわかりませんけれど。

私を含め、関係者、AKB48のディープなファンは「あと何回も見たい」と思っていることは確かなので、結局「過去とまた同じような物語がここで始まってしまった」のです。だから名古屋の地元のファンは地元のアイドルとして自信を持って応援していただきたいです。

チームBと同様、最初は松井珠理奈のワントップ状態だったのが松井玲奈とのツートップになり、いろんなバリエーションの可能性が見えてきているのも見どころの一つです。ぜひとも名古屋に“遠征”してでも足を運んで、それぞれの感想を各人のブログなどでお聞かせください。

ただ、「一度見てしまうと絶対にもう一度見たくなる」という意味では、3年前に踏んではいけなかった踏み絵をもう一度踏むことになるかもしれない覚悟を持ってください。

最近の動きのなかで

メンバー各自がいろんな活動をしている中で、気になっていることを列記して今回のコラムを終えたいと思います。

■宮澤佐江

3月20日に最終回を迎えた「TBS愛の劇場40周年記念番組『ラブレター』」の中高生時代で主演の山下リオの同級生・千絵を演じた宮澤佐江さんですが、以前インタビューで聞いたときの『恋空』のときよりもはるかに演技力がついて、とても楽しみです。体当たりのキスシーンもあったりしてファンとしてはやきもきしてると思いますが、制服がとにかく似合うので、しばらく生徒役でいろんなところに出てもらいたいなと。

■野呂佳代

2009年1月28日~2月2日まで行われた舞台『真里亜~その愛の果てに~』でいきなり主役3人のうちの一人として、しかも子どもを身ごもる役でしたが、初主演でしたがなかなかの演技。彼女は目の表情が豊かなので、そこをうまく生かした役をもらい演技すれば期待できるのではないかと思います。

■大島優子

写真集、DVDでも大人気、チームKの要の一人でもある大島優子さんは映画、ドラマの出演が続きます。ステージだけでははかることができない彼女の女優としての魅力はどこにあるのでしょうか。そして、ファンに愛される魅力はどこにあるのでしょうか。それは近日、本サイトで少しずつ明らかにしていく予定ですので、お楽しみにお待ちください。

長々とおつきあいいただき、ありがとうございました。4年目の今年は、バリエーション豊富な展開が期待できそうで楽しみです。

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