2007年10月7日から2008年2月21日まで行われたAKB48チームBの2nd Stage『会いたかった』公演のフォトレポート(1)の続きをお届けします。(2008年1月25日 AKB48劇場)
★M06 「恋のPLAN」
松岡由紀、野口玲菜、佐伯美香、仲谷明香
左:片山陽加、右:佐伯美香
左:仲谷明香、右:野口玲菜
『会いたかった』公演はユニット曲の配置が他のバージョンと若干違い、そのせいもあってか、「恋のPLAN」に残りのメンバーが寄せ集められた印象になりがちなのが欠点といえば欠点です。
初めてこのバージョンを見た方にはその偏差に驚くかもしれません。見たことのある方には、そういう偏りがあることを知っているので、驚くことはないのですが、バージョン開始時のキャストの評価があからさまになるところが厳しいところでしょう。
ただ、「恋のPLAN」自体、衣装も振り付けもとてもかわいいし、その後のMCもおいしいところがたくさんあるので、そこでいい面を見せられるかどうかがメンバーにとってのステップアップのチャンスともいえます。
チームBに関してはみなさんもご存じのとおり渡辺麻友さんが一人でチームを背負っている状況が続いていましたが、「AKB48+10!」(エンタ!371)が始まったり、SHIBUYA-AXでチームA、チームKとの交流があったことなどから、このバージョンの途中あたりから次第に各メンバーのキャラが少しずつ浮き上がってきたように感じます。
★M07 「背中から抱きしめて」
★M08 「リオの革命」
★M09 「JESUS」
多田愛佳、浦野一美、菊地彩香
ダンサブルな楽曲が続き、加速感が次第に増していき最高潮に達する局面です。はたしてチームAの公演と同等のスリル感は出せたのでしょうか。
★M10 「だけど・・・」
左:仲川遥香、右:仲谷明香
以下「だけど・・・」について年長者が思い入れたっぷりに書くので話半分にして読んでください。
「リクエストアワー セットリスト ベスト100」では92位と、ファンによる評価は低かったと言わざるを得ませんが、この曲の歌詞が同じ学生時代の風景を歌った「桜の花びらたち」「会いたかった」と大きく違う点のひとつは“受けを狙っていない”ところにあります。
別の言葉でいえば「あざとさ」がない点です。
「青空のそばにいて」も“あざとさ”が少ないという点では共通点があります。
ただ、「青空のそばにいて」は歌詞の主人公を自分に、相手をAKB48のメンバーと重ね合わせることができてしまうことから、この歌が現在と関係づけられてしまう宿命を持っています。それは「桜の花びらたち」「会いたかった」にも同じことが言えるので、多くの人に現在の自分のこととしても受け止められるのです。
一方、「だけど・・・」は相手にAKB48のメンバーを重ね合わせるような内容ではないため、今のファンには共感しづらい部分があったのかもしれませんが、それだけにこの歌詞の持っているテーマや風景が現在からタイムスリップして10年前、20年前、人によっては30年前の自分自身とリンクすることができるのです。
「だけど・・・」が描く風景は、大人にとってはもう二度と戻って来ない風景と時間だというのがわかっています。だからこそ、この歌詞の世界をAKB48の歌を通して“いとおしいもの”としてノスタルジックな気分にひたれるのです。そのノスタルジックな世界には正直、AKB48のメンバーの顔は存在しないのです。自分自身と、当時好きだった女の子がいるのです。
この歌詞の持っている世界観を現メンバーがいつごろわかってくれるのでしょうか。それはきっとAKB48を卒業し、30歳を過ぎたあたりからじわじわとわかってくることでしょう。本当はこういった音楽論的なディスカッションをブログ上で交歓しあうのが理想なのですが、なかなかそういった文章に出会えないのが残念です。
そして、80年代後半のアイドル誌やアイドル投稿誌で元気だったライターたちは今でもこの業界で仕事をしつつも、なかなかこういった話題に踏み込んで書く場所も元気もないようです。時代は変わってきているということかもしれませんが、秋元康さんの詩は確実に深みを増し、聴き手である私たちも大人になったことで、より理解が深まっているから、よりストレートに心に響く機会が増えてきているように個人的には思うのです。
★M11 「桜の花びらたち」
渡辺麻友、米沢瑠美
アンコール以降はフォトレポート(3)に続きます。(撮影・文 岡田)